ギシュレくん アベルさん

お世話になった人々

(右)ガイドのギシュレくん
(左)ドライバーのアベルさん

ギシュレくんは、ナイロビ在住で、育ちが良いのか、おっとりしていた。
日本語を勉強するくらいだから、結構リッチな家なのかもしれない。
幼い弟がいて、漫画が大好き。一番好きな漫画はピンクパンサー。
・・・というのは、旅の最後にわかった。

彼の日本語はいまひとつで、しばしば誤解が生じた。
ナイロビからアンボセリに向かう車中、畑の広がる景色を指差して、
彼は「自分の村だ」と言った。
私たちは、「貧しい村から一人、ナイロビに出て、日本語を勉強し、
働いて仕送りをしている」というギシュレ像を描いた。
その後も、そんな感じで話が合っていたのである。
ところが、旅の最後に、ちょっとしたおしゃべりの中で
プライベートな話題になり、家族の話になった。
「ギシュレくんは一人暮らしなんでしょ?」などと、核心に触れる質問をすると、
「私は家族とナイロビに住んでいる。幼い弟もいる。」などと言うではないか。
話がぜんぜん違う。よくよく聞くと、前述の通りの身の上。
私たちのギシュレ像はもろくも崩れ去り、
“大らかなお坊ちゃまギシュレ像”が新たに形成されたのである。

旅の道中、彼は、
 夜空の星を見上げれば、「星の勉強をする」と言い、
 サファリで珍しい鳥がいれば、「鳥の勉強が必要」と言い、
 将来を語るときは、「コンピューターの勉強をする」と言った。
彼の「その後」がとっても気になるのである。

彼は今も元気だろうか?また、彼と旅をしたいものである。

ベテランドライバーのアベルさんは、ギシュレくんとは対照的であった。
並外れた視力で、次々と動物を見つけた。
また、鳥に詳しく、遥か彼方にいる鳥を探しあてるのである。
長身に小さな顔、洗練された身のこなし、動物ではなく、鳥に詳しい。
まったく、紳士の趣である。
アベルさんは日本語を解さないので、私たちと会話はなく、
私たちのアベル像はどんどん美化されていった。
そしてそれは最後まで打ち砕かれることなく、日本に持ち帰った。
アベルさんは、今日も、その優れた視力と、豊富な知識を発揮しているのだろう。
もちろん、また会いたい。また、一緒にサファリをしたい。

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