![]() |
平成11年 4月16日号通算76号 |
の日本酒を飲む会 ニュース |
吟醸酒が広く知られるようになって「通」が多くなってきました。
いやはや,たいへんな知識。その詰め込まれた知識はおどろくばかりです。酒造好適米というと,スラスラと銘柄を上げる。私の知らない銘柄も出てくる。「さて,その中でモチ米はどれとどれですか」と聞いたら・・・。杜氏出身地もズラズラと上げる。越前糠杜氏は精米しかやらないと・・・。酒質には「濃潤甘口とナニとナニ・・・」があって,ナニは食前酒,ナニは食後酒だとか。浅学にして私は食前・食後酒を分けて飲んだことがない。
その「通」の人達のいうことは本当だろうか。だれかが知識を売り物にし,商品となった知識を買いあさり,その数を自慢するのが「通」らしい。なにか間違っているんじゃないかしら。
教養と知識,判断力と記憶力,柔軟と硬直・・・。これらの違いは歴然としている。後者を育てた偏差値教育が行き詰まっているのはイヤというほど実感させられた。でもそれが前者だと自認,いや誤解しているらしい。だれかがそうさせているらしい。
E国産のW蒸留酒をきき分けできるだろうか。その団体が幻の会に相談に来た。W酒の通たちを呼んできき酒させるが幻の会員も出てみないかということであった。会が新橋で催されている頃の話である。そこを会場にしてW酒のきき酒実験をした。
W酒銘柄も知らない幻の会員は10分ほどできき酒を終えたが,通たちは30分たっても終わらない。
結果はきき酒も批評も幻の会員の方が上であった。通の人達の言動を見ていると畳の上の水練という感じがしたが,あれで酒を飲んで楽しいのだろうか。
幻の会はスタート時は豊かな教養の中に浮かんでいるような会だった。当時はそれをコンセプトにしていた。セミ立食,食べ物は重視しないという形がその方向に生かせたのであったか。
おいしい料理を食べさせる店を借り切り着席でやるようになってから,テーマに従っての「オハナシ」は後退していった。うまい酒とうまい料理とお店のもつ思いやりが醸す雰囲気を満喫する。私はそれはそれでいいだろうと思っている。でもそれだけでいいのかという反省もある。
「ムカシはよかった」という声,例会の中の短いオハナシをもっと聞きたいという声。それはいい酒がもつ,それを取り巻く文化・教養を探求したいということだろう。
それをやるなら「飲みながら」というわけにはいかない。そこで「吟醸酒寺子屋」を立ちあげようと思っている。
この寺子屋は「オハナシ」ときき酒実践(飲み会ではない)だけ。
話し手はすべて会員の中から出てもらうつもり。高瀬斎(まんが家),松崎晴雄(日本酒研究家),はじめ数人には協力してもらえる承諾をいただいている。私も話させていただく。
詳細は別途。多数の会員の参加を期待しています。
2月27日,草加,丸の内支部と合同で酒蔵見学,「力士」酒蔵元(株)釜屋・埼玉県騎西町へ。総員60人の賑やかさとなった。
小森社長,宮沢杜氏,篠田会長のレクチャー。精米から圧搾までの見学。麹,酒母の試食,各種市販大吟醸と各種搾りたて大吟醸のきき酒。その後「うなぎ荒川」で交換例会を盛大に繰り広げた。
〒113-0034 東京都文京区湯島4-6-12湯島ハイタウンB-1308
TEL 03-3818-5803, FAX 03-3818-5814 幻の日本酒を飲む会
篠田次郎