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平成11年 9月17日号通算81号 |
の日本酒を飲む会 ニュース |
どこまで続くか、「まさか、まさか」と言いながら、25年目を迎えることになってしまった。42才のオッちゃんも、66才のジジイになり、酒飲みファッションの先頭を走る能力も失った。会員も私に連れて老化し、吟醸酒つくり手が期待するモニター能力も失してしまった。
つまり、世の中の役に立たぬ飲んべいの集団になったと言ってもいい。
私は「あってもなくてもいいものは、ない方がいい」とかねがね言っている。25年を振り返ると、会を閉じるチャンスを逃した。決断をためらった感が大きい。
吟醸酒を世に出そうというのが本音だった。だから、「吟醸酒が(世に認識されて)高くなるか、いつでもどこでも手に入るようになったら止めよう」と言ってきた。実質、そうなった。当時の会員たちは「止めるな」と言ったので、自説を曲げて皆の意見に屈した。私自身もその楽しさにおぼれていたのである。
ニーズがなくなり、惰性で25年を迎えて、次のような催事を検討しています。
11月19日(金)午後 セミナー『酒の学校はこうすれば立ち上げられる』
同日 夜 『第6回吟功績賞発表授賞式』と『幻の日本酒を飲む会25年目歓迎大パーティ』
会場:お茶の水・グリル『峰』
「幻の日本酒を飲む会25周年の名入りグラス(60ml乾杯グラス)」6個セットを製作中です。
次のような方法で配布します。
※ ご注意:5, 6 の方は、8月20日までに数量を事務局にお申し込みください。発注の都合がありますので、早めにお願いいたします。
私は知らない酒蔵にフラリと行くことはしない。この道の先人、佐々木久子さんが話してくれたこともあるからだ。多くの人は「あなたが酒蔵に行ったら、先方は喜ぶでしょうね」と羨ましそうに言う。「そんなことはないよ」と答えても信じてもらえない。
吟醸酒の本を書くにあたって、資料集めや確認のために、酒蔵に電話をすることがある。初めての所には、少しは私の立場がわかるようにと「吟醸酒の研究をしている篠田です」と言う。初めての蔵はほとんどが「存じません」と答える。コレ、ホントの話なのだ。あの佐々木久子さんですら、「存じません」とやられたという。だから行きずりの蔵には立ち寄らない。私だって自分がやってきたことに自負があり、その分野で恥をかくのはいやだからだ。
断るまでもないが、知っている蔵に伺うと、万障繰り合わせて応対してくれる。だから、突然伺うことはしないし、申し訳ないことだがご迷惑をかけたくないのでなるべく伺わないようにしているのも事実だ。
親しい友人夫婦が、避暑がてら志賀高原に誘ってくれた。足かけ3日。暇にまかせて飲み食いぶらぶらした。
道すがら、酒蔵があった。友人は私を評価してくれている。コレを連れて蔵に行けば、蔵は大喜びするであろう。見知らぬ蔵と私への善意で、観光客に開放している蔵に行った。
「吟醸酒の篠田さんをお連れしました」と案内を乞うた。それらしい家人が出てきて、「存じません」とやられた。私はいい。友人の顔は丸つぶれでなので私はサッとリリーフを入れた。「花岡正庸先生はこの辺のお生まれでしたね」と。今度は私が驚く返事がきた。「存じません」。「エッ?」。私の記憶は違っていない。その人は「知らない」ということなのだ。言葉を失った。
いたたまれずというこちらの態度を察したのだろう。その人はこう言った。「ウチは吟醸酒しかつくっておりませんので」。
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TEL 03-3818-5803, FAX 03-3818-5814 幻の日本酒を飲む会
篠田次郎