第29回木陰浮月粋人盃例会

歴史的1ページを刻んだ・・・!

『幻の大古酒・東力士吟醸古酒24年間分をくらべ飲む』

  特別例会として4月29日に,日吉「とおりゃんせ」を借り切って,第29回,幻の日本酒を飲む会・川崎支部・木陰浮月粋人盃を行いました。

 特別例会といっても普段の会の延長ですが80名を超える参加者が集まると広いはずの会場も少々パニック状態。
 吟醸古酒ビンテージを飲みくらべというひとつの吟醸酒の歴史を振返れるとあって,なんとも言えない熱気がある。
 休日にもかかわらずに駆けつけてくださった「幻の日本酒を飲む会」会長の篠田次郎先生の初公開「ここだけの秘密」トークがますますふんいきを盛り上げて下さった。

 いよいよきき酒。幻の会流の吟醸古酒のきき酒では古い方からなのだが,普通の古酒のきき酒は新しい酒から行なう事が多いので,今日は平成9年から昭和49年度産の古い方へときき酒して行く事になった。
 24年間分のビンテージ古酒をずらりとならべたテーブルは,真に圧巻で緊張感がある。

 きき酒がスタートした。一瞬,会場が静まりかえった。
 篠田先生がすごいスピードでいっきにきき酒を終えた。

 その後からみんなゆっくりとしたペースできき酒が始まった。順番を待ちながら様子を観察していると,平成6年度産を超えたあたりから味の変化の特徴にみんなが気が付き始めたのだろう「う〜ん,ちがう」とか「おぉ〜」と声にならない様な音を出していたり,ニヤニヤしながら次の古酒に手をのばす人もいたり,また精米歩合の変わる年や杜氏の変わる年など各所で,さまざまな形でビンテージのくらべ飲みの味の変化を楽しんでいた様だ。

 また,きき酒の資料として配った中に年度における酒の評価が少々載っていたのだが,必ずしもその時のきき酒において高いと評価をうけていた年度の酒があらに上のピークを目指しているとは限らず,逆に深く深く静かに熟成を続け,そして今まであまり高い評価の所に出てこなかった年度の酒が,めきめきとその風格を表わしてきていたりと,きき酒を終えた参加者方は,おのおので○○年度の酒が面白いとか,いや私はこっちの○○年度とか本当に,みんなが自分達のきき酒の感性でこの吟醸古酒を楽しんでいた事は,私にとっては最高の場面に出会った気分でうれしくて,うれしくて・・・。

 つまり,これらの吟醸古酒も確実に生きているのです。その瞬間,その時つまり「ライブ」でなければまったく意味を持たないのだ,この時のこの瞬間がとても大切なのではないでしょうか。
 そして参加して下さった多くの日本酒ファンの方々の心の中にきっと,この吟醸古酒との出会いは何かの形で深く,くっきりと刻まれたことだと思います。

 きき酒の後は,楽しむ会!
 楽しんだお酒は,平成9年・秋の関信局入賞酒と1年熟成の大吟醸をタンクか別で3種類。
 東力士の息子さんの島崎健一さんも各テーブルごとに質問に答えたり,楽しい話をしたりと,とても楽しくて実りのある会となりました。

 何度も無理を言って出品をお願いしました,東力士・島崎酒造様,本当にありがとうございました。
 また1万円を超える参加費にもかかわらずに参加して下さった粋人盃の方々,そして会場を提供して下さった「とおりゃんせ」大将の山田二朗様,わざわざ来て下さった篠田次郎先生と奥様,この場をかりお礼を申し上げます。