///  朮詣り、八坂神社  ///  (04/12/29)

 八坂神社で年越しにかけて行われる朮詣りです。

京都では大晦日の夜から元旦の朝にかけて八坂神社に詣でる、
「朮詣り」(をけらまいり)という風習があります。

神火の白朮火を吉兆縄に移し、その火が消えぬように縄を
グルグル回して持帰り、その火で、「おくどさん」に火を
入れ雑煮を焚いて食べると、一年無事に過せるという風習です。

京都では「かまど」のことを「おくどさん」と呼びますが、
もう「おくどさん」が残る家も少なくなって来ています。
「朮」、これ一字でおけらと読み、「朮」とは菊科の
多年生植物で漢方薬にも使われ、一年の邪気を払うと伝わる
正月に飲む屠蘇散(とそさん)、その屠蘇酒の原料です。
正確に書くと和名が白朮(びゃくじゅつ)と云う植物の根を
乾かした物が朮。

12月に入ると京都では「屠蘇あります」の貼り紙をよく
見かけることになります。
「屠蘇」の由来は屠蘇庵という草庵の名前に由来するとも
云われますが、もともとは中国の風習で、平安時代より伝わります。
三角の袋に入れ、大晦日に井戸に吊し、元旦に若水に浸した後に
酒またはみりんに浸して飲むと云う風習が伝わっています。
井戸が廃れた現在では、文献に伝わるだけの風習でしょうか。

またその昔、この「朮詣り」の折には、朮の火が点々とする
だけの暗闇の中でお互いに悪口を掛け合い、過ぎゆく年の
憂さ晴しをしたそうです。
この悪口は滑稽で奇抜なほど良いとされ、各町内同士で争った
そうですが、現在ではそのようなこともなく、観光行事化
している面もあります。
これも京都の都市化の一面です…

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