/// ずいき祭(瑞饋祭) ///  (01/09/26)

 「ずいき」とは里芋の茎のことを
云います。10月の京都は秋祭が各地で
行われますが、ずいき祭もそのひとつ。
北野天満宮で10月1日から5日まで
行われる祭です。今では菅原道真
ゆかりの天神さんこと、北野天満宮
ですが、ことの起こりは北野と天満宮
に分かれます。元々、北野(ほくや)と
云うのは大内裏の北側に広がる神聖な
地域のことを指していたそうです。
天皇が即位するときの大嘗祭など
種々の神聖な儀式の場としても使われる
所であったと云います。その北野で
延喜四年(904)には雷神を祀って
五穀豊穣の祈願が行われています。

この雷神を祀る神社が北野天神
(ホクヤテンジン)、今の北野天満宮
とはある意味では別の神社となります。
何故この北野天神が今の北野天満宮へと
結びついていくかは今回の本題ではない
ので別の機会に譲るとして、古い縁起を
辿れば北野天満宮は農事と深く関わりの
ある神社であることを知ることが出来ます。
雷神も農事と深く関わりがあり、また今の
参道、境内に鎮座する牛、梅花祭では梅を
供えますが、古くは菜種の御供と云って
菜種を供えていたこともそれに当て
はまります。

そして、この「ずいき祭」、五穀豊穣を
祈願する祭であることは一目瞭然です。
1日の神幸祭で神霊を移された鳳輦(ほう
れん)が北野天満宮を出発し、氏子地域を
巡行し西ノ京の御旅所へと出向きます。
その御旅所では「ずいき御輿」が座して
います。
屋根はずいき芋、四隅の瓔珞(ようらく)は
乾燥した金盞花(きんせんか)、瓔珞の
笠は赤なすび、神輿の四面には謡曲や
昔話を題材にた人物が飾り付けられて
います。これら全て野菜、乾物、海苔、
湯葉、麩、果物などありとあらゆる五穀が
使われています。唯一金属で出来ている
のは賀茂ナスをかたどった鈴ぐらいです。

その昔、五穀豊穣を祈り、新穀、蔬菜、
果物に花などを供えて神前に献上したのが
始まりで、江戸初期の慶長年間に今の
ようなずいき御輿が作られるように
なったと云います。
以前は八基ほどのずいき御輿があった
そうですが、今は田畑の都市化などに
よって、西ノ京の二基のみとなって
います。
左の写真が「ずいき」です。私も
畑に育っている光景は見た記憶が
ないのですが、かなり大きな植物で
あることが判ります。
屋根に葺かれている筒状のものが
それです。

なお、ずいき御輿は1日から4日の
午前中まで西ノ京の御旅所において
展覧されています。午後1時には
還幸祭として鳳輦と共に巡行に出発
しますが、鳳輦とは巡行経路が
異なっています。
西ノ京の御旅所はJR円町駅より北へ
すぐの北野中学校の西側です。
ずいき祭期間中は露店も出ているので
すぐ判ると思います。

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