住吉教会−神戸・淡路大震災の被災報告

恵みを増し加えられて
            住吉教会長老 長村文夫

 美しい花壇に囲まれた緑の芝生に建つライト・グレ
イのシンプルなデザインの会堂と牧師館兼集会所を眺
めていると、6年前の震災の朝、もしやと一片の望み
を抱きながら駆けつけたときに見たあの無惨に崩落し
た旧会堂の姿は、幻だったかのように思われます。
 1995年1月17日早朝の阪神大震災は、私たち
の住吉教会を直撃しました。会堂は全壊、牧師館兼集
会所は大破。そして教会員2名が召天、牧師夫人を初
め教会員数名が重傷を負い、多くの教会員の住居が全
・半壊という惨状でした。余震に脅えながら、寒風の
吹く崩れた会堂で主の日の礼拝をまもり、その後は山
田牧師を中心にストーブを囲んで、姿を見かけない
方々の安否の便りを聴き、食糧を分かちあったあの頃
の情景を思いかえします。
 そんないわば茫然自失の中にあった教会員を、教会
再建の願いの実現に向かって目覚めさせ、力付けて下
さったのは、交通途絶の困難の中をいち早く訪ねて下
さった大・中会議長をはじめとする多くの教職、教友
の方々の慰めと励ましの言葉でした。住吉の地に78
年の歴史を持つ福音伝道の灯を私たちで絶やすことは
出来ない、口にしなくても、その思いが等しく教会員
の胸に湧き、会堂再建への熱い願いに結実して行きま
した。
 被災わずか4か月後に、中会地震災害対策事務局を
通して多額の献金を頂いたのをはじめ、日本キリスト
教会の全国の教会・伝道所から合計3,200万円、
その他に全国の多くの教会、教友からの献金を頂くこ
とが出来ました。この献金が、財政的には言うまでも
ありませんが、私たちにとってどんなに大きな精神的
支えとなったか知れません。教会員の献金も、予想を
大きく上回る額が捧げられ、資金面で大きな懸念を抱
くことなく会堂再建を進めることが出来ました。今か
ら振り返ってみると、震災直後の、それぞれが精神的、
肉体的或いは経済的痛みを負う中で、よくぞ再建が成
し遂げられたと思います。
 被災から約2年、1997年2月16日に262名
という多数の参会者を得て献堂式を挙げることが出来
ました。天井の高いゆったりした空間をもつ礼拝堂、
そしてなによりも暖かい礼拝堂で礼拝を持つことの出
来る喜びを、互いにしみじみと分かち合いました。与
えられたひとつの試練を乗り越えて、このように順調
に会堂を再建出来たことに、神さまの恵みが私たちの
上に増し加えられているとの思いを新たにしました。
 震災から約6年、今、私たちの教会も、日曜学校の
生徒数が少ないとか教会員の高齢化といった課題に直
面していますが、会堂再建に立ち向かったときに、ひ
とりが胸に抱いた福音伝道への熱い思いが消えない限
り、たとえそれが如何に困難でも、主の導きのもと
に、祈りつつ前進して行けると信じています。
 最後に此の機会をかりて、皆さまが住吉教会の再建
のために捧げて下さった祈りとお支えに、あらためて
深く感謝致します。           (以上)


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