このページではベルセルクにおける数々の謎等を独自に考察しています。
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○舞台設定に関する話

 ベルセルクはファンタジーであり、フィクションでしかない。よってその舞台設定を言及しても仕方ないと言われるかも知れないが、ストーリーを理解する(のめり込む)上で効果的な方法として、自分の身近なものに置き換えることが一番であるため、無理やりにでも考察してしまおうと思う。

 ベルセルク世界の時空軸(時代設定)は、一見して分かるように中世と思われる。未だ戦闘で銃が普及しておらず、異教徒狩りや魔女などといった表現がなされているのもまた象徴的に中世ということを物語っている。

 では、空間軸(位置・場所)はどの辺りであろうか?
 こちらは作品中に描かれる幾つか内容が競合・反発しており、現実世界に当てはめることがかなり難しい。むしろ、個々に矛盾点等の内容を把握して独自に世界構築したほうが無難というしかない。せっかく始めた考察を途中で止めるのもなんなので、最終段階で何とかすることとしたい。では・・・

 ベルセルクにおける全ての事柄は「ミッドランド」という国を中心に語られている。本作品の記述にあるとおり、その国名は「国の中央の地」を意味し、約1,000年前に大陸全土を統一した覇王ガイゼリックが築いた都の名に由来する。このことから、位置的には大陸の中心付近ということが分かる。実際、ミッドランドで描かれた風景は深い森と丘陵や平原の風景がほとんどである。

 ところが千年帝国の鷹篇になって初めて海が登場した。キャスカを安全な場所へ避難させるべく西のパックの実家を目指し旅をするガッツ一行はヴリタニス港が対クシャーン連合国軍の軍艦停泊地となっていることを知った。
 このパックの実家については何処にあるのかハッキリしていないが、パック自身の話「ちょっと遠いけどこの世界の何処よりも安全な・・・」「エルフ郷 そこははるか西の海に浮かぶユートピア」が事実とすればミッドランドの西には海があることになる。

 同じく現在ミッドランド西部は戦争中に木材を大量に伐採したことでハゲ山が多いとの事である(「生誕祭の章 啓示(1)」より)
 通常、木材が必要な場合は遠くから大量に運ぶより手近で対応するものであり、そのような状況が生まれているとすれば戦争がミッドランド西部で行われた可能性が強い。

 そこで思いつくのが「チューダー帝国」との100年戦争であるが、これはどうやら思い過ごしらしい。
 というのは、1998年に刊行された「電撃戦増刊号」22〜23ページにチューダー帝国が東の海洋国であるとの記述があった(これはオフィシャルデータなので信用せざるを得ない)ためである。
 なお、「海洋国」の定義としては、海を活用して交易・侵略・防衛し、進歩発展してきた国家をいい、逆に、隣国との競り合い・領土拡縮・離合集散を繰り返して生存発展してきた国家は「大陸国」と分類されるものと考えられる。
 つまり、このことは、ミッドランドの東側にチューダー帝国が存在するということだけでなく東側に海が存在していることを物語っている。
 ちなみに、この「チューダー」という名称、旧大英国でエリザベス1世までの一時期の王朝を「チューダー朝」というが、これが基になっているのかも知れない。

 また、ドルドレイ城塞に常駐したゲノン総督の肩書は「チューダー帝国北方戦線総司令官」であったことから、チューダー帝国はドルドレイ城塞の南東に存在することになる。
 ただし、ミッドランドの位置関係はこれだけでは分からない。

 一方、ミッドランドの東というとクシャーンも存在していることが判っている。
 現在「ミッドランド」に侵攻しているクシャーンであるが、その進攻に際して、象部隊とおぼしきものが存在するようである。
 これは、インドなど中東・東南アジアで用いられた用兵に近く、象の存在及びバーキラカの姿から見てもクシャーンは、気候的に熱帯に近い国と考えられる。
 なお、紀元前218世紀頃に、カルタゴの将軍ハンニバルが象部隊を伴なって、スペインからビレネー山脈を越えてローマへ侵攻しているが、これもスペインがカルタゴ領であったため、カルタゴから連れてきた象部隊を利用したものと考えられる。

 また、断罪編生誕祭の章「聖地へ(1)」で法王庁が聖鉄鎖騎士団に届けた報告によれば、「山脈を越えて遥か東方よりクシャーン人の大軍勢がミッドランドへ攻め入った」ということになっている。この報告からすれば、クシャーンはミッドランドの遥か東に存在する国であること、ミッドランド東方に山脈又は山が存在していることが判る。

 また、ミッドランドと、チューダ−帝国及びクシャーンの位置関係であるが、ミッドランドとクシゃーンの間は山脈で隔てられているが地続きであり、その間にチューダー帝国は挟まないと考えられる。
 もし、ミッドランド←→チューダー←→クシャーンの位置関係だとすると、クシャーン軍がミッドランドに侵攻するためには、チューダー帝国を通らなければならなくなるが、この場合、たとえチューダー帝国内が覇権争いの最中で外征どころではないとしても、外敵が進行してくれば一丸なって対処するのが普通と思われ、そこにはニ強国の戦闘が発生していた筈である。この場合、クシャーン軍といえども時間と兵力を費やさざるを得ず、ただでさえ山脈越えによる疲弊をおしてミッドランド占領を目論むクシャーンにとってマイナス要因の何物でもなかったはずだ。
 従って、クシャーン軍はチューダー領を通過することなく山脈越えのみでミッドランドに辿り着いたと考えるべきで、かつ、クシャーンとチューダーも山脈によって隔てられていると考えて良いのではないだろうか。
 加えて、前述の「海洋国」の件を踏まえると、チューダー帝国のドルドレイ駐留軍は大陸侵攻のための橋頭堡に過ぎず、チューダー本国は海を隔てたところにあるんじゃないか(豊臣時代に仕掛けた朝鮮出兵みたいに)とも最近は思うようになっている。

 更に、ミッドランドは冬期間に雪が積もるため、気候的には熱帯ではないことが判明しており、クシャーンと同緯度とは考え難い。(同緯度だとすると気候的にこの違いは奇妙である。)

 しかし、象部隊は現代でいう重戦車部隊のようなものであるが、その分進行速度は遅く、食料補給問題も出てくるため長距離に渡る行軍は無理に近く、2国間の距離はそれほど離れていないと考えるのが普通であろう。まして象部隊が山脈を越えるのはかなり困難と言わざるを得ない。
 前述したハンニバルのピレネー山脈越えについては、5ヶ月1000km程度の行程という話があって、これは東京−九州間程度と想定できるが、仮に、ミッドランド−クシャーン間がこの程度だとしても気候が極端に変わるような距離ではないはずだ。

 こうしたことからクシャーンはミッドランドの南東に位置しているものの、法王庁の報告は誇張で、実はミッドランドとクシャーンの距離はそれほど離れているわけではないと考えられる。
 たとえば、ミッドランドは低山に囲まれた高地に、クシャーンは低地に位置させることで、近距離であっても気候的違い説明できるかもしれない。

 同じく、東には、このクシャーンと何度も交戦しているモルガル公国とワラトリア公国があるという。
 ヴリタニスに軍を派遣していることからいずれも海に面し、並列的に配置されているものと考えてよいだろう。
 ただし、この2国は法王庁教圏の東端に位置していることになっており、更に東には、別の価値観をもった国々が存在している可能性は高い。あるいは大帝国のクシャーンが東側を既に制圧しているということも考えられなくはない。

 このほかグルンベルド率いる三千の兵が守っていた北の小国の話がでてきており、ミッドランドより東のチューダー帝国がこの国を攻撃していた点からすると北の小国はミッドランドの北東に位置していたと考えられる。
 更に、ミュールがグルンベルドの戦死について思い出す場面があったが、ミュールにとっては死んだはずのグルンベルドが生きていたとしてもあまり問題とならない程度の時間的範囲、つまり北の小国をグルンベルド達が守っていたのは人間の寿命程度に収まるごく近年と考えられ(ゾッドのように何度も戦場に現れているとすれば別だが、そういった話は出てきていない。)、チューダー帝国がこの北の小国への侵攻するにおいて、北方にあるドルドレイ要塞を橋頭堡としただろうと推測できる。

 同じく、その法王庁教圏の国々として、バルデン王国とそこから独立したばかりのランデル共和国、小国群によるパネリア同盟のラーナとファリス、ニーセ、ヴリタニスが明示された。
 このうちヴリタニスには、クシャーン侵攻に対応すべく連合国軍が集結しているヴリタニス港がある。

 ここで、ミッドランドと海の関係について考えてみると、これまで海が描かれたことがないことに気づくだろう。こうしたなかで、法王庁教国連合軍の集結地点をミッドランド領ではなく、わざわざ他国のヴリタニスに設けているのである。
 ミッドランド領内へ大軍で攻め込むのであれば、海岸線から一斉に上陸させる方が手っ取り早いはずなのに、敢えて離れた港から軍を進める手法を採っているとことを見ると、ミッドランドには大海へ繋がる海が存在しないということが言えると思う。また、もし海があったとしても、海岸線すべてを封鎖できる程度のものでしかないと考えられる。

 ミッドランドにおける食料はパン、チーズ、肉、スープなどでごく一般的なもの(中世の庶民から見ればかなり豪華ではある)であるが、エリカが「腕によりをかけた」ときにみせたトマトらしき物やガッツが眠気覚ましに使ったコカの葉なんかもあり南国を思わせる物も描かれている。逆に何でも在りなのか?

 さて、ここまで幾つかの基礎データを出してきたので、無理やりまとめてしまうことにする。
 ミッドランド(首都ウインダム城)は、大陸の中心部付近のかなり広い比較的肥沃な高原に位置しており北部・東部に山脈または高山を持つ。南と西には海が広がるが直接は海に面していないか、もしくは内海しか持たないと考えられる。
 気候は温暖であるが冬季には雪が見られ、偏狭部においては熱帯に属する地域も存在している。
 大陸自体それほど大きくないものの、覇権をめぐって幾つかの強国が戦闘を繰り返していおり、ミッドランドは地形的関係上、東のチューダー帝国に対してはドルドレイ要塞、南東のクシャーンに対しては山脈により容易な進入を許さない防衛体制を敷いていたものと見られる。西側は木材を切り出しやすい程度の低山が多く、このため戦時調達によりハゲ山と化している。また、その他方面は高山が存在するためか現在のところ話には出てこない以上いずれも脅威となっていないらしいが、ヴリタニス港に諸国連合軍が集結している点からしてミッドランド周辺には幾つかの国が張り付いていると考えるべきだろう。

 とりあえずこんなところであるが、結構無理がある感じもするよなぁ。うーん、結局よくわからない。以上!
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