このページではベルセルクにおける数々の謎等を独自に考察しています。
これらはあくまで個人的なものであり、ここで記述された内容には独善や誤解による間違いが含まれている可能性があります。
万一、これにより貴方に何らかの障害が発生したとしても当方では一切責任を負えませんのでご了承ください。

○賢者についての一考察

 断罪篇 生誕祭の章 猛信者において、モズグスが「賢者」について次のように語っている。
「この塔(断罪の塔)は、覇王ガイゼリックによって幽閉された賢者が、あらゆる拷問の中、王の罪を神に訴えつづけ、ついにには天使を降臨させえた・・・」
 更に、おとぎ話「ドクロの王様」はこの続きを伝え、天使達が帝都ミッドランドを雷と大地震で一夜の内に地上から跡形もなく消し去ったとしている。
 なお、その崩壊した都は再生の塔の地下に存在する縦穴に没したらしく、ベルセルク10巻において、烙印を刻まれた無数の死骸と共に穴の底に映し出された。

 これらの事実関係は不明ではあるが、物語の根幹に関わる大事件であるにもかかわらず、何故かベルセルク本編ではこの「賢者」についてほとんど触れられていない。

 そこで、「賢者」は何者かについて現在考え得るパターンを以下に整理してみた。
 なお、ここでは「賢者」となれる対象者について考えるものとし、賢者が天使を降臨させた理由などについては考察から除外し、別途考えることとする。

1.天使長ボイド
2.髑髏の騎士
3.魔術士

● 1については、現在のところ最も有力な説である。
 ベルセルクにおいて、降臨させえた天使はゴッドハンドと考えられる。
 また、再生の塔の地下深くに眠る無数の生贄(烙印の死骸)が必要であったとすれば、それは「蝕」と考えるのが普通であろう。(生贄とされた喰い散らかされていないのが気になるが・・・)
 更に、この蝕で転生した「賢者」は、ガイゼリックの治世が約1000年前の話であるので、216年に1度という蝕の発生周期から逆算すると5人のゴッドハンドのうち最初に転生した者でなければならない。
 そこで、現在のゴッドハンドを見てみると、ボイドが天使長と呼ばれる所以は、ゴッドハンドの筆頭=最初のゴッドハンドであることに由来すると解釈できる。
 従って、転生前のボイドが「賢者」である可能性は高い。
 ただし、この場合、ボイド以前のゴッドハンドがどうなったのか、また、断罪の塔にいた「賢者」と再生の塔の生贄の間には空間的に距離があり過ぎ、蝕の影響が離れた空間にまで及び得るかといった疑問は残る。

● 2については、基本的に可能性が薄いと考えられる。
 髑髏の騎士が博学であること、1000年前から人外に仇なし続けていることによるが、「賢者」であるという決め手に欠ける。
 むしろその容貌から覇王ガイゼリックであるという説が有力である。

● 3については、上記とは逆に降臨させえた天使を聖なる力としてみた場合を考えている。
 魔術(Magic)の語源「magi」とは、新約聖書のマタイによる福音書(マタイ伝)において博士・学者・占い師・賢者などと訳されており、元々、ペルシアの僧侶階級の呼称であったが、後に人知を超える知恵を持つ存在をこう呼ぶようになったとされている。
 こうした意味からすると賢者=魔術師という解釈も成り立つのでないだろうか。
 イーノック村でシールケが発動させた儀式魔術は東西南北に元素霊の王(透明な四王)を召還しており、これらの類を天使とみなすことは十分できると考えられる。更に、より強大な魔術を発動させることができれば、おとぎ話「ドクロの王様」にある現象を再現できるかも知れない。(魔女見習いより、本物の魔術師の方が魔力も強力でしょうから♪)
 また、ちょっと極論になるが、約1000年の当該「賢者」はフローラ自身だったという可能性もないわけではない。
 むしろ、新生・鷹の団が彼女の首を狙ってきた理由について考えると、グリフィスの支配を覆しかねない程にフローラの魔術が強大ゆえとしたほうが説明し易いように思う。

 なお、上記1、2、3、その他いずれにしても再生の塔地下深くに眠る烙印の死骸については別の説明が必要となる。

Copyrights LostNumbers Product in japan,All right reserved