このページではベルセルクにおける数々の謎等を独自に考察しています。
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○ドクロの王様伝説〜帝都「ミッドランド」の消滅〜

 ドクロの王様は、
 「悪行の限りを尽くすドクロの王様の所業を見かねた神さまが、5人又は4人の天使を遣わし、一夜にしてその都を跡形もなく消し去ってしまった」
 というお伽話。
 ベルセルクの中ではかなり重要なプロットである。

 消し去られた都「ミッドランド」は実在し、現在の「ミッドランド国」の名の由来となっただけてなく、消し去られた都の跡地に再生の塔が建っている。
 しかも、その底部には烙印を刻まれた死体が山積み状態。
 また、断罪の塔は、幽閉された賢者が王の罪を神に訴え続け天使を降臨させた聖地として設定されている。

 ベルセルクにおいて、これらの事項は「蝕」の発生を容易に想像させるが、ここは敢えて「蝕」発生の有無2つのパターンに分類して考えてみたい。
 @ 消滅した都で「蝕」が起こった場合。
 A 消滅した都で「蝕」は起きていない場合。
 
 @のパターンでは、天使はゴッドハンドであったことになるが、ここに不明な点が2つ生じる。
 1つは、天使を呼び出した者と烙印の死体達は誰かということ。
 1つは、そのときの天使の数が5人か4人かである。

 降魔の儀においては、望みを成就させる代償として、人間性の喪失が要求される。それは、愛する者の命であったり、大切な仲間であったり、その人が最も心のよりどころとしているものを生贄として差し出すのである。
 とすれば、刻印の死体達はゴッドハンドを呼び出した者にとってかけがえのない人達であったと当然考えられる訳であるが、その関係を表す記述がほとんど見当たらず、唯一、ガイゼリックにあらゆる拷問を受けていた賢者がついに天使を降臨させえたという記述があるのみである。
 単純に解釈すれば、烙印を刻まれた人々は賢者の恩師や弟子達であり、ガイゼリックへの復讐のため、ゴッドハンドを呼び出し帝都を消滅させたことになるが、どうも釈然としない。
 というのは、賢者が天使を降臨させたのは断罪の塔であるらしく、蝕による異世界内に生贄とされる人々が集っていない点、及び、自身の変革(転生)以外の形で望みを叶えることになる点で今まで例がないからだ。

 むしろ、大切な帝都と家臣や臣民を生贄に、ガイゼリック自身がゴッドハンドを呼び出し転生したと考えるほうが自然に感じる。大陸を平定して敵の居ない環境にガイゼリック自身がに耐えられなくなり、より強大な敵を求めた、という解釈も成り立たないわけではない。ゾッドあたりならば在り得るかもしれない。
 また、降臨した天使が実はゴットハンドでない他の「何か」ということも考えられる。ベルセルクにおける超常的存在は他にもあり、本物の天使が降臨したとしてもさほど驚くには値しない。
 しかしながら、さすがにこれらの考え方は、物語上外れていると考えられるため頭の片隅にでも置いておく程度にしたい。

 さて、話を戻して、帝都と刻印の死体の件であるが、
「ゴッドハンドを呼び出したのは賢者で、刻印の死体は賢者に縁のある恩師や弟子達であるが、実はガイセリックと帝都そのものは降魔の儀とは関係なく、転生のために生贄に捧げられた人々がたまたま帝都に居ただけで帝都はその影響を受けて壊滅したに過ぎない」
というものが考えられる。生贄は必ずしも同じ刻、同じ場所に集っていなくてもよいのかもしれない。
 この仮説は不明点の2つめを同時に解決する。あれ程の数の生贄を必要としたとすれば、賢者はゴッドハンドの1人、もとが賢者であれば天使長ボイドあたりに転生したと思って間違いなく、ゴッドハンドが呼び出された時点から1人増えているのだから、当初は4人で後に5人となったとすれば天使の数がはっきりしない点も説明できる。
(ただし、この仮説は別な問題を生じさせる。というのは、フェムト誕生時に登場したゴッドハンドは4人だったことは周知のとおりで、数が合わないということである。しかし、グリフィスのように千年に1度受肉したのかも知れないし、当初は3人で、増えて4人となったという数の誤解かもしれないということで説明は可能である。)


 Aのパターンでは、帝都消滅は「蝕」と関係なく、再生の塔深くに眠る烙印の死骸達は、帝都において何らかの儀式が行われていた形跡ということが考えられる。
 これは、死骸が死体としての形を保っている点と、総じて額に烙印が刻まれている点に注目したものである。
 
 天使がゴッドハンドであるならば、使徒は当然存在していたはずであり、蝕における生贄は彼らに喰い荒らされていなければならないが、しかし、これらの死体には全く乱れが見られない。
 また、降魔の儀における贄の烙印は人体のさまざまな部位に刻まれるもので、額部に限定されていない。(参照:12巻P203)
 従って、これは「蝕」の形跡ではない可能性が高い。
 
 更に、全ての額部に深く烙印が刻まれていることからすると、ガイゼリックが行っていた拷問の痕ということも考えられないではないが、やり方が一辺倒過ぎるため、むしろ、帝都で行われていた何らかの儀式を想定した方が説明しやすいように思える。
 それが帝都と共に地下深くへ沈没したため、再生の塔下の状態ができあがったのではないだろうか。
 帝都を消滅させた天変地異が、「魔術」によって引き起こされたものだととすれば、賢者は魔術師、降臨させえた天使を四元素霊と置き換えれば、十分説明に耐えうるだろう。
 (ただし、帝都を消滅させた理由については、ガイゼリックへの復讐あるいは魔の駆逐、その他など、別に考える必要がある。)

 かなり説得力を持つように感じるのは自画自賛というべきかな♪
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