このページではベルセルクにおける数々の謎等を独自に考察しています。
これらはあくまで個人的なものであり、ここで記述された内容には独善や誤解による間違いが含まれている可能性があります。
万一、これにより貴方に何らかの障害が発生したとしても当方では一切責任を負えませんのでご了承ください。

○魔名(ゴッドハンドの名前)

  以下は「魔名(ゴッドハンドの名前)」に焦点を当てたBBSスレッドを整理したものです。書き込みいただいた皆様に改めて感謝いたします。

ゴッドハンドの名前の元ネタ 投稿者:胡乱 投稿日:2002/08/19(Mon) 19:51 No.597  
はじめまして。たまたま別件で検索したところ、このサイトの名称設定のところがヒットしたので拝見しました。
なかなかの労作ですが、ゴッドハンドの名前には、

コンラッド→ロジャー・ゼラズニイ『わが名はコンラッド』
ユービック→P・K・ディック『ユービック』
スラン→A・E・ヴァン・ヴォクト『スラン』

というSF作品の元ネタがあることを指摘しておきます。


Re: ゴッドハンドの名前の元ネタ lostnumbers - 2002/08/19(Mon) 23:27 No.600   HomePage

胡乱さん、初めましてー。カキコありがとうございました。
ベルセルクがSFを元ネタにしている部分ってかなり多いですよね。ゴッドハンドにしてもヘルレイザーばりですし♪
私が名称にそれぞれの意味を追求するのはソコに何か繋がりやら意図があるかもなんていう願望みたいな物があったりして・・・
通常でも親が子供の名前をつける場合にも何らかの意味を考えるじゃないですか。だから元ネタのSF作品であってもその作者の意図があるんじゃないかと・・・。この辺りが独善的なんでしょうねー(笑)

つーことで、これからもドンドンご指摘お願いします。
ところで胡乱サンはそれぞれの作品(元ネタ)を読まれていますか?


ピピン 胡乱 - 2002/08/20(Tue) 15:03 No.605  

ベルセルクって、内容自体にもSFの影響が感じられますね。使徒ロシーヌなどキャノピーにジェット推進機能つき! ボイドが髑髏の剣士の繰り出す剣を逆に着き返した変な球体も、クラインの壺空間で空間湾曲というSFネタでしょう。

ちなみに上に挙げた作品は一応持ってるけど情けないことに積ん読。読んでいれば、中身からそれぞれのキャラクターとの共通点を探れたかもしれないのに。
私はSFファンですが、趣味はガチガチのハードSF(クラークフォワードシェフィールド石原藤夫堀晃etc)とライトノベル系のお気楽スペオペ(銀英伝星界の紋章ロストユニバースクレギオンエリアルetc)の両端極に偏っており、古典には弱いもので……両方の要素を併せ持つ山本弘とか野尻抱介がストライクゾーンど真ん中で、ディックは好みじゃなし、ヴォクトは『ビーグル号』しか読んでないという偏食者です。いつか読もう……

あと他の元ネタですが、ピピンは世界史の人物ピピン(シャルルマーニュの父小ピピンなど)が由来だと思ってます。でもキャラクターはモンゴリアンなのであやしいかも。


ボイド 胡乱 - 2002/08/20(Tue) 15:09 No.606  

付け加えるなら、私の顔でもある「ボイド」もただの「空間」ではなく、天文学では泡沫状の宇宙の大規模構造で銀河団の間隙となっている直径一億光年以上の超巨大空間が「ボイド」と呼ばれているので、そこから採ったのだと思われます。あるSF作家によれば、ボイドの中心には孤立ブラックホールか斥力によって銀河団から離れている「負の物質」(反物質ではなく、引力のかわりに斥力がはたらく仮想物質)が鎮座しているとか。

参考
http://spaceboy.nasda.go.jp/note/shikumi/j/shi05b_j.html


Re: ゴッドハンドの名前の元ネタ lostnumbers - 2002/08/20(Tue) 23:52 No.607   HomePage

胡乱サン、重ね重ねありがとうございます。
私の方はスペースオペラ系以外ほぼ皆無です。そして、今では本自体読まなくなってしまいまして、良い睡眠薬と化しています。(苦笑)

そうそう、天文学上のボイドについては以前調べていたときに「イミダス」や「現代用語の基礎知識」でも「何もない空間」同様のことが書いてありましたわ♪
確か他の項目の一部でかなり省略されてましたので、胡乱サンの詳しい解説は嬉しい限りですね。しかも判りやすい!ブラボー!!!
考察に追記せねば・・・。

ところで胡乱サンはボイド好きのようなので、一つ質問を・・。彼の黒マント(?)の中ってどうなっていると思います。
骨ばっかりとか、皮を剥がれたままとか・・・。
うわー、キモくなってきたッス!


ボイドの体 胡乱 - 2002/08/21(Wed) 12:43 No.608  

ゴッドハンドの中ではたしかにボイドが一番好きですねえ。髑髏ファンなもんで。(高校の時、生物の授業で本物の人体骨格の髑髏を手に持ったこともあります)

ボイドのマントの下は……「蝕」の場面で、常人ならくるぶしのところまで垂れたマントの裾から手がのびてある一点を指しているシーンがあるので、とうていまともな形ではないでしょう。

グリフィスがゴッドハンド・フェムトに化身したところでは、もとの鷹を模したヘルメットがギーガー風外骨格として再現されています。つまり、ゴッドハンドになる前の身体状態や装備品がある程度容貌に直結しているということ。

そしてボイドの容貌から察するところ、鼻と口の周辺の皮膚が剥かれ、目が縫いとめられ、脳が露出しているので、彼がゴッドハンドになった状況は拷問を受けているさなかであろうと予想しています。となると体もずいぶんいじくられているだろうと……きっと首の下の普通の人体なら胸にあたるところから手がずっと伸びているのでは?
Å←オングストロームの記号のような感じで。

ま、以上の考察は原典を確認しないまま記憶のみで書いているので、チェックしてから修正や取り消しすることになるかもしれません。


Re: ゴッドハンドの名前の元ネタ 復讐の叫び - 2002/08/21(Wed) 21:45 No.610  

>となると体もずいぶんいじくられているだろうと……

こんばんは、横からすいません。
中身が抜かれて空っぽになっているとか・・・?ピピンが蝕でやられたみたいに。名前がボイドですし。


void改造計画 lostnumbers - 2002/08/22(Thu) 00:06 No.612   HomePage

胡乱サン
>普通の人体なら胸にあたるところから手がずっと伸びている・・
それが転生前の身体状態だったら、拷問というより改造手術でんがな!案外、腰には変身ベルトがついてたりして・・・(ライダー・笑)
描かれた事例がフェムトだけなので明確ではないですけど、仰る通り私も転生前の状態がある程度反映されているんじゃないかと思いますね。ボイドの場合はヤッパリ断罪の塔で拷問されていた賢者と考えていいのかな。

復讐の叫びサン
>中身が抜かれて空っぽになっているとか・・・
ボイドの言葉的意味からすると有るかも。他にもマントの下は思念の「うねり」空間に直結しているとかも考えられますな。

そういえば、ピピンを喰ったのはナメクジ伯爵でしたね。ぬぅぅ許せんぜ!


ゴッドハンドの人間時代予想 胡乱 - 2002/08/22(Thu) 11:34 No.613  

>中身が抜かれて空っぽになっているとか・・・?ピピンが蝕でやられたみたいに。名前がボイドですし。

その可能性はありますね。カラテ地獄変シリーズにもナチスのそんな拷問方式がありました。いわく意思を保ったまま体中の肉を外科的に切除と。ボイド=体腔の空洞というわけか。

>描かれた事例がフェムトだけなので明確ではないですけど、仰る通り私も転生前の状態がある程度反映されているんじゃないかと思いますね。

ほかに「蝕」以外で登場した場面も参考になるかと。
たとえば見るからに淫魔というスランは邪教徒の乱交の狂宴で焔の影としてあらわれたし、畸形児のようなコンラッドはドブネズミの集団として登場します。

そしてゴッドハンドの元となったSF作品にもヒントは隠されていると思います。いぜん読んでないのですが、書評を検索して確認した限り、『わが名はコンラッド』は、最終戦争後の荒廃した地球、核兵器の放射能とおぼしき汚染でミュータント化した生物が徘徊する舞台なのでコンラッドとはいかにもぴったりの命名です。
『スラン』は並外れた力を持つゆえに迫害され追われる超能力者の少年の話。
おそらくスランは魔女裁判で処刑されかけた本物の魔女、コンラッドは『銃夢』のマカクみたいな境遇にあった畸形児が元なのでは?

ただ『ユービック』は時間の流れが狂った世界という話でゴッドハンドとの共通点は見出せません。あのメガネからすると、人間時代には大臣や錬金術師など知識階級に属していただろうと推定できますが。

>それが転生前の身体状態だったら、拷問というより改造手術でんがな!

「蝕」でボイドがグリフィスの心に描いていた城手をのばして指差しているシーンを確認しました。手は六本指で、異様に長いのなんの。もし顔面が普通の人間サイズなら2メートルはあるでしょう。もしあれが私の予想通り拷問時の状態であれば、きっと両腕を落として足に結わえたところだったりして……


Re: ゴッドハンドの名前の元ネタ 復讐の叫び - 2002/08/22(Thu) 22:59 No.615  

>『ユービック』は時間の流れが狂った世界という話でゴッドハンドとの共通点は見出せません。

ユービックは時空間を開いて伯爵やグリフィスをいぢめていたので一応つながるのでは?

大好きなスラン姉様の元小説は超能力少年ですか・・・。ベルセルクでの人間時代の設定はもうすごく魅力的な高級娼婦か貴婦人を期待しています(笑)。


ユービック 胡乱 - 2002/08/23(Fri) 09:38 No.616  

そういえばユービックはグリフィスや伯爵の深層心理を幻影によって映し出していましたな。

そしてディックの『ユービック』の内容は、
・情報技術によって死者が死をひきのばされて半死者になる世界で、主人公が自分は生きているのか死んでいるのかわからなくなり、実はすでにネットワーク化された脳に情報が送り込まれてきているに過ぎないのではないかという疑念を持つ。
・作中ではあらゆるものが時間退行現象を起こしている。半死人も力が衰えて死に至る。
・「ユービック」は時間退行を阻止して死に至りそうな半死人に緊急にエネルギーを注入する特効薬として出てくる。
(以上、書評サイトよりパクってきました)

とりあえずこんな話らしいのですが、『ベルセルク』で死にかけのグリフィスや伯爵に主に語りかけて「いぢめる」のがユービックというところが共通していそうです。

ああ、はやく三作は読まんことには話にならないな。


Re: ゴッドハンドの名前の元ネタ lostnumbers - 2002/08/24(Sat) 00:21 No.618   HomePage

各SF小説の内容と名前の関係、実に面白いなですねー。私も読んでみたくなりましたわ。
このスレはそのうち一つのページ作って残しときますね。

胡乱サン
>ボイド・・・両腕を落として足に結わえたところだったりして
城を指差したときは腕が身の丈より長く見えますね。長げー!
その後、烙印を頭上に両手で掲げるシーンがありますので、もしも腕が足に結わえられていたとしたら、物理的に立っていることができないでしょう(異次元空間で物理的つっても意味ないですが・・・)
若しかしたら上腕をもう一つくっ付けているのかも。

復讐の叫びサン
>スラン・・・魅力的な高級娼婦か貴婦人を期待して・・
ワイアルドの例もあるので元の姿は下手をすると高齢のお婆ちゃんかも?胡乱サン予想の魔女だったらフローラ様の師匠だったりして(笑)


スランの前世は? 胡乱 - 2002/08/25(Sun) 13:26 No.619  

>このスレはそのうち一つのページ作って残しときますね。

それは光栄です。読み返してみると、普段は2chでもヤフーでも個人サイトでも掲示板にあまり投稿しないのに、けっこうな分量を書いたもんだ。

>その後、烙印を頭上に両手で掲げるシーンがありますので、もしも腕が足に結わえられていたとしたら、物理的に立っていることができないでしょう(異次元空間で物理的つっても意味ないですが・・・)

浮いていたのでは? ゴッドハンドにとって空中浮揚は簡単でしょう。ドラクエ6のデスタムーア、ダイの大冒険のキルバーンが使用したジャッジ、ジョジョ第三部のスタンド、死神(デス13)など胸から上と腕だけで浮揚しているキャラはたくさんいます。
ただ足を描いたシーンの有無はまだ確認していないので、マントの下がどうなっているのかは断言できませんが。

スランの正体は、私はサバトの魔女と予想してます。主催者かただの一参加者かはわかりかねますが、ベヘリットをたまたま手にした彼女が異端審問で処刑されようというところ、ベヘリットの導きで蝕に入って、そこで仲間全員を奉げてゴッドハンドに化身した……と。コンラッドは恐らく疫病発生地で死産された畸形児と思いますが、ユービックは手掛かりが少なすぎて不明ですね。


ボイドとフェムト 胡乱 - 2002/08/25(Sun) 13:48 No.620  

さて、ここからはフェムトの元ネタについてちょっと考察。
「フェムト」の名義自体はすでに明らかです。

単位のおはなし
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAIYO/osen/topics/units/units.htm

これを見てのとおり、「フェムト」はSI接頭語の一つですね。でも由来がわかったとしても、なぜ「フェムト」という言葉を選んだのか、なぜ「エクサ」「ゼプト」「ヨクト」とかでないのかまでつきとめないことには居心地が悪い。案外、単に「語呂がよかったから」かもしれませんが、それでは身も蓋もないので以下に私の想像を述べます。

実は、科学技術の最先端の世界では「フェムト秒」の単位がよく使われます。これは人間の技術が及ぶ限り極限的に短い時間で、どのぐらい短いかというと、一秒に地球を七周半する光が1フェムト秒の間にはわずか0.3ミクロン、ほとんどウィルスサイズほどの距離しか進まないのです。このフェムト秒単位のパルスを持ったレーザーが電子状態や格子欠陥の検査などで使われています。フェムト秒技術の詳細はgoogleなどで検索すればたちどころに出てくるので説明は省きますが、とにかくたくさんあります。きっとここから「フェムト」を選んだのでしょう。三浦氏はハードSFファンでもあるのでしょうか。

ところで、ゴッドハンドの中でも、ボイド・グリフィスの二者とユービック、スラン、コンラッドの三者では性質が大きく違うように思われます。

名前からして、前二者は大宇宙の空虚とSI接頭語という科学用語なのに対し、後三者は古典SFの題名。称号もボイドが「天使長」、フェムトが「渇望の副王」を戴いております。ゴッドハンドとしての役割も、後三者は補佐的な役目なのに対して、ボイドは主導者、グリフィスは受肉して地上に降り立つという顕職です。

このように、ボイドとフェムトはゴッドハンドの中でも別格的存在なのです。さらにいえば、両者には明らかな対称点、共通点があります。

まず対称点を述べると、ボイドはおそらく最古のゴッドハンドなのに対しフェムトは最も若い。また科学用語としての「ボイド」は銀河団の泡沫状構造の空隙で直径一億光年という巨大の極限であるのに対し、「フェムト」は微小の極限。こじつけを承知で続ければ、黒と白、闇と光、醜悪と美貌、空間と時間という対立項も見出せます。ゴッドハンドはみんな黒、闇系統じゃんか、フェムト秒はお前の想像だろと突っ込まれればそれまでだけど。

類似点は、先述したように、どちらもゴッドハンドの中でも別格的存在というところ。そしてともに宿敵ともいえる剣士に付けねらわれているところ。ボイドにはガイゼリックゆかりとおぼしき髑髏の剣士、フェムトには黒の剣士ガッツですね。ここからすれば、ボイドとフェムトは常物質と反物質のごとき対となる存在ではないか。紙の裏表が決して引き剥がせないように、ボイドとフェムトは反属性のそれぞれの顕現ではないか……

それにしても、ここまで深読みできるとはベルセルクは凄い作品ですな。


voidとfemto lostnumbers - 2002/08/22(Thu) 00:06 No.***   HomePage

>ここまで深読みできるとはベルセルクは凄い作品ですな。
胡乱サン自身も十分スゴイですわ♪

ボイドとフェムトは他のゴッドハンドとは別格なのだという点、非常に納得できます。特にフェムトは新参なのに神の手(祭壇など)の「人差し指」の位置ですから、No2扱いなのかも。
私が思うに、この二人は三浦先生の構想上において最初から確定していた存在なんじゃないでしょうか。現状までのところ、全ての事象に関する限り、他のゴッドハンドがいなくても問題無さそう(まー、それぞれ役割があるのでしょうが)ですし・・・。
指の数(5)にツジツマ合わせて5人にしたけれど、当初は腕の数(2)と同じく2人でしか考えていなかった、なんてことがあったりするかも知れません。

ゴッドハンド転生にまつわる各人のエピソード、外伝で描いてくれないかな。先生お願い。

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