このページではベルセルクにおける数々の謎等を独自に考察しています。
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○シールケと魔女伝説

 ベルセルク第184話「千年帝国の鷹編 聖魔戦記の章 風の鬨(2)」にて初めて登場した魔女見習いシールケ。彼女の名前は魔女伝説と深い関係があることが判っている。

 「シールケ」は、ドイツにあるハルツ山地の最高峰ブロッケン山麓の地名で、魔女ゆかりの地の一つ。

 大昔、ゲルマンの神々は、4月30日になると、ハルツ山地の最高峰ブロッケン山の雪道をかきわけて山頂に集って冬の魔を追い払ったという。それは神聖な儀式とされ、ヴァルプルギスと呼ばれた。
 後にキリスト教が導入されて、古代の神々は追い払われ、春迎えの儀式は新しい神の役目になり、本来主役であった古い神々は魔的なものに格下げされてしまたらしい。やがて魔女狩りの時代になると、古代の神々やそれを信じる村人たちは異教の魔的な儀式(サバト)に身を捧げる魔女として捕らえられていったと伝えられる。

 民俗学者ヨハネス・プレトーリウスが1669年に出した『ブロックスベルクの仕業』の中で「ヴァルプルギスの夜伝説」を初めて紹介しているが、古代の神はウーリアンと呼ばれる悪魔にされており、ウーリアンに挨拶するために行列をなす人々を魔女として扱っている。

 もともと「ヴァルプルギスの夜伝説」はハルツ地方にのみ伝わる局地的なものだったが、ゲーテが『ファウスト』に取り上げたことにより世界的に知られるようになったと言われている。

 『ファウスト』では、「ヴァルプルギスの夜」ブロッケン山の山頂で年に一度、悪魔の宴に参加する魔女たちが集まっており、主人公はその宴に参加し踊った様子が描かれている。
 現代でも、毎年4月30日に「ヴァルプルギスの夜伝説」にちなみプロッケン山麓の村々で祭りが開かれているが、特に『ファウスト』の舞台になったシールケは伝統的な形で宴が行われているお薦めスポットである。


 これらの関係でみれば、やはり少女シールケは魔女と考えてよいのかもしれない。
 ただし、ベルセルクにおける神・魔の定義は一般のものと異なり単なる2元論ではないため、魔女と言っても悪い意味ではないのかも知れない。
 実際、エルフが付き添っているようだし、超常的な能力を有する人間を「魔女」と表現しようとしているとも解釈できるだろう。

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