勝つための食事のポイント


 (1)  よい食習慣を身につけてサプリメントに頼らない事が大切です。
 (2)  食事時間は一定にする事が体調の管理と維持を保つために必要です。
 (3) 食事配分は朝1:昼1.5:夕1.5が理想でPFC比率は15:25:60が理想です。
 (4) 食事の摂取タイミングは試合の前・中・後に合った内容に心掛けること。
 (5) 食事をする環境整備は完全に整えることが大切です。





糖質摂取の基本的な考え方



スポーツの持久性能力の高低は筋グリコーゲン量と相関し、筋グリコーゲン量の増減は糖質摂取量に影響される。スタミナを保つためにグリセミック指数(GI値)を考慮して正しい糖質補給が必要です。


【グリセミック指数:GI値】
グリセミック値 食品
高い
(85以上)
フランスパン、食パン、コーンフレーク、もち、ポテト、にんじん、スイートコーン、レーズン、ぶどう糖、蜂蜜、しょ糖、シロップ、せんべい
中程度
(60〜85)
スパゲッティー、御飯、ライ麦パン、クロワッサン、ロールパン、焼きさつまいも、かぼちゃ、茹でとうもろこし、すいか、オレンジ、パイナップル、バナナ、メロン、ぶどう、キウイ、ドーナツ、コーラ、マフィン、クッキー、チョコレート、アイスクリーム、ポテトチップス、ポップコーン
低い
(60以下)
御飯(玄米)、牛乳、スキムミルク、低糖ヨーグルト、豆類、ピーナッツ、リンゴ、グレープ、あんず、洋なし、桃、プラム、スポンジケーキ、乳糖、果糖


【グリセミック指数(GI値)】

 GI値は食品摂取2時間後の血糖値の上昇率で評価され、食品中の糖質の消化・吸収率を考慮した、糖質の“質”を表した値である。
 GI値は、α-でんぷんとβ-でんぷんの違い、単糖、脂質やタンパク質、食物繊維の存在、加工の程度、調理具合など多くの要因によって影響される。一般的には、日頃の食事やトレーニング2時間前くらいの食事では持久力の向上のためにGI値の低い糖質を、トレーニング直前やトレーニング中、トレーニング直後には血糖値の維持や筋グリコーゲンの回復のためにGI値の高い糖質を少量摂ることが勧められる。



試合当日までの食事管理について


(1) 試合当日7日前までに激しいトレーニングを終え、その後は徐々に減らす(テーパリング)。トレーニングは試合前2日間は休む。

(2) 試合当日5日前から糖質摂取量を徐々に上げ、高炭水化物食を少量 ずつ、数回にわけてとる。

(3) 通常の食事にはでんぷん質を主体とした炭水化物が豊富な食事に切り替える。未精製の食品、穀類やいも類、野菜類、果 物、乾燥果実、豆類を積極的にとる。“ジャンク・フード”(高エネルギー・高糖質・高脂肪食品・即席食品・ポテトチップスなど)や砂糖・菓子類はとらない。

(4) 試合前日は高糖質食を夕方の早い時間にとり、よく休む。

(5) 試合前、2〜3時間までに食事をとり、その後はリラックスをする。

(6) 試合中や1日に数回試合があるときは、途中で水分・電解質と一緒にでんぷん質の糖質をとる。

  小林修平監訳:スポーツ指導者のためのスポーツ栄養学、南江堂、1994]





低インシュリンダイエット



 血糖値を低く抑えることで、肥満を促すホルモンの分泌を抑え、ダイエットすることが可能になる。このダイエット法は、ホルモンの名にちなんで低インシュリンダイエットと呼ばれている。インシュリンとは、すい臓から分泌されるホルモンの一つで、食後体内の血糖値が上がると分泌され、血中の糖を肝臓や筋肉へ送り込む働きを持つ。その他、「人を太らせる」働きも持っている。肝臓や筋肉に蓄えられる糖の量には限界があり、糖を送りこむスピードが糖をエネルギーとして消費するスピードを上回ると、糖を蓄えきれなくなる。余った糖はインシュリンの働きによって脂肪細胞へと運ばれてしまい、脂肪細胞が膨れ上がって太ってしまう。インシュリン自体の分泌を少なくし、その働きを抑えれば脂肪細胞へ糖は運ばれないのである。

 インシュリンの分泌を抑えると、痩せる効果を持つグルカゴンというホルモンが分泌される。グルカゴンには脂肪細胞内の脂肪を血中に放出させる働きがあり、放出された脂肪は体全体の筋肉細胞により燃焼される。低インシュリンダイエットとは、血糖値を低く保つことにより、インシュリンの脂肪合成を阻止し、グルカゴンが脂肪燃焼を促進する方法だったのだ。

 そして、血糖値と大きく関係しているのが、炭水化物である。炭水化物をカットするなどのカロリー量を極度に減らすことは、太りやすく痩せにくい体質へと変化してしまうため、低インシュリンダイエットでは厳禁である。炭水化物には血糖値が上がりやすいものと上がりにくいものがある。GI値の低い食品を選ぶことで、カロリー制限なしで痩せることが可能になる。

NTV特命リサーチ200Xより引用
http://www.ntv.co.jp/FERC/





GI値一覧食品



血糖値のピークが高い悪玉糖質
 
血糖値のピークが低い善玉糖質
 
ブドウ糖(グルコース)
100
玄米ご飯
50
ベークド・ポテト
95
パン・コンプレ(製粉歩留85〜90)
50
最高級パン(製粉歩留65〜75)
95
グリーンピース(生)
50
マッシュ・ポテト
90
朝食用シリアル(コンプレ)
50
蜂蜜
90
ロールド・オート麦(圧麦)
40
にんじん
85
生フルーツジュース
40
ポップコーン
85
ライ麦パン・コンプレ(85〜90)
40
コーンフレーク
85
パスタ・コンプレ(やや玄い)
40
餅(もち)
80
うずら豆
40
砂糖(スクロース)
75
全粒粉パン(製粉歩留90〜98)
35
フランスパン(製粉歩留75〜78)
70
乳製品
35
朝食シリアル
70
いんげん豆(乾)
30
ボイルド・ポテト
70
レンズ豆(乾)
30
ビスケット
70
ガルバンソ(ひよこ豆、乾)
30
トウモロコシ
70
全粒粉パスタ(スパゲッティ等)
30
白米ご飯
70
フルーツ類(生)
30
灰色の田舎パン(製粉歩留78〜85)
65
マーマレード(ペクチン添加)
25
ビート(砂糖大根)
65
果糖(フルクトース)
20
ぶどう
65
大豆(乾)
15
バナナ
60
緑黄色野菜、レモン
<15
ジャム類
55
きのこ、海藻
<15
マカロニ、スパゲッティ類
55
   







日本型食生活の特徴 〜PFC比率〜


 一般に、エネルギーになる たんぱく質(Protain) : 脂質(Fat) : 糖質(Carbohydrate) の総摂取エネルギーに対する割合を、PFC比率>といいます。

 以下の図は、スポーツ選手が日常的に摂ったほうがよい食事のPFC比率と、日本人・欧米人が日常的に摂っている食事のPFC比率を示しています。


 欧米人のPFC比率は、脂質の摂取割合が高く、糖質の摂取割合が低いことがわかります。一方、日本人の一般的な食事は、主食の米由来の糖質が60%近くを占め、脂質割合が低いことがわかります。

 じゅうぶんな筋グリコーゲンを補給するためには、PFC比率が15%:25〜30%:55〜60%の食事を摂るとよいといわれています。“主食のごはんで味噌汁・主菜・副菜を食べる”という私たち日本人の伝統的な食事形態であれば、自然にこの比率を摂ることになります。したがって、日本型の食事は、スポーツ選手の食事としてすぐれているのです。