1
chūn xiǎo
mèng hào rán
孟浩然
chūnmián bù jué xiǎo, chùchù wén tí niǎo
春眠不觉晓,处处闻啼鸟。
春の眠りに夜が明けたと覚えなかったが、あちこちに鳥の声が聞こえる。
yèlái fēngyǔ shēng, huā luò zhī duōshǎo
夜来风雨声,花落知多少。
昨夜風雨の音がしていたが、花はどれほど散ったのか。
2
bó qín huái
dù mù
杜牧
yān lóng hán shuǐ yuè lóng shā, yè bó qínhuái jìn jiǔjiā
烟笼寒水月笼沙,夜泊秦淮近酒家。
霧は寒々とした川面に立ち込め、月光は岸辺の砂を包んでいる。夜秦淮川の酒楼の近くに舟を泊める。
shāngnǚ bù zhī wáng guó hèn, gé jiāng yóu chàng hòu tíng huā
商女不知亡国恨,隔江犹唱后庭花。
歌妓に亡国の恨みが分かるはずもなく、川の向こうでまだ「后庭花」を歌っている。
7
chūn wàng
dù fǔ
杜甫
guó pò shānhé zài, chéng chūn cǎomù shēn
国破山河在,城春草木深。
都は破壊されて山河だけが残っている、城内にも春がやってきて草木が茂る。
gǎn shí huā jiàn lèi, hèn bié niǎo jīng xīn
感时花溅泪,恨别鸟惊心。
時局を思うと花を見ても涙がこぼれ、親しい人との別れを恨んで鳥の声にも心驚かす。
fēnghuǒ lián sānyuè, jiāshū dǐ wànjīn
烽火连三月,家书抵万金。
のろしの火は三月になっても止まず、家からの手紙は万金に当たる。
báitóu sāo gèng duǎn, hún yù bù shēng zān
白头搔更短,浑欲不胜簪。
白髪頭は掻けば短くなり、もうかんざしも挿せなくなりそうだ。
9
dēng gāo
dù fǔ
杜甫
fēng jí tiān gāo yuán xiào āi, zhǔ qīng shā bái niǎo fēi huí
风急天高猿啸哀,渚清沙白鸟飞回。
風は強く天は高く、猿の鳴き声が哀しく聞こえる。長江の渚は清く砂は白く鳥が輪を描いて飛ぶ。
wúbiān luòmù xiāoxiāo xià, bùjìn chángjiāng gǔngǔn lái
无边落木萧萧下,不尽长江滚滚来。
枯葉は限りなくかすかな音を立てて落ち、長江は尽きなく湧きかえり流れる。
wànlǐ bēi qiū cháng zuò kè, bǎinián duō bìng dú dēng tái
万里悲秋常作客,百年多病独登台。
都を万里離れて悲しい秋に放浪の旅を続ける。生涯病気がちの体で、今一人台に登っている。
jiānnán kǔ hèn fán shuāng bìn, liáodǎo xīn tíng zhuó jiǔbēi
艰难苦恨繁霜鬓,潦倒新停浊酒杯。
苦労の結果、鬢がすっかり白くなってしまったことを恨む、老いぼれて一人酒の杯も止めたところだ。
10
fēng qiáo yè bó
zhāng jì
张继
yuè luò wū tí shuāng mǎntiān, jiāng fēng yúhuǒ duì chóumián
月落乌啼霜满天,江枫渔火对愁眠。
月は沈み鳥が鳴き霜が一面に満ちている、川辺の楓、漁火が旅愁に眠りかける目の前にある。
gū sū chéngwài hánshān sì, yèbàn zhōng shēng dào kèchuan
姑苏城外寒山寺,夜半钟声到客船。
姑蘇の郊外の寒山寺、夜半の鐘の音が、旅を続けてきたこの船にも聞こえる。
15
yè sī
lǐ bái
李白
chuángqián míng yuèguāng, yí shì dìshàng shuāng
床前明月光,疑是地上霜。
寝台の前の床に月光がさし、地上におりた霜かと思った。
jǔ tóu wàng míngyuè, dī tóu sī gùxiāng
举头望明月,低头思故乡。
頭を上げて月を眺め、うなだれて故郷を思う。
19
dēng yuè yáng lóu
dù fǔ
杜甫
xī wén dòngtíng shuǐ,jīn shàng yuèyáng lóu
昔闻洞庭水,今上岳阳楼。
昔洞庭湖のことを聞いた、いま湖を見渡せる岳陽楼にのぼっている。
wú chǔ dōng nán chè, qiánkūn rì yè fú
吴楚东南坼,乾坤日夜浮。
呉と楚が東と南にひらけて、湖水に天地が映っている。
qīnpéng wú yīzì, lǎobìng yǒu gū zhōu
亲朋无一字,老病有孤舟。
親しい友達から手紙はなく、老病の私には旅を続ける一そうの小舟があるだけ。
róngmǎ guān shān běi píng xuān tì sì liú
戎马关山北,凭轩涕泗流。
山の関所の北では争いが続き、楼の手すりに寄りかかると涙が流れる。
26
yuè xià dú zhuó
lǐ bái
李白
huā jiān yīhú jiǔ, dú zhuó wú xiāng qīn
花间一壶酒,独酌无相亲。
花の間で徳利ひとつ。独酌して相手もいない。
jǔ bēi yāo míngyuè, duì yǐng chéng sānrén
举杯邀明月,对影成三人。
杯を上げて満月を迎え、私の影とで三人になった
yuè jì bù jiě yǐn yǐng tú suí wǒ shēn
月既不解饮,影徒随我身。
月は酒を飲めず、影は私のまねをするだけだが、
zàn bàn yuè jiāng yǐng, xínglè xū jí chūn
暂伴月将影,行乐须及春。
しばらく月と影と一緒に、心行くまで春を楽しもう。
wǒ gē yuè pái huái, wǒ wǔ yǐng líng luàn
我歌月徘徊,我舞影零乱。
私が歌えば月は合わせて動き、私が舞えば影も合わせて入り乱れる。
xǐng shí tóng jiāo huān, zuì hòu gè fēn sàn
醒时同交欢,醉后各分散。
酒を飲んでいる間は一緒に楽しみ、酔った後はそれぞれに別れてゆく。
yǒng jié wú qíng yóu, xiāng qī miǎo yún hàn
永结无情游,相期邈云汉。
永くこのような交遊を続け、次ははるかな天の河ででも再会するとしよう。
27
zèng wèi bā chǔ shì
dù fǔ
杜甫
rénshēng bù xiāng jiàn, dòng rú shēn yǔ shāng
人生不相见,动如参与商,
人生、会えないとなると、オリオン座(参)とさそり座(商)のよう。
jīn xī fù hé xī, gòng cǐ dēng zhú guāng
今夕复何夕,共此灯烛光。
それなのに今晩はどうしたことか、燭光をともにすることができた。
shàozhuàng néng jǐ shí, bìnfà gè yǐ cāng
少壮能几时,鬓发各已苍。
あのころの若さはいつのことか、二人とも白髪混じりになってしまった。
fǎngjiù bàn wéi guǐ, jīnghū rè zhōng cháng
访旧半为鬼,惊呼热中肠。
旧友を訪れると、半ばが鬼籍に入ったと言う。思わず叫んで断腸の思い
yān zhī èr shí zǎi, chóng shàng jūn zǐ táng
焉知二十载,重上君子堂。
ああ20年たった今、あなたの家の座敷にいようとは思いもしなかった。
xī bié jūn wèi hūn, érnǚ hū chéng háng
昔别君未婚,儿女忽成行。
別れたあのころはあなたは未婚、今は男の子や女の子が生まれ、
yírán jìng fù zhí, wèn wǒ lái hé fāng
怡然敬父执,问我来何方。
彼らは父親の友人を敬ってくれて、私にどちらからいらっしゃったのかと尋ねてくれた。
wèndá nǎi wèi yǐ, qū ér luó jiǔ jiāng
问答乃未已,驱儿罗酒浆。
その会話もまだすまないうちに、あなたは子供たちに酒を並べさせ、
yè yǔ jiǎn chūn jiǔ, xīn chuī jiàn huáng liáng
夜雨剪春韭,新炊间黄粱。
夜の雨の中を春の韮を切ってきたり、わざわざ大粟をまぜたご飯を炊いてくれた。
zhǔ chèn huì miàn nán, yījǔ lěi shí shāng
主称会面难,一举累十觞。
主人のあなたはお互いに会うことの難しさを言って、一気に十杯の盃をやり取りした。
shí shāng yì bù zuì, gǎn zǐ gù yì cháng
十觞亦不醉,感子故意长。
十杯の盃を重ねても私は酔うことができない。あなたの昔ながらの友情がありがたくてならない。
míngrì gé shān yuè, shìshì liǎng máng máng
明日隔山岳,世事两茫茫。
明日になればお互い山を隔てて、その暮らしも運命も、どうなるものか分からないのだから。
42
liáng zhōu cí
wáng hàn
王翰
pútao měijiǔ yè guāng bēi
葡萄美酒夜光杯,
葡萄の美酒を入れた夜光の杯
yù yǐn pípá mǎ shàng cuī
欲饮琵琶马上催。
飲もうとすると馬上から琵琶の音が促がす。
zuì wò shā cháng jūn mò xiào
醉卧沙场君莫笑,
酔いしれて砂漠に伏す私を笑わないで
gǔlái zhēng zhàn jǐ rén huí
古来征战几人回。
昔から戦いに出て幾人が帰ってきたことか
44
cháng gān xíng
lǐ bái
李白
qiè fà chū fù é, zhé huā mén qián jù
妾发初覆额,折花门前剧。
私が幼く、前髪がやっと額を覆ったころ、私が花を折って門前で遊んでいると、
láng qí zhú mǎ lái, rào chuáng nòng qīngméi
郎骑竹马来,绕床弄青梅。
あなたは竹馬に乗ってきた。青梅をひらひらさせて床を回る。
tóngjū cháng gān lǐ, liǎng xiǎo wú xián cāi
同居长干里,两小无嫌猜。
同じ長干のまち(南京の下町)に住み、幼く無邪気な二人。
shísì wéi jūn fù, xiū yán wèi cháng kāi
十四为君妇,羞颜未尝开。
14の年あなたのお嫁になった、はずかしくってにこりともせず。
dītóu xiàng àn bì, qiān huàn bù yī huí
低头向暗壁,千唤不一回。
壁の方を向いてうつむくばかり、あなたに呼ばれても返事もしませんでした。
shí wǔ shǐ zhǎn méi, yuàn tóng chén yǔ huī
十五始展眉,愿同尘与灰。
15になって夫婦の情愛が分かりかけ、やっと今までのむつかしい顔をやめてしかめていた眉を開き、塵と灰の間柄のような仲のよい夫婦になりたいと願うようになりました。
cháng cún bào zhù xìn, qǐ shàng wàng fū tái
常存抱柱信,岂上望夫台。
そして、あなたに貞節を尽くしたいと思うようになりました。しかし、昔話にある、夫と分かれた女の人がその台の上にのぼって夫のほうを望みやったと言う、境涯になろうとは、思いもかけませんでした。
shí liù jūn yuǎn xíng, qú táng yàn yù duī
十六君远行,瞿塘滟澦堆。
16の年、あなたは四川省の方へ商売に行くといって遠く旅立ちました。長江の上流、四川省へ入るところには、瞿塘という難所があり、なかでも滟澦堆は大きな暗礁がある。
wǔ yuè bù kě chù, yuán shēng tiān shàng āi
五月不可触,猿声天上哀。
水かさの増した五月には、うかつに近寄れないと言う。その近くは猿の声が絶壁の上のほうから哀しげに、天井の声のように聞こえるとか。あなたは本当にご無事ですか。
mén qián chí xíng jī, yīyī shēng lǜ tái
门前迟行迹,一一生绿苔。
家の前に出てみると、あなたはが踏みならしたところに、すっかり苔が生えてしまって、あなたの足跡を隠してしまいました。
tái shēn bù néng sǎo, luò yè qiū fēng zǎo
苔深不能扫,落叶秋风早。
苔の掃除をしようと思いますが、とてもあつく生えていてできません。今年は秋風も早く吹き、木の葉も落ちてきます。
bā yuè hú dié huáng, shuāng fēi xī yuán cǎo
八月蝴蝶黄,双飞西园草。
季節はもう八月(陽暦9月)、飛んでくる胡蝶は終わりの黄色、二匹つれだって西の花園の草の上を飛んでいます。
gǎn cǐ shāng qiè xīn, gǎn cǐ shāng qiè xīn
感此伤妾心,坐愁红颜老。
これに感じても悲しくて、まだ華やいでいるはずの私の顔も、急におばあさんになりそう。
zǎowǎn xià sān bā, yù jiāng shū bào jiā
早晚下三巴,预将书报家。
三巴(四川省)から舟で下るのはいつですか、そのときはあらかじめお手紙で家に知らせてくださいね。
xiāngyíng bù dào yuǎn, zhízhì cháng fēng shā
相迎不道远,直至长风沙。
遠くてもかまいません。お出迎えに行きます。まっすぐに長風沙(安徽省池州。長干から500km)のあたりまで行きますよ。
(「抱柱の信」とは、むかし尾生という男が橋の下で逢う約束をした女を待つうちに急に洪水に襲われたが、そこを立ち去らずに、橋脚の柱を抱いたまま溺れ死んだと言う話。
「望夫台」とは、遠征に行った夫を待ち続けた妻がやがて石になったという山。)
訳文参考:岩波新書(青版) 新唐詩選 吉川幸次郎 三好達治
英訳:
http://eir.library.utoronto.ca/rpo/display/poem1663.html
or http://www.cs.rice.edu/~ssiyer/minstrels/poems/70.html
or http://www.internal.org/view_poem.phtml?poemID=206
or http://www.poetry-archive.com/p/the_river_merchants_wife.html
62
wèi chéng qǔ
wáng wéi
王维
wèichéng zhāoyǔ yì qīngchén, kèshè qīngqīng liǔsè xīn
渭城朝雨浥轻尘,客舍青青柳色新。
渭城に朝雨が降り埃もおさまり、宿は緑におおわれ柳の若葉も鮮やか。
quàn jūn gèng jìn yībēi jiǔ, xī chū yángguān wú gùrén
劝君更尽一杯酒,西出阳关无故人。
君に勧めるもう一杯の酒、西のかなた陽関を出れば知人などいないのだから。