レンズ所感


YASUHARA 50mm F=2.8(L mount) No. 00360

2001.11.6記(期間限定レンズテスト編)

 1本目のポジが上がってきたので、興味本位の「試験」の結果を発表します。あくまで僅かな試写の結果ですから、成績は鵜呑みにしないで下さい。もしかしたら不幸な偶然の産物かもしれませんし、「相手が悪すぎる」のかもしれません。なお、「作例」の他にもテストサンプルはあるのですが、紙面の都合上割愛しています。比較レンズは勿論、「Lマウントのキヤノンレンズ」です。(^^; 決して「キヤノンLレンズ」ではありません。撮影に使用したカメラは、勿論T981です。

(1)解像力:絞り解放では中心が高く、周辺は甘め。f5.6あたりから周辺まできれいに描画。f11以降は被写界深度が深まるのみ?比較的近距離を得意とするようで、人物は綺麗に描画するが遠景は苦手のようだ。(後述)

(2)コントラスト:今回のテストでは不明。フレアが出る場合を除き、特に問題は感じなかった。

(3)色調:きわめてニュートラル〜ややあっさり目か?僅かにアンダー目に撮った方が美しく色が出る。

(4)ボケ味:がちゃがちゃと少々うるさい。もっとも、F2.8だし特に「ボケ味」うんぬんというレンズでも無いか・・

(5)距離連動:80cmは立派。(これは一式のおかげか?)動きも正確であった。

(7)作例1 キヤノン50mmF1.8と同条件で比較。どちらもf2.8、1/60。左(上?)が安原50mmF2.8、右(下?)がキヤノン50mmF1.8である。

スキャン画像からは当然判りにくいが、木の葉の解像、色抜け等に差が見られる。恐らく引き延ばすと少々気になる差が出ると思う。だが、そう言う場面ではもっと絞ればいいとも言える。なお、キヤノンにも僅かに青フレアが確認できる。

(8)作例2 キヤノン50mmF1.4と同条件で比較。f2.8、1/30 左(上?)が安原。右(下?)がキヤノン50mmF1.4

 ピント位置は中心の軒の先。キヤノンはやや後ピン(左の軒先の方が合っている)だが、安原は正確。安原はあきらかに青くフレアがかかっている。原因は不明。順光だが、雨上がりの朝日が反射しているのかもしれない。僅かな構図の角度違いが不幸を呼んだのかもしれない。だが、2回続くか?キヤノンは非常(実物以上)にクリア。写真としては断然キヤノンが美しいが、実際の印象は実は安原の方が近いかも。解像力もやはりキヤノンが上。だが、フレアさえなければ近距離では気になるほどの差はないと思われる。

(9)総合評価:定評のあるキヤノンのf1.4&1.8との比較結果では、解像力・撮影条件適応力ともに劣っていると言わざるを得ない。しかし、ピントの安定度ではキヤノン1.4を上回るし、ニュートラルな発色など好ましい面も多く見られた。次回はフード、フィルターを付けてテストしてみたいと思う。さらに、ロシアレンズなどとの比較も試みたい。

2001.10.15記

 安原製作所に「肩入れ」するつもりは無いのですが、「どんなものでしょ?」という好奇心でつい、購入してしまいました。今のところ「珍しいレンズ」でしょうからレンズの画像も紹介したいのですが、まずは文章だけで我慢して下さい。(我慢できない方は、安原製作所へどうぞ)

 レンズは恐らく全金属製。材質は真鍮にニッケルメッキだと思います。色はシルバーですが、やや黄味が入っており一式(T981)の外装とは少々異なります。枠毎に若干黄味が強い段と弱い段があるのが興味を引きます。小型ながらずっしりとした重みは最近のレンズとは全く異質です。指標文字は全て刻印で記入され、手が掛かっているなぁと思わせる作りです。

 デザインはロシア物の52mmF2.8に非常によく似ているのですが、あちらはブラックのアルミ鏡筒ですからイメージはだいぶ異なります。個人的には、前玉周辺の刻印文字やデザインにもう少し工夫があると、もっと「格好良い」レンズになったと思うのですが・・例えば刻印の色を鏡筒と合わせ込むとか・・

 さて、皆様気になる「モノ」としての出来ですが、私はとても良い(価格比)ように思います。ヘリコイドの適度な粘りといい、半段ごとにボールでクリックする絞りの動きといい、操作感は私が持っている国産レンズ全てに劣りません。「ロシア物」とは比べるのも馬鹿らしく、遙かに凌駕しています。総金属、しかもアルミと違う質感はコシナSCスコパーより高級感が漂うように思います。私が見立てたところでは僅かに鏡筒先端フィルター枠にバリになりかけというか塗装の境界が怪しい部分がありますが、他に気になるところはありません。どう考えても少量生産なのに24000円程度でペイするのだから、中国恐るべしです。安原製作所の製品は、そのまま「中国のカメラ作りの進歩」の歴史になるのかもしれませんね。最初は安原(中国製カメラ)を馬鹿にし、つぎに認め、さらには恐れを抱き、追い越されるのが日本の光学メーカーの運命か?日本も頑張らねば!

 撮影結果はまだですが、。本日撮影(少々)に使ってみました。ボディーとのバランスは良く、使いやすい物でした。一式がサポートするのは1mまでのはずですが、一応80cmあたりまで距離計が動きます。