赤い月


1945年終戦の年、満州にソ連軍の進攻が始まった。
10年前、森田波子は、夫と3人の子供と友に満州にわたり、
「森田酒造」を成功させ、栄華を極めていた。
モダンで恋多き波子は、家族や従業員を守る一方、誰かを常
に愛することで、生きるエネルギーを燃やしていた。
しかし、いいことは長くは続かなかった。
敗戦が色濃くなると、ソ連軍が満州に攻め込み、折悪しく、
夫のいない間に「森田酒造」にもその手が伸びてきた。
幼い子供を抱え、命からがらハルピンへたどり着く波子。ど
んな手段を使っても子供達を守らなければ。波子は必死だった。

あーー、またやってもうた。
原作を読んでから映画を観ると裏切られる。また繰り返してし
まった。原作がよかっただけに、本当にがっかり。
どこもかもスケールが小さすぎ。薄っぺらで嘘くさい。
この映画一言で言うと、どこにもリアリティーがないんです。
映像で見せる満州での舞台は、書き割りのような嘘っぽい風景
と、全く重みのない「森田酒造」。その前で演じる役者も全く
リアリティーがない。
生きる事への執着と、モダンさとしたたかさを備えた波子を演
じる常盤貴子は、あまりに役不足。はっきり言って若すぎる。
そばによるだけで怪我をしそうな、鋭い刃物を連想させる氷室
役の伊勢谷友介は、イメージが違いすぎ。せりふ回しがまるで
ダメで、感情移入できない。布袋寅泰に至っては、もはや演技
とは呼べないひどいものだ。
原作を読んでいたから流れが分かったが、読んでいなかったら
何だかよく分からないんじゃないだろうか。かなり端折られて
いたし。
原作者のなかにし礼氏が映画を観て絶賛したと何かで読んだが、
とても信じられない。監督とキャストを換えてもう一度撮り直
して欲しいものだ。


 

おすすめ度
34点

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