Dools(ドールズ)


この映画では3組の男女が登場します。
この3組、同じ画面に登場もするのですが、基本的にはそれぞれが独立しあった
物語です。つまりはオムニバス 映画で、それぞれ違った「究極の愛のカタチ」を
見せてくれます。

まず一組目は、将来を約束しあった若者二人。しかし、男は出世を選び、社長の
娘と結婚しようとする。女は自殺を図る。一命はとりとめたものの、精神に異常
をきたしてしまっている。結婚式当日そのことを聞いた男は結婚式を放り出し、
女のもとへ。すでに自分のことすらも分からなくなってしまっている女を連れ、
桜が咲く道を、夏の砂浜を、紅葉の野を、雪が積もる丘を、歩き続ける。二人の
身体は太いひもでつながれている。

二組目。男、昔はまじめに働いていた。毎週お弁当を作って持ってきてくれる
かわいい女がいた。うだつの上がらない毎日に嫌気がさし、女とも別れてしまう。
「出世したら、きっと、もう一度おまえの前に戻ってくる」 そうはいったが、
本心ではなさそうだ。女は「毎週お弁当もって待ってる」そう言った。何十年か
後、男はやくざの親分になり、年老い、体の具合もよくない。「俺も永くない
のかも知れない」そう思った時、ふと昔のことを思い出した。公園に行ってみた。
女は待っていた。「お弁当を持って彼を待ち続ける名物おばさん」になって。

3組目。女はアイドル。男はデビュー当時からの「おっかけ」。ある日女は交通
事故にあい 顔に大きな怪我を負ってしまう。男はそれでも女に会いたかった。
でも女は顔に大きな怪我を負い、人と会うのを嫌っている。男は考えた。「自分
のことが 見えなければ会ってくれるかも知れない」。そう考えた男は写真集で
ほほえむ女の顔を心に焼き付け、自分の目を突き失明する。白い杖を頼りに、
男は女の元へ歩いた。


中途半端な終わり方は出来ないだろうな、とは思っていましたが、やっぱり
「究極の愛のカタチ」は、そこに行き着くんですね、と言う感じです。
日本映画特有の「くささ」もないではないのですが、それすらも逆手にとって
いるのではないかと思わせる北野監督は、やはり天才?


 

おすすめ度
88点

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