長谷部慎次(堤真一)は、小さな下着メーカーの営業マン。
ある日出張から帰り、帰宅しようと地下鉄で乗り換えるとき、
若くして事故で亡くなった兄の姿を目にとめ、急いで後を追
う。地下鉄の出口から出るとそこは見慣れぬ景色。
近くの若者がくれた新聞の日付は昭和39年10月5日。兄の
命日だ。どうやらタイムスリップしたらしい。
兄の姿を見つけ、今日は外出せぬよう注意するが・・・
このタイムスリップは昭和39年だけにとどまらず、終戦直後
へ、また、父(大沢たかお)が出征する時代へと遡ってゆく。
ワンマンさに嫌気がさし、縁を切った父。しかし、その父の
家族に対する夢や愛を聞かされるうち、慎次の心は激しく揺
さぶられる。
浅田次郎の原作。この人の作品は、幽霊やら前世やらがよ
く出てくる。
まじめくさって映画化すると辻褄が合わないところが出てく
るが、少しコミカルに仕上げると、とても良いものが出来る
という典型のような映画だ。
家族に対する愛などというのは、日頃口に出して言うような
事ではない。また、家族のためによかれと、少々後ろめたい
こともやってしまうのもまた、仕方のないこと。昔気質の男
の姿が浮かび上がる。
若い頃の親にあって聞いてみたいこと・・・
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