オペレッタ狸御殿


がらさ城城主、安土桃山(平幹二郎)は、予言者、びるぜん婆々
(由紀さおり)に、毎日こう質問するのだった。「生きとし生け
るもので一番美しいのは誰じゃ」びるぜん婆々は今日もこう答え
る。「それは安土桃山様でございます」安土桃山は、その答えに
満足し、「花も星も、わしの美しさに嫉妬するのじゃ」と声高ら
かに歌うのであった。
ところがある日、びるぜん婆々は、こう予言するのだった。「城
主の世継ぎ、雨千代様(オダギリジョー)が、いずれ父の美しさ
をしのぐであろう」と。自分が一番でなくては気に入らない安土
桃山は、迷い込んだが生きてはかえれないという霊峰、快羅須山
に棄てにいけと家来に命令する。
薬で眠らされ、快羅須山に向かう途中、偶然逃れられる雨千代。
そこに現れた美しい狸姫(チャン・ツィイー)。二人はたちまち
恋に落ちた。しかし、それは道ならぬ恋。狸と人は恋に落ちては
なりませぬ・・・

いやいや、清順ワールド炸裂であります。
どのへんがワールドかというと、全てである。
何から何まで全て計算し尽くされたワールドなのである。だから、
ワールドにはまれない人は置いてけぼりを食って、「何がなんだ
かわからん」となってしまうのだ。わかろうがわかるまいが、流
れに身を任せるように、ワールドを堪能するのが、この映画の楽
しみ方だ。
まあ、その中でも、平幹二郎と由紀さおりは、歌のうまさではっ
きりと存在感をアピールしていましたね。こういう人がいるから、
映画がピリッとしまるんですね。



 

おすすめ度
78点

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