東京タワー
オカンとボクと、時々、オトン


オトンとオカン、そしてボクは小倉で暮らしていた。
親子三人の幸せな生活は短く、オカンはボクを連れ、筑豊の
実家に身を寄せ、女手一つでボクを育ててくれた。
中学3年になったボクは、大分の美術高校に合格。一人暮ら
しを始める日、駅まで見送りに来てくれたオカンは、ボクにカ
バンを持たせてくれた。カバンの中には新しい下着や弁当、
そして苦労してためたであろう一万円札が入っていた。
高校を卒業し、東京の美大に合格したボクは、あこがれの東
京で暮らし始めた。しかし、ろくに学校にも行かず、オカンか
らの仕送りは遊興費に消えていった。

さらさらと流れていくのだが、それでいてゆったりにも感じら
れる展開。お涙頂戴には、したくなかったのであろう、淡々と
進んでいくのが、逆にボクの心を映しているようだ。
キャスティングも素晴らしい。若い頃のオカンを演じるのが、
後のオカンを演じる樹木希林の実の娘、内田哉也子。この
親子、本当に似ているので、違和感がないどころの話ではな
く、何だか笑えてくる。
原作のイメージを壊さず、いい映画に仕上がってる。



 

おすすめ度
92点

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