●あと10000冊の読書(毒読日記)  ※再は再読の意 毒毒度(10が最高)

2003-08

2003/08/31-8993
紅茶とお菓子 我那覇陽子 大川雅子 平松陽子 文化出版局 1991年9月30日第1刷発行
1994年3月7日第8刷発行
   毒毒度:1
“紅茶に限らず、自分の好みにぴったり合ったものを指すそうです”(MY CUP OF TEA)

《マリアージュ・フレール》が閉店しちゃうようなまちに住んでいる。実家の辺りは水が美味しいのでその昔山の中(ホントに山なのだ)に紅茶専門店なんぞあったりしたが、これも1990年代までもたなかったような気がする。紅茶は今のところ家で飲むミルクティが一番好きだ。そういえばあんまり食べ歩きをしようとも思わない。おうちで切っただけ焼いただけのおかずを並べてごはんというのが今お気に入り。MY CUP OF TEA。

2003/08/30-8994
西村玲子の大人のおしゃれ絵ブック 西村玲子 鎌倉書房 1985年11月15日初版発行
   毒毒度:0
“白いシャツを上手に着こなせたら、もう他には何もいらない”(なかなかめぐりあえない基本の白いシャツ)

1985年…これはもう使えないだろうさすがにね。レイアウトにもゆとりがなくてごちゃった感じ。

2003/08/30-8995
玲子さんのちょっと大人のおしゃれブック 西村玲子 主婦の友社 1987年4月6日第1刷発行
1987年6月15日第3刷発行
   毒毒度:-1
“白いシャツを上手に着こなせたら、もう他には何もいらない”(なかなかめぐりあえない基本の白いシャツ)

1987年…これはもう使えないだろうと思いきや、イラストの女性たちはけっこう素敵に見える。ふーん。たぶんこれが写真だったらメイクとか笑えちゃうんじゃないだろうか。

2003/08/30-8996
玲子さんの新鮮おしゃれリメイク 西村玲子 KKベストセラーズ 1993年8月5日初版第1刷発行
   毒毒度:-1
“ずい分前、そうね、15年も前かもしれない。『暮しの手帖』という雑誌のファッションの頁に出ていたフランスの女の子が忘れられないでいる”(メンズベストのマジック)

この女の子はお父さんのベストをいろいろ、素敵に着こなしていて、実は私も記憶に残っている。わが家ならまだこの『暮しの手帖』は存在しているはず…と探しはじめるとキリがない。さすがに10年前だと古さを感じるかも、とくにリフォームは現在進行形の流行を取り入れるわけだし。ひとつのテーマで奇数ページだったり偶数だったりするのでレイアウトは苦労した、と見た。

2003/08/30-8997
玲子さんのおしゃれ素敵発見 西村玲子 海竜社 1996年4月15日第1刷発行
   毒毒度:-1
“白を前にするときは元気で健康でありたい。元気で健康という当り前のことが幸せの原点だけど、難しかったりするのにも白に似ている”(白が似合う人でいたい)

蔵書整理中。この人の本は《暮す》のカテゴリー。7年前の出版だがスタンダードなおしゃれのせいかそれほど違和感なし。この人の本は出版社は違えどテーマはもちろん似たようなタイトルが多く、読んでないかもとBOOK-OFFで手に取る(買う)ことしばしば。

2003/08/27-8998
ガラクタ道楽 林丈二 小学館 1994年7月20日初版第1刷発行
 毒毒度:2
“〈ちょっといいホテル〉と〈ビジネスホテル〉とはどこが違うかというと…、まず、入口で待ちかまえている従業員が、シキリとカバンを持とうとすることがあります” (耳かき)

著者はなるべくカバンを取られぬようガンバルらしい。私の場合北海道巡業の時は荷物が多すぎるため台車出動か、あるいはまったく放っておかれるケースが多い。個人旅行では最近グレードをあげつつあり、今回は京都も神戸も従業員が鞄を持ってくれるホテル宿泊。神戸では観光客の行かないディープなアーケード探訪。古本屋も何軒かある。全体に、欲しい本はお高め。とりあえずなんでも定価の半値を付けるBOOK-OFFとは違って、ものの値打がわかった上での値付けと見えた。林丈二といえば、ひたすら世界を歩く人、そしてマンホールの蓋。結構金沢や尾道の話題があって楽しい。これを読んでたら先の金沢では、旅館の廊下から動物を眺めるがごとき卯辰山の動物園にゼッタイ行っていたと思うのだが、残念。

2003/08/26-8999
03 TDC年鑑
The Tokyo Type Directors Club Annual 2003
東京タイポディレクターズクラブ編集 六耀社 2003年8月15日発行
 毒毒度:2
“文字の誕生は誰が最初に傷をつけたかにかかっている”
“書くこと。刻むこと。時空を超えた文字たちの力とは何なのか” (序文:浅葉克己)

今はちょっと町を踏んだりするマイブーム。今回のプチバカンスは京都〜神戸〜名古屋。ロードレース観戦を主にするはずが、ひたすら町歩きになった。観光タクシードライバー御用達の大衆食堂、大好きな豆かん、おばんざい、ぎょーざ、ジモティしか行かない珈琲店のモーニング、ヘミングウェイをイメージしたカフェ、美味しいものだらけの鉄板焼屋、気持ちのよいBAR、ごくフツーのキッチンなどなど。ガイドブックにないところばかりで、出会った観光客は5人くらいか。もちろん古本屋も覗いたがヴィレッジ・バンガード本店探訪がなによりの記念。久々のシゴト本であるTDC年鑑と、近々完成予定の図書室に収蔵するべく『吸血鬼の事典』も購入した。

2003/08/21-9000
殺戮のチェスゲーム(上) ダン・シモンズ
柿沼瑛子訳
ハヤカワ文庫NV 1994年11月30日発行
 毒毒度:5
“人はすべからく暴力、つまり他人に対するちょっとした力の行使を糧として生きている。だがその極限の力を体験できる者たち--わたしたちのように--はほんのわずかにすぎない。そしてこの《能力》がなければ、人の命を奪うという比類なき快楽を知ることはまず無理に近い。この《能力》なしには、たとえ生命を糧にする者であっても、追う者と追われる者のうちにほとばしる感情も、規則も罰則さえもいっさい無視した攻撃者の圧倒的な高揚感、最期の真実の瞬間--他者からの絶対的な力の前にすべての選択が閉ざされ、すべての将来が否定され、すべての可能性が奪われた犠牲者が抱く、ほとんど性的服従にも似た快感を味わうことはできないのだ”

チャールストンに隠とんする老婦人メラニーと華やかな実業家ニーナ、そして元ナチの大佐で映画プロデューサーのウィリー。この三人が互いをターゲットにゲームをはじめた。ウィリーの乗ったはずの飛行機は爆破され、メラニーとニーナの殺し合いは、平和な町チャールストンに9人もの大量殺人を引き起こした。動機も不明な大量殺人事件を探る精神科医ソール・ラスキ、殺人現場に居合わせて殺された写真家の娘ナタリー、チャールストンの保安官ジェントリー。収容所で精神をレイプされた体験を語るソールの話に耳を傾けたナタリーとジェントリーは、暴力的な他者の死を糧とするマインド・ヴァンパイアの存在を信じはじめる。3人は互いに連絡をとりあいながら捜査を開始するのだが。
ついにこの日が。記念の一冊にはいったん頓挫していた大作を選んだ。1000冊毒破記念の蔵書票発注は、図書館作りに化けた。奇しくも作り付け本棚が設置され記念の日。

2003/08/18-9001
タマスターラー タニス・リー
酒井昭伸訳
ハヤカワ文庫FT 1990年3月15日発行
1991年6月30日5刷
 毒毒度:1
“狩るものと狩られるもの、忍びよるものと獲物。両者は足で、歯で、影で、血に飢えた獰猛さと恐怖で、欲望で結びつけられている。どちらがどちらか?” (「炎の虎」)

少年少女世界の名作文学シリーズの『嵐が丘』と『ジェーン・エア』をホラー(当時でいえば怪奇小説)と位置づけていた時代。わが家では両親が図書館の利用を好まず、デパートのワケあり本即売会みたいな催しでもよく子供の本を買っていた。《本は自分のものにしてから読め》というのがわが家の暗黙のルールであった。『ドーニャ姫の愛の物語』という赤と紺の地に銀の模様の表紙の本が購入本の中にどうして紛れていたのかはわからない。ちょっと大人めの話で残念ながら当時はゼンゼン面白くなかった。考えてみれば『千夜一夜物語』、『デカメロン』なんて、少年少女世界の名作文学シリーズに入っていたと思われるのだがあの大人の物語を巧みにこども用に変型していたわけだ。隠していてもほのかにエロスを感じられるのがアラビアやインドの夜話の魅力である。というわけで1000冊におあと一冊と迫った毒書は耽美派タニス・リーの手によるインド夜話。ウイリアム・ブレイクの有名な詩が登場する「炎の虎」は、今では扶桑社の猫アンソロジー『不思議な猫たち』に収録されている(題名は「焔の虎」)。醜い妻を娶った貧相な夫が電車事故をきっかけに月夜の魔法に触れて互の心の中の美しさに気づき、子宝と幸せに恵まれるというかなりのハッピーエンドが意外な「月の詩」が異色。

2003/08/15-9002
tray のせる・はこぶ・おく 堀井和子 KKベストセラーズ 2001年10月25日初版第1刷発行
   毒毒度:-2
“時間をかけて探していく過程が、自分に物を見つめる姿勢を教えてくれる”

気に入ったモノ探しは大変。ただ今は木製の丸いコーヒーテエブルと同じ素材の椅子探し中。先週は、ないとは思ったが風雨の中、大塚家具ショールームまで行ってみた。多少は想像していたがさすがショールーム、受け付けからぴったり担当者が付いて来る。何を見たいのか明確に述べなくてはならない。ちょっとひまつぶしというわけにはいかないのだ。1時間ちょっと、丸テエブルとブックシェルフを見て回ったが、当然ドンピシャのものなどないのであった。案外通販にあったりするんだよね、と思ったらほんとにあったりして。

2003/08/15-9003
和のアルファベットスタイル 堀井和子 文化出版局 2001年10月14日第1刷発行
2001年11月12日第2刷発行
   毒毒度:-3
“そうするうちに気づく。すごい!と思うものと好きだと感じるものが一致するわけではないことに。そのあたりが私はおもしろくてたまらない。時代を超えて同じブルー、同じ絵柄のニュアンスを好きだと感じた人がいる。そういう器を作った人がいる”

小さめの丼を探していたら、プランタン銀座のセールで見つけた。ドイツのカーラというメーカーのカフェオレカップらしい。同じ模様のレンゲ風スプーンとスプーン置きも購入(なぜか丼よりスプーンの方が高いのだが)した。丼の下に白い平皿か、木製のトレイを使うか。

2003/08/13-9004
魔宮の攻防
グイン・サーガ第91巻
栗本 薫 ハヤカワ文庫JA 2003年8月15日発行
   毒毒度:2
“青ざめて、うらみをのんだむざんなすがたをさらした、かつては美しかった女の亡霊--やすらぐことも、ドールの黄泉に落ち着くことも知らず、うらみと哀しみと憎しみとを噴出しつつ永遠にさまよい続ける、血まみれの蒼白な亡霊--そういった、凄惨なすがたを、それは思わせた”

全世界の敵アモンを倒せ。淫魔ユリウスともどもグラチーまでもグインの助っ人を買って出たりしている今日このごろのグイン・サーガ。悪辣を極めるアモンの暗黒魔道に誘われるようにして幽霊都市と化したクリスタル・パレスへ突入するグイン。我に還ったレムスが助けを求めてくるが実はこれはアモンの罠だった。人質となっていたアドリアンの命とひきかえにグインは古代機械の操作を迫られる。だがグインの決意は意外なものだった…。

2003/08/12-9005
モダンホラー・セレクション
スニーカー
スティーヴン・キング他
吉野美恵子・他訳
ハヤカワ文庫NV 1990年5月31日発行
 毒毒度:5
“地獄というやつは、テーマ遊園地みたいなものなんだ”(「ヴァンニ・フッチは今日も元気で地獄にいる」ダン・シモンズ)
“過去は死んで葬られた。だが私は埋められたはずのものが、およそ予期できないときに地表へ浮かびあがってくる方法があることを知っている”
“すべてが暗黒と怒りに溶けあったあとには、私の骨だけが残るだろう。もろい記憶の細片、うち捨てられ、やがて待ち受ける苦しみのない無の世界に安住することを拒否する、鋭くとがった苦痛の破片が。” (「イヴァソンの穴」ダン・シモンズ)

何度読んでも濃い、ホラーの真髄ともいえる短編集。キングの3編が地味に見えるほど、ダン・シモンズの3編が、いい。ヒューマニズム(「転移」)、アイロニカルな視線(「ヴァンニ・フッチは今日も元気で地獄にいる」)、戦場に潜む亡霊というオーソドックスな題材ながら後半の阿鼻叫喚に愕然とさせられるストーリーテリングぶり(「イヴァソンの穴」)には文句のつけようがない。だが実はこの短編集で一番好きな作品といえば、ジョージ・R・R・マーティンの「皮剥ぎ人」なのだ。名家の世継ぎに異常ありってのはまあよくある話で、実は純血を守るべく長きにわたって人肉を食す習慣ってのもマキャモン『アッシャー家の弔鐘』なんかにあったりもするのだが、「皮剥ぎ人」は、懸命に生きようとする異形への思いやりとユーモアのセンスが冴えわたった素晴らしく「愛に満ちた」ホラーに仕上がっている。これはマイケル・J・フォックス主演で映画化してもらいたいと、1990年当時思ったのも今となっては懐かしい。

2003/08/11-9006
猫のいる風景・1 山城隆一 KKベストセラーズ 1995年11月5日初版発行
 毒毒度:-3
ポストカードブックである。猫=寝子とはよく言ったもので、32枚の作品のうちハッキリと起きていると思われる子は10匹だけである。伸びたり勾玉状になったりよくもまあこんな格好で…というほど猫たちの寝姿は楽しい。

2003/08/08-9007
LIVING with BOOKS ALAN POWERS MITCHELL BEAZLEY
再再 毒毒度:2
地下の図書館はやたら涼しい。リビングとは体感で5℃くらいも違う。壁面全体エコカラットという壁面材で覆われていて、湿気の除去が行われているからと思われる。早速折り畳み長椅子を持込んで昼寝してみた。快適快適。エアコンなしでも十分いける。

2003/08/08-9008
At HOME with BOOKS ESTELLE ELLIS
CAROLINE SEEBOHM
CHRISTOPHER SIMON SYKES
CAROL SOUTHERN BOOKS 11/95
再再 毒毒度:2
ブックシェルフ見直し中。読書テエブル(長さ2400)はちょっとイメージが合わず中止。

2003/08/05-9009
東京古本とコーヒー巡り 散歩の達人ブックス
[大人の自由時間]シリーズ
交通新聞社 2003年3月1日初版第1刷
2003年4月1日初版第3刷
再再 毒毒度:2
中央線沿線の古本屋&ブックカフェ探索に出かけたいといいつつ、本日もまた東京人材銀行だす。「再就職支援プログラム」とやらにのせられてはや3カ月経過、なかなか面接には至らず。そうこうしているうちに隠れ家の外回りは完成、無事足場も撤去された。ただし中身はこれから造り付け書棚の制作にかかるところ。完成は月末か。

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