●あと10000冊の読書(毒読日記)  ※再は再読の意 毒毒度(10が最高)

2003-09

2003/09/30-8983
殺戮のチェスゲーム(下) ダン・シモンズ
柿沼瑛子訳
ハヤカワ文庫NV 1994年11月30日発行
 毒毒度:5
“ちょっとでも試してごらん、このしわくちゃばばあ。そしたらあんたとは地獄で会うことになるでしょうね”
“それは彼の人生でもっとも解決されていない部分だった--四十年間にわたって彼を本当の人生から遠ざけ、結婚すること、家族を作ること、あるいは将来を夢に見ることを自らに否定させ、自分だけがなぜか生き残ってしまったという気持ちをいやというほど彼に味わわせてきたことろの脅迫観念。〈穴〉の他の仲間たちに加われなかったという後悔。だが今、彼はまさに仲間になった”
“ベイブ、聞けよ、この世の中には三種類の人間しかいないんだ。性悪な野郎、性悪な黒人野郎、性悪な白人野郎。残忍な白人野郎が一番たちがわるい。なんたって歴史が長いからな”

同胞ジェントリーを失ったソールとナタリーだったが、マインド・コントロールから身を守りヴァンパイアたちを欺くことすらできるほどに鍛練を積み、ウィリーこと大佐と邪悪なメラニーを葬り去る計画を立て始めた。ニーナに操られたふりをしたナタリーがメラニーを脅し、孤島で人間狩りゲームを楽しむ一味の撲滅をはかる。一方ソールはわざと囚われの身となってゲームの本拠地へと入、大佐との個人対決に挑む。ドルマン島でのチェス・ゲームが始まった、再び大佐の駒となるソール。地獄へようこそ。四十年の歳月を超えて彼は再び生き残れるのか。
やっとのことでここに到達。シモンズ作品にしては泣けるシーンがなかった。脇役たちが魅力的なのはさすが。元衛生兵ジャクスンやパイロットのミークス、いい味出してる。それにしてもしわくちゃばばあってしぶとすぎ。

2003/09/30-8984
東京古本とコーヒー巡り 散歩の達人ブックス
[大人の自由時間]シリーズ
交通新聞社 2003年3月1日初版第1刷
2003年4月1日初版第3刷
再再再再 毒毒度:2
こればっかりってか。本日は阿佐ヶ谷へ所用、ということで中央線沿線古本の旅もやらかそうと思ったのだが何十年ぶりかの心理テストと知能テストで、ぐったり。おまけに目当ての本屋に火曜休みが多いこともあって次回へ。阿佐ヶ谷のスターロードとダイヤ街探索でお茶を濁したのである。とんでもないところにこどものほんやがあったりもして。

2003/09/29-8985
原色スポーツ図鑑 浅井愼平 文春文庫 1985年1月25日第1刷
   毒毒度:1
“これはうっとりするほど美しい。いま、僕のまわりにはこんな情念の籠ったデザインは見当たらない”

日出づる国のイメージ。1924年と1928年、日本選手団の胸に輝いていたオリンピックのエンブレム。「スポーツグラフィック・ナンバー」の連載をまとめたフォト・エッセイ。秘かに捜索していた本、収穫。ふだんなら物の価値を知らないBOOK-OFFが100円コーナーに置きそうな本であるが、珍しくも300円。この本で知ったのだがデコイってハンティング用のものなんですね。

2003/09/28-8986
ペンギン日和 写真・文 高野ひろし うなぎ書房 2001年8月13日第1刷
   毒毒度:2
路上ペンギン写真。まあ赤瀬川先生の置き猫のペンギン版ですが、人とのからみはもろ「やらせ」なのでつまらん。表紙は根津で老猫と一緒。「じいさん猫は物知り」なんて書き出しだけど、猫さんてばもろいやがってるやないかー。動物をおどろかしてはいけませんがな。ちなみに中央区佃の黒猫ちゃんには会ったことがある気がするのだが。

2003/09/27-8987
薔薇の渇き ホイットリー・ストリーバー
山田順子 訳
新潮文庫 2003年9月1日発行
   毒毒度:3
“あたし永遠に生きたいかどうか、よくわからない。それって、そんなにすてきなことなのかな?”

収穫の際には気づかなかったがカトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウィ主演の吸血鬼映画「ハンガー」の原作、今頃になっての翻訳である。映画はドヌーヴ&ボウィの吸血鬼カップルがクラブでナンパした若い男女を「お食事」するシーンにはじまり、あれよあれよという間にボウィ扮するジョンが老化してしまう(美しいのはほんの数分、これが結構残酷)わけだが、まあおおむね映画とイメージ合致。ただし映画はドヌーヴ扮するミリアムは死んで、ミリアムに転換させられ永遠の命を受け取ったサラ(スーザン・サランドンだがあんまりきれいじゃない)がミリアムも恋人も失って物憂気にアパルトマンのバルコニーから外を眺めやるシーンで終わっていた。一方原作はミリアムが結局サラの人間としての強固な意志に根負けし、新しい恋人を探さざるをえないという結末。原作の文体がユニークとか言われているが、翻訳だとちょっと森博嗣っぽい感じがする。最近続編が書かれてそちらも翻訳予定だとか。ちょっとした吸血鬼ブームなのか。ともあれうちの吸血鬼文学コレクションが増えたということで。

2003/09/26-8988
かわいい。 シンラ編集部 新潮OH!文庫 2000年12月10日発行
    毒毒度:-3
整理中に出てきた本を手に取り…再読というのは最近陥りやすいパターンなのである。…そして水上勉『土を喰う日々』の文体を使うのが最近ブームなのである。

2003/09/19-8989
喘ぐ血
エロティックホラー
リチャード・レイモン、ナンシー・A・コリンズ 他
ジェフ・ゲルブ他編
大森望・田中一江・夏木健次・尾之上浩司 訳
祥伝社文庫 2000年5月20日初版第1刷発行
   毒毒度:2
浮気相手が浴槽で腹上死。出張から帰ってきた夫は彼女をそのまま閉じ込めた。一週間後バスルームを開けた夫が見たものは…という『浴槽』(リチャード・レイモン)などエロなホラー集結。
図書室カテゴライズ中についうっかり手に取って読んでしまう。エロだけどどこかに僅かだが品があるともいえるか(言い訳)。

2003/09/05-8990
殺戮のチェスゲーム(中) ダン・シモンズ
柿沼瑛子訳
ハヤカワ文庫NV 1994年11月30日発行
 毒毒度:5
捜査をすすめるうちに愛を深めるナタリーとジェントリー。ソールは甥のアーロンの協力を得ていたが、アーロンは家族ともども惨殺された。ソール自身も監禁されるが不思議なことにウィリーに助けられる。ウィリーにとってソールは可愛い駒のひとつなのだ。ニーナを殺しチャールストンから逃亡したメラニーは老婦人アンと家出少年ヴィンセントを操りはじめ、アンからは資産を供給させ、ヴィンセントを殺人マシンに仕立て上げていく。FBI対メラニー、黒人グループ対ヴィンセントという抗争の中で、ナタリーを守ったジェントリーは命を落としてしまう。
当初モノローグの多いメラニーが主役かと思っていたが、そのあまりの悪意に反吐が出るほどで、到底感情移入などできそうもない。それくらいキョーレツキャラである。死してもなお人を操るニーナも無気味。協力者がどんどん消されてついには善玉ジェントリーまで殺されてさてどーするナタリー&ソールってところ。
YAMAHAの人力飛行機同好会エアロセプシーの日本記録樹立のお祝いで浜松へ。風待ちの記憶がよみがえり、10年の歳月をかみしめる。最近おトクなじゃらんの旅づいているが今回の宿は浜松で二番目にいいホテル?らしい。小高い丘の上にあって窓からの眺めが穏やかな印象。ロビーに足を踏み入れても珍しく荷物を持ちに来なかった。冷蔵庫の埃が気になりはしたが、まあこんなもんでしょの結論。同じ値段でやはりオークラ神戸は別格だってことですな。

2003/09/03-8991
地中海の猫 岩合光昭 新潮社 2000年11月30日発行
   毒毒度:-3
“ローマにはローマらしいネコが、シチリアにはシチリアらしいネコが、ベネツィアにはベネツィアらしいネコがいる” (イタリア)

図書館整備中。カテゴリーは《猫まみれ》。猫のいるまちが、いい。尾道はいうにおよばず。金沢はアウト、京都はイン。ベネツィアのネコはふくよかシマシマが多いそうな。そしてトルコの猫は、泳ぐ。

2003/09/01-8992
東京古本とコーヒー巡り 散歩の達人ブックス
[大人の自由時間]シリーズ
交通新聞社 2003年3月1日初版第1刷
2003年4月1日初版第3刷
再再再 毒毒度:2
図書館整備中。カテゴリーは《歩く》か《毒書》か。古い(10年前のananとかクロワッサンとか)雑誌のインテリア特集とかも、整理するはずがつい読みふけってしまう。クルマ雑誌でもそうなのだが、欲しいモノは昔のモノばかり…。

(c) atelier millet 2003
contact: millet@hi-ho.ne.jp