●あと10000冊の読書(毒読日記)  ※再は再読の意 毒毒度(10が最高)

2003-12

2003/12/30-8931
「ル・クルーゼ」で、おいしい和食 平野由希子 地球丸 2003年11月30日初版第1刷発行
再再   毒毒度:1
本日はまるまる一日おせち作り。とはいっても、黒豆と伊達巻き、昆布巻、田作りは既製品で済ますので、母が元気で凄まじいほど手づくりだった頃に比べるとラクである。午前中に駅前のSデパートで数の子、明石のタコ、有頭海老、いくらなど海産物を品定め。金沢浅田屋で丹波の黒豆、昆布巻、田作りを購入して、亡くなった祖母も母も大好物だった甘栗をゲット。
代々伝わった「牛切り落としのしぐれ煮」は海老の酒炒りと並んでメインディッシュに。栗きんとんはさつまいもの茶巾絞りに変更。酢ばすや菊花かぶなどはNHKきょうの料理を参考にする。今回は好評「半熟卵のしょうゆ煮」に加え「いり鶏」をル・クルーゼのレシピで作ることに。下ごしらえした材料プラス砂糖大さじ1をル・クルーゼでよくいためてから干ししいたけのもどし汁を四分の一カップ加えて煮たったらしょうゆ大さじ3、みりん大さじ1を加えてずらし蓋で15分、みりん大さじ半分をかけてひと煮。仕上げに絹さやを散らす。すこぶるカンタン、しかも蓮根・ごぼうなど根菜類の美味しさが際だつ。マル。

2003/12/26-8932
キャッテ ゴーリー エドワード・ゴーリー 河出書房新社 2003年10月30日初版発行
   毒毒度:-1
原題が『CAT E GORY』というゴーリーの猫本。ゴーリーにあるまじく、ほのぼので毒はない。残念。

2003/12/24-8933
私だけの安曇野 丸山健二 朝日文庫 1982年12月20日第1刷発行
1986年7月20日第3刷発行
   毒毒度:3
“それなのに突然、まったく突然、ボカッと音が聞こえたかと思うほどはっきり胸のうちに穴があいたのを感じた。その穴にたちまち空しさの風が吹きこみ、人生はまだ始まったばかりだというのに、この世は生きるに値しないと強く感じた”(わが心の大町)
“光の部分しか見ようとしない人々こそ偏っていると思うのだが、光も影も同じ眼で見ることは非常に難しい姿勢であるが、その努力を怠ると夢のなかでしか生きられない”(カメラマンの証言)

いまだに本籍は長野県である。一度も住んだことはない。長野県人というのはドイツ人ではないかと思うことがある。勤勉・真面目である一方、鈍感、愚図、馬鹿、頑固…。ちなみにこのドイツ人観は萩尾望都の『小鳥の巣』中でのエドガー・ポーツネルの科白によるのだが。「加えて短気」とエドガーは言ったものだ。美しい安曇野の自然と、決して美しくはない人々。
手術は下半身痲酔。足の指も動いているのでひと安心。痛み止めも打たずに病室で雑誌類など眺めて過ごしているのでそろそろ帰ろうと思ったところが、痛みが発生。痛み止めの点滴があまり効かない。本人は我慢しなければと思っているらしく私の判断でナースコールをする。「わかりますかー」と結構乱暴に上半身を叩かれているが、それでは応える間がありませんって。坐薬を入れてもらって15分後、やっと落ち着いた模様。やれやれ。そういえば今日はクリスマス・イヴでしたな。

2003/12/24-8934
中世怪奇紀行 田中芳樹・赤城毅 講談社文庫 2003年12月15日第1刷発行
   毒毒度:2
“それはほら、手順を楽しむために。人間より文化的な生き物ですからね、悪魔というのは。”
“効率だけがすべてじゃない、と。立派ですねえ(笑)”

午前9時30分手術室入り。控え室に持込むには物騒だが、母の通夜でクーンツを読んだ人間ゆえお許しを。田中芳樹と赤城毅が中欧を訪ねたり対談したり。話題は北ドイツ紀行、狼男、フランケンシュタイン、吸血鬼ドラキュラ、南ドイツとドナウの国々、ライン川流域などなど。2作家の短編も収録。単行本は東銀座のK造社書店で手にとった記憶あり。はや3年か。終わりましたと呼ばれたのは一時近く。ぶっとい金属が入って、しっかりボルト2点止めのレントゲンを見せられる。「つきにくい場所です」と言われたのが気がかり。

2003/12/17-8935
「ル・クルーゼ」で、おいしい和食 平野由希子 地球丸 2003年11月30日初版第1刷発行
   毒毒度:1
怪我人を預かって三日過ぎた。長野県から帰って月曜朝整形外科のある総合病院へ行ったのだが、入院が22日、手術は24日と告げられたのである。アパートの2階へは帰れず、実家は関西というわけでたまたまバリアフリーに近いわが家で松葉杖暮らし。ひとりでトイレにも行けているが大丈夫なのか。いまできるのは栄養のある食事くらいなんだよねえ。というわけで「半熟卵のしょうゆ煮」にトライ。材料は3人分。ル・クルーゼに卵を入れ、かぶるくらい水を注いで弱目の中火にかける。沸騰してから3〜4分ゆでてすぐ冷水で冷まし殻を剥く。ざるに入れた鶏手羽中6本に熱湯を回しかける。ル・クルーゼでみりん半カップをひと煮立ちさせ、手羽中と水カップ一杯半、長ねぎの青い部分一本分、しょうがの薄切り一枚を加え煮立ったらしょうゆ半カップを加え15分煮る。卵を入れてオーブンペーパーなどで落とし蓋をして約3分。火を止めてそのまま冷まし、冷めたら冷蔵庫でひと晩以上おく。3〜4日の冷蔵保存可能。煮汁は半熟卵を加えて二三度使い回しオッケーとのことだが、私は里芋を煮てみました。これもマル。

2003/12/13-8937
100まんひきのねこ ワンダ・ガァグ 文・絵
石井桃子 訳
福音館書店 1961年初版発行
   毒毒度:3
「軽井沢絵本の森美術館」のミュージアムショップにて立ち読み。仲良く暮らすおじいさんとおばあさん。世界で一番かわいい猫をさがしにおじいさんが旅に出る。途中で出会う猫どれも可愛く思い拾ってしまう。ついに猫の数は百万匹に。池の水は飲み干してしまうし、丘の草は食べ尽くしてしまう。誰が一番可愛いかを争い大喧嘩(というか食いあい)残っていたのは痩せっぽちの小さなねこだけ。自分は可愛くもないしこんなにみすぼらしいので飼ってもらう資格はありませんと語るこねこを二人は飼うことにした。おいしいごはんを食べて二人の愛情に包まれたこねこは世界一可愛くなりましたとさ…子供の頃読んだときも、ねこたちが争う場面がとても悲しい物語。絵本には毒が一杯を再認識。
さてこの日はこのあととんでもない展開に。全日本シクロクロス選手権の前座出場の同行Y氏が練習中に転倒、なんと左足のすねを骨折してしまったのである。小牧のF氏が予約してくれていた宿でF氏とK夫妻の世話になりつつひと晩過ごしたのち、全日本選手権を見ずに、私の運転で千葉へ帰ることとなったのである。ぴー。

2003/12/12-8938
ふりむけば猫 井上洋介 架空社
小さな絵本美術館
1994年10月発行
   毒毒度:-2
その昔諏訪湖のほとりの小さな美術館にて収穫。明日は佐久で全日本シクロクロス選手権というわけで、予約してもらった宿は軽井沢。季節はずれの軽井沢散策の予定に「軽井沢絵本の森美術館」を入れてみることとしよう。

2003/12/08-8939
英国生活誌II
紅茶のある風景
出口保夫 中公文庫 1994年11月18日発行
   毒毒度:3
“こうした日常生活の中で、ごく基本的な食べ物がおいしくて、安いのである。高くておいしいのは、当たり前だ”

イギリスの食事はまずいと思われているかもしれないが、実はあたりまえの食べ物がおいしいのだと著者は言う。パン、ミルク、チーズ、プリザーヴ。季節柄、林檎を大量にいただいたので、ワイン煮とプリザーヴを作る。活躍するのはル・クルーゼの鍋。4個ずつ3回煮て、やっと五分の一が片付きましたとさ。

2003/12/07-8940
クリスマス・ボックス リチャード・ポール・エヴァンズ
笹野洋子 訳
講談社 1995年12月1日第1刷発行
1995年12月11日第2刷発行
   毒毒度:-3
“最初のクリスマスの贈り物は愛だった。親の愛。”

さぶぶぶぶぶ。長野県はさすがに寒い…とはいっても雪はないのだが。調子こいてホットレモン、しょうが湯とたて続けに飲んでいたら、トイレ開館が一時間後とな、うぐ。クルマに避難し、友人が図書館用に寄付してくれた一冊を手にとる。
著者が二人の娘のために書き記し、20部だけコピーして友人たちに読んでもらったのがそもそもの発端。好評を受けて出版社をあたったがどこも引き受けてくれないので自費出版、初版8000部。口コミだけでニューヨークタイムズのベストセラーリスト2位となってしまう。ちなみに1位はクライトン、3位アン・ライス。さらにオークションの結果大手出版社が版権獲得、初版実に50万部。という具合にまごうかたなきベストセラーなわけで、天の邪鬼な私は決して収穫には走らないであろう一冊。未亡人メアリーの邸宅へ住み込んだ子連れの若夫婦リチャードとケリー。まるで家族のような暮らしの中で、屋根裏部屋のクリスマス・ボックスから音楽が聴こえる。リチャードが連日見る天使の夢には何か秘密が? メアリーの過去がからんでいるのだろうかという具合にちょっとファンタジックでミステリアス。

2003/12/05-8941
ホームタウン東京 写真・文 片岡義男 ちくま文庫 2003年11月10日第1刷発行
   毒毒度:1
“その街にあるすべての道を歩くだけで、一週間は楽にかかる街。歩けば歩くほど、蓄積された時間が自分にしみ込んでくるような、新しいものがいっさいない、奇跡のような街。そういう街を歩いてみたいものだ、そして写真機は持たずに” (時間のテーマ・パークを)

おや浅井愼平の語り口でトマソン写真ですか? 一芸では許されない昨今、作家もなかなか大変なのである。幻の街なんかないので写真機を持ってしまう。文章に何度か「乳母」が出て来るのが気になるといえば気になる。

2003/12/04-8942
「ル・クルーゼ」で、おいしい和食 平野由希子 地球丸 2003年11月30日初版第1刷発行
   毒毒度:1
“普段はゆでただけ、蒸しただけ、焼いただけの野菜をよく食べます”
“和食に似合う、ル・クルーゼは何色?
白、ブルー、モスグリーンといったあたりでしょうか”

野菜料理専門家のレシピ。だしも水もなしの肉じゃが、野菜の蒸しゆで、煮物、魚煮つけ、ごはんものからデザートまですべてル・クルーゼで作っている和食。「鶏手羽の黒酢煮」「半熟卵のしょうゆ煮」うまそー。日本での一番人気はオレンジなんだそうな。うちのル・クルーゼはモスグリーンのオーバル型。この色に似せたやかんも持っている。そういえば塗り替えた窓枠のグリーンも偶然ル・クルーゼと同じだった。

2003/12/03-8943
家ができました 銀色夏生 角川文庫 2003年11月25日初版発行
   毒毒度:-2
“いちばん好きなところは、床の木がさらさらして気持ちいいところ。”

久々ナマ本屋にて新刊収穫。まずは過去に一冊だけ購入したことがあるが作風には馴染めなかった著者の家づくり記録集。木の家である点が我が家と似ている。家全体がワンルーム状態。素材にこだわったり、壁に自分で貝殻を貼りつけたり。内犬を外犬にしたら吠えなくなってきたという話はちょっと面白い。これから庭づくりに取り組むとのことで、こちらも本になるでしょう。

 

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