●あと10000冊の読書(毒読日記)  ※再は再読の意 毒毒度(10が最高)

2004-02

2004/02/29-8901
台所のオーケストラ 高峰秀子 潮出版社 1982年6月15日第1刷
1982年8月20日第5刷
 毒毒度:2
“どちらかというと、甘味のあるワインが多いので、私は白ワインの代りに辛口の清酒を使うほうが無難だと信じています。それにサ、美味しく飲める上等のワインをザブザブと料理に入れるのはモッたいないし、料理用のワインはやっぱ、安いだけあってあまり感心しません。食事時、魚料理には白、肉料理には赤、っていうことになっているけれど、別に法律で決っているわけじゃありませんから、私は専ら赤オンリーで通しちまう。白よりも赤が好きなんやからしようむないやろうが

ただ今実家リフォームのため書籍、料理道具など整理中。母が亡くなってはや2年、ひたすら整理して不用品を捨てる日々。パイレックスのパイ皿を5枚もまとめ買いして、何をするつもりだったんだろうか。床下収納庫からはでるわでるわ10年ものの…果実酒はいいとして怪しい生物に変化したらっきょう漬けなど。ちょうど10年前をサカイとして《作る》喜びを病に奪われた母のことを想うと、そうそう捨てられないのだが、それにしても古いんでねえ、許したもう。1994年の梅酒はセーフ、1993年6月17日付けのらっきょう漬けはアウト。昭和57年のカリン酒って一体。。。この本も母の蔵書。見開き完結で食材にまつわるショートエッセイに必ずそれを使ったレシピつき。料理写真一切なし、文章は小気味よく、安野光雅の装幀がお洒落。

2004/02/28-8902
背水の陣 赤瀬川原平 日経BP社 2003年6月30日初版第1刷発行
 毒毒度:2
“いまの世の中は、身の回りに自家中毒とみなされる症状が多く、これはある種の文明病であり、その特徴は自己批判能力の欠如である。自己治癒能力の欠如ともいう”
“古物がいいというのは、古いからいいというのではなく、エネルギーがふんだんにそそがれているからいいのである。”
“新しいほどいいわけではない。古いほどいいとも限らない。建物にしろ、車にしろ、カメラにしろ、芸術にしろ、それぞれいちばんよかった物の時代があるように思う。”

テーマは環境と身体。南心坊の装幀が素晴らしい。シンプルだが、配色の妙。青いカバーと天地の半分を使った帯色の茶のバランス。そして読みながら気づいたのだが、すこぶる繰りやすい紙質の本文ページも読み手に優しくてGOOD。

2004/02/26-8903
その辺の問題 中島らも いしいしんじ ダ・ヴィンチブックス 1998年2月20日初版第1刷発行
   毒毒度:2
“生田さんの家って、サバト館っていって、電算写植打ってるんだけど、俺、そこに写植お願いしてたんや。『啓蒙かまぼこ新聞』の。”
“あの人が翻訳した本はおもしろかったな。でっかい人でね、3メートルはあった”

アムステルダムのコーヒーショップ(コーヒーを飲むためのものではないのであしからず)体験やら怪しい話満載なのだが、いずれも、らもさん本の何かで読んだことがある気がするものばかり。ただし引用箇所には大爆笑。あの仏蘭西の香たかき生田耕作先生がねえ…。

2004/02/24-8904
ドイツおいしい物語 大島愼子・絵 白田環・絵 東京書籍 1996年7月30日第1刷発行
1997年11月7日第3刷発行
   毒毒度:-2
“ドイツ料理の神髄は煮込み料理であり、深鍋で作るカロリー満点のスープ、そしてドイツ料理に豆が欠くことのできない食材であることがわかったのも、この料理からである。”

決してソーセージとビールの国ではないらしい。豚肉が料理に使われる頻度は高く、一口食べて、材料の豚の年齢が解るそうだ、おそるべきドイツ人。

2004/02/21-8905
河童のスケッチブック 絵と文 妹尾河童 文藝春秋 1995年11月30日第1刷
再再   毒毒度:2
来客のため、ピェンロー作成。白菜1株。鶏ももひとりあたり100g、豚バラひとりあたり100g、戻した干し椎茸、山東省龍口の緑豆春雨1袋。白菜の白い部分ともどした椎茸の水がダシである。フツーの胡麻油大さじ4杯ほど加え、途中で白菜の上部も追加して煮ること40分弱。最後に春雨を入れ胡麻油でのの字を書いて出来上がり。食べるときにフツーの粗塩、一味唐辛子でひとりひとりが味付けする。決してネギや春菊を加えてはいけません。

2004/02/20-8906
秘密のケーキづくり マドモアゼルいくこ 21世紀ブックス 1978年6月15日初版発行
1978年8月15日第21版発行
   毒毒度:-3
「おいしくて太らない 簡単で失敗しない」ケーキづくり、亡くなった母の料理本コレクションの中で、一番ボロボロな本。最近めでたく復刊したとのことで喜ばしい。チーズケーキはどれも絶品、かの名作《ヨーグルトポムポム》が載っている。苺の季節となり、早くも1パック250円でゲット。というわけで先週好評だった《いちごチーズケーキ》づくりに励むのだ。ほぼレシピ通りだが、生クリームをかけて食べたことはない。冷蔵庫に入れて3日めくらいがサイコーというのは納得。

2004/02/17-8907
猫の宇宙 写真・文 赤瀬川原平 柏書房 1994年10月25日第1刷発行
再再 毒毒度:-1
ブータン〜ブータン写真つながりで、こちらもいまいちど確認。『ブータン目撃』と同じ撮影地点ながら、ビミョーに違うカット。そして一番の違いは、こちらには猫がいる。

2004/02/16-8908
赤瀬川原平のブータン目撃 赤瀬川原平 淡交社 2000年9月25日第1刷発行
   毒毒度:1
“そういえば日本では和服の店を呉服屋さんという。ゴ服である”
“感じる時間は短いほうが強力である”

想像力がかきたてられはしたが、妄想へと暴走していないか確認の意味をこめて、同時に借りた赤瀬川版ブータンも見てみよう。こちらは「ブータンのトラック野郎」や神々しい「タクツァン僧院」、「きんと雲マーク」「経文の旗」などなど写真満載。『猫の宇宙』で見かけた記憶がある写真も数点。岸本さんが気になったものの激写する勇気の出なかった、例の農家の壁を飾る男根絵も堂々と載っている。

2004/02/16-8909
ふわっとブータン、こんにちは 岸本葉子 NTT出版 1999年4月20日初版第1刷発行
   毒毒度:2
“わずか数時間のフライトで、別天地に来たかのよう。スプーン一本落としても、遠くヒマラヤの氷河まで、かこーんと響いていきそうである”
“ゴやキラの袂を、モンシロチョウが前後しながらついてくる。一歩ごとにに元気がわいてくるような、正しい朝の風景だ”
“「日本に帰ったらブータンのことを人に話す機会があるだろうけど、すべてがよかったとは、けっして言わないでね」”

以前働いていたまちへ久々出かけることになった。電車で、出力センターでの待ち時間に、借りたばかりのこの本をぐいぐい一気読み。ブータン個人旅行記なのだが、文章が旨い。飽きさせない、テンポがある。そして旅行記におきまりの写真が、一枚もない。この写真が一切ないということが実は凄いことで、ブータンに行ったこともない読み手にその面白さ、人々の気立てのよさ、色彩感覚の素晴らしさがちゃんと伝わるのである。否応なしに、だがごくごく自然に想像力がかきたてられ、わくわく読める。〈露天〉が一箇所だけ〈露店〉になっていたのがしごく残念…こういうの見つけるってわれながらやだけどさ。

2004/02/11-8910
アムステルダムの犬 いしいしんじ 講談社 1994年4月25日第1刷発行
1994年6月3日第2刷発行
再再   毒毒度:1
くんかくんかbyぱとらっしゅ。アムステルダムへ行きたいby快復著しいけが人(なぜか自転車にはフツーに乗れるフシギ)。

2004/02/02-8911
魔界都市シリーズ5
幽姫の章
菊地秀行 祥伝社文庫 2002年2月20日初版第1刷発行
   毒毒度:1
“奴らは、この街ですら屑です。〈新宿〉は、どんな人間でも受け入れますが、好き勝手に生きられるほど甘い場所ではありません。”
“装甲バスによる『第三級危険地帯』遊覧:途中下車一切なし:生命保険強制加入”
“妖物を食べよう!秋の〈新宿〉グルメ旅:当観光協会だけが、〈新宿〉一流のシェフと組んで提供する妖物料理:絶妙の味付け。どれも胃薬なしで気軽に愉しめます”

シリーズ5作目。ジャガーを駆る死美人とのはかない恋模様?もあったりして。

 

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