愛 知 県 刈 谷 市 の 本 刈 谷 貝 塚
貝塚が所在する神社境内の工事現場。 今年4月から6月にかけ本刈谷神社の社務所建替えに伴い、緊急発掘調査が行なわれたと云う。 今回の調査で特徴的な点は、土壙内に幾つかの焦土が検出され、その中からは焼骨も見つかった。 |
以前の発掘調査で犬歯の“抜歯”や、フォーク状の切込みを施した“叉状研歯”を伴う10数体の埋葬人骨が検出されたが、今回の調査でも屈葬人骨・土器棺埋葬幼児骨の他、頭蓋骨や一部のみが残る人骨など合計10体分ぐらいが発見されたと云う。 人骨の特徴は、狩猟・漁労・植物採集などハードな労働のため下肢の筋肉が異常に発達していた点、更には歯の磨耗が著しかったことから、当時の厳しい食生活環境が窺い知れた点が指摘されている。
盤状集骨葬人骨は壮年男性1体分の骨を集め、割られた頭蓋骨や大腿骨などが
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シカ・イノシシなどの狩猟には弓矢が不可欠な道具であったと見られ、石鏃と共に矢形骨製品(骨鏃)や鏃を矢柄に装着するための矢筈形骨製品(根バサミ)などが出土している。 唯一埋葬された動物と云われるイヌが、手厚く埋葬された形で発見されていることから、足の速いシカ・夜行性のイノシシなどの狩猟にはイヌの強力な援護を必要としたと考えられる。 |
本刈谷縄文人の豊かな暮らし振りを偲ばせる装飾品が数々検出されている。
貝塚らしく貝輪が目立つが、中でもサルボウ貝製が数多い。 これら装身具以外にも、魚椎骨製や土製の耳飾り、牙製勾玉などの首飾り等々が出土している。 以上の出土遺物から、本刈谷縄文人の生活文化や風習の一端が垣間見られる |