ノ下遺跡は宮川村内に所在する代表的縄文遺跡の一つで、縄文晩期を主体とする。

 平成2年及び6年に発掘調査が実施され、配石墓が検出されると共に、御物石器・石冠など宗教的な石製品が数多く出土した。

 縄文後期を迎える頃、気候は少しずつ寒冷化の方向に進み、地域によっては食糧難から集落跡が減少した事実に注目したい。

遺跡現場

 真に写し出されている国道のバイパス建設工事に伴って検出された遺構・遺物で、特に墓穴・御物石器・石冠・石棒などが注目されている。

御物石器石冠各種石冠

 つの土壙墓から御物石器と石冠が各々8点づつと云う多数見つかり、注目を集めたと云う。

 集団墓地の一角から出土したことで、何らかの葬送儀礼に使われたと見られている。

 
御物石器・石冠は縄文後期末から晩期にかけて富山・石川県地域でも作られており、特に石を並べたり・囲んだりした遺構からの出土例が知られていることから、同時期に岐阜を含めた広域地方で同じような慣習・慣行が広がっていたと見られる。

寒冷化・食糧不足・人口減少という非常事態に直面し、これらの石製品は存命・再生を祈願した宗教儀式に使われたと考えられる。

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