首から下げた定期券を駅員さんに見せながら改札を通ると,後から2両目の車両に向かった.いつも同じ車両に岡山竜太郎先生も乗っておられるからだ.自分の乗る駅より遠くの駅から先生が来られることが私にはとても尊敬すべきことのように思われた.岡山先生の他に音楽の須川先生もこの車両に乗っておられた.私は須川先生が大好きだった.須川先生は私たちに千一夜物語から毎日一話ずつお話を聞かせてくださった.私はそのお話がとても楽しみで,毎朝電車に乗るのがとても待ちきれない程だった.