放出の駅に帰りついて,何時もの様に首からぶら下げた定期券を改札の駅員に見せながら通ろうとした時のことである.駅員さんに定期券の期限が切れていることを指摘された.若いその駅員の,真っ赤になって当惑しながら,「今日はいいから,帰ってお母さんに言いなさい」と言っているその顔をよく覚えている.私は自分が泣いたことは全く覚えていないが,きっと大声で泣いたのに違いない.