まりこは両親,弟,3歳年上の従姉ののぶちゃんと住んでいた.のぶちゃんのお母さんは長尾の病院に入院していた.のぶちゃんのお父さんは船長さんで,終戦の年に亡くなっており,まりこの父がのぶちゃんの面倒をみていた.そういう訳でのぶちゃんは地元の小学校へ通っていた.ある年,のぶちゃんは小学校で表彰された.おじさんの家で,早起きして家の手伝いも良くし,頑張っているからということだった.食事の時,ご飯をよそうのはいつものぶちゃんの役目だった.そうか,のぶちゃんと私とは待遇が違うのだと,この時初めてまりこは認識した.まりこが近所の子に泣かされて帰ってくるとのぶちゃんはいつも「誰がしたん?」と聞いて,「いじめたらあかんで」とその子に文句を言いにいってくれた.