小学校は生駒山の麓にあった.運動場は広く,クローバーが一面に咲いていた.授業の合間にはクローバーの花を摘んで,花輪を作った.授業の鐘が鳴ると,作りかけの花輪を靴箱の奥にしまった.次の休み時間には走って行って,また,その続きを編んだ.鐘が鳴ったら走って行って,また,走って帰って,何日も何日もかけて,長い首飾りを作った.その首飾りで何をするというあてもなかったのだが.