「新版 誰も教えてくれなかったダイビング安全マニュアル」サポートページ


・317ページの「丹波博之」さんのお名前は、性格には「丹波博幸」さんのまちがいです。
 私のチャックミスによってご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。


・ダイビング器材に関するプロダイバーからの意見

 今回の「新版」を読まれたプロの方から、器材に関する貴重な意見をいただきましたのでご紹介します。
 このプロの方は、長いダイビング歴を持ち、ダイビングへの安全度がさらにアップするようにという気持ちで各社の器材をテストしているプロダイバーです。私も数回お会いしたことがあり、そのお人柄も素晴らしい方です。
 「新版」では、私は器材選択についての情報はあくまでも参考であって絶対的ではないと書いております。したがって、器材の使用目的や、ダイバーの体格や技量レベル、また相性などによってベストマッチは異なってきます。
 以下で紹介する意見は、私の本の情報を補填してさらに選択のための情報量をふやすものとして貴重なものです。皆さんが器材を選択する時に参考になると思います。
 なお、これを書かれた方は、住所氏名を含めて明らかにして下さっていますが、万が一にでもこれを掲示することによって(掲示の了解はいただいています)ご迷惑がかかることを避けるために、ここでは私の判断で匿名に致します。

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 レギュレーターは呼吸の要となる大事な器材ですが、使用して初めてその器材の特徴を把握できることも少なくありません。
 以前大手メーカー製で人気のあるレギュを使用したときに、水中で非常に早く動いたところ、水が逆流したこともありました。
 いろいろなレギュを使用しましたが、基礎設計が良いことと、設計者がダイバーで有ることがよいレギュが生まれる条件だと思います。
 勘違いが起きやすいのですが、呼吸抵抗を良くするあまりに部品点数が多くなり、結果的に耐久性に問題が起きたりフリーフローしやすくなったりするレギュはよくありません。確かにカタログ上のスペックは良いのですが、実際の使用にはどうかな?というレギュも一部存在するので注意しましょう。

 あらゆる点でお奨めなのがアメリカに会社があるアトミックのレギュです。最上級機種のチタン製レギュは多くのプロダイバーが使用しています。これは正規輸入代理店メーカーSASと取引があるプロショップにて購入が可能です。
 このレギュに性能的に近く、値段も手頃で基礎設計が素晴らしいのは日本のメーカーで、作業ダイバーに定評があるダイブウエイズのレギュです。
 特に呼吸のしやすさには素晴らしいものがありますが、調整が良くないとフリーフローが止まりにくいこともあるので、こまめにメンテナンスをして使用しましょう。
 トラブルがなく、トータルバランスが素晴らしいのは、やはり日本のメーカー、NDSと新しいメーカー、エミリオのレギュです。
 これは設計者が同一人物で、警視庁でも使われていることもあり、プロダイバーには定評があります。
 このレギュの設計が素晴らしいのは、陸の呼吸抵抗は少し重めなのですが、水中では全く普通に呼吸できることです。言い方を変えればとてもフリーフローになりにくいのです。空気の出方に少し特徴が有りますが、重い=吸いにくいではなくて、十分な空気流量が有るため、かえって無駄に空気を使わなくてすむことが出来ます。
 パーツの耐久性も特筆すべきものがあり、トラブルが起こると対処が難しい場所や、よく海外に行く人にとっても問題が起きにくいお奨めのレギュです。
 これらのレギュは品質管理が徹底しているため、ディスカウントストアーとは取引を行っていないので、購入は正規ディーラーであるプロショップにて購入することになります。違いが解るダイバーはやはりランニングコストで考えるべきです。

 フィンについては個人差があるのでどれがベストだとは一概に言えないのですが、縦割れタイプや最新の理論で設計されたものより、昔からのゴムフィンやジェットフィンが一番良いように感じます。特にエントリー、エキジット時の足場が悪いところで歩くとき、滑りやすいフィンが最近多いです。
 ジェットフィンはLサイズとXLサイズは大きさがとても違うので、足のサイズが25〜26センチの人は使用するスーツのタイプで選択するサイズが変わるので注意しましょう。
 ドライでLサイズはフットポケットの大きさが微妙です。

 縦割れタイプは確かに良く進むのですが、足を小刻みに動かさなくてはならないので、足に力がある人には、かえって空気使用量が増えることもあります。
 以前、縦割れタイプのフィンをメーカーから強引に勧められたことがありましたが、その営業の方は潮流の強い場所で流されていました。
 しかし、各メーカーから以前より改良された縦割れタイプが出ていますので、お年寄りや女性にはこれらのフィンはお奨めできます。

 ダイビング器材は構造的、物理的スペックよりもいかに快適に問題なく使用できるかがキーポイントです。
 皆さんも愛着を感じられるような、良い器材を選び、ダイビングを安全に楽しんでください。

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 皆さんが行っているショップで器材を勧められたとき、これだけのアドバイスをしてくれる方は何人くらいいるでしょうか?器材の広告だらけのダイビング雑誌などにはこのような情報はまず載らないでしょう。
 実際に自分で試され、さらに多数のダイバーがそういった器材を使用する現場を見ている方が語る、スポンサーに左右されない意見は貴重なものです。

 なお、ジェットフィンについてですが、これはその構造上、足を入れる部分がXLサイズ未満は若干小さめになるため、大きな足の方(!?)以外で、足を入れる部分が大きいものに慣れている方は使いにくいと感じるかもしれません。私もプラフィンを持っていますが、デカ足なのでジェットフィンはXLサイズを持っています。そのデカ足のためか、以前それを使った時はいい感じでした。今は足の力も衰えているため、ジェットフィンの重さは、スノーケリングで使うには苦労するかもしれませんが。
 それでも腕のたつプロがジェットフィンを推薦することが多いということは、その特性がすぐれているからだと思います。
 皆さんも、自分にあった器材を探しましょう。そして器材の購入の際には、商品知識の少ない販売員(商品知識が少ない人は、勉強する間もなく、単に特定器材の販売ノルマに追われているだけかも知れません)を避けて、きちんと知識を持っている方に、使用目的をはっきりさせながら相談しましょう。

2002年5月21日