質問・回答(0013)


「陰部のかゆみ」について?(96/ 9/15 )

6ヶ月くらい前から、陰部(隠茎、隠嚢)にかゆみを覚え、掻いているうちに隠茎の根元の部分、隠茎があたる部分の隠嚢が、じくじくとして、水のようなものが出てきました。そのうちに陰部の皮がぼろぼろとむけてくるようになり、皮がむけては、また真っ黒な皮になってしまう状態です(特に掻いた部分)。

現在は、じくじくして水が出てくようなことはなく、かゆみも以前に比べてかなり治まってきました。ただ、上にも書いたとおり、皮が真っ黒になり、むけてしまう繰り返しで、マキロンや、テラマイシン軟膏を塗って治療しています。別に不潔にしていた覚えもありませんし、不特定の女性と性行もしておりません。また関係ありませんかもしれませんが、乳首、ふくらはぎにもかゆみがあります。病名、治療法、また女性への感染等について教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。26歳、男性

単純な「陰部掻痒症」や「湿疹」,「蕁麻疹」,「薬疹(薬を飲んだために出た湿疹)」,「動物からの虫」、「その他」の病気の可能性も残りますが,メールの内容から最も考えられるのは「疥癬(かいせん)」です。

「疥癬虫(かいせんちゅう)」という虫が皮膚の一番表面の角層の中に住み着くというやっかいな病気です。日本では第二次世界大戦直後に大流行しその後世の中が落ち着くに従って殆どみられなくなっていたのですが昭和50年頃に大流行をしました。これは昭和40年中頃より東南アジアへ性的な楽しみを目的に旅行した男性達がたくさんいた為と考えられています。この流行後現在でもしばしば見られる疾患となりました。特に老人の多い病院などで流行し困ることがあります。外来では29歳以下0歳までの人が6割を占め若い人に多いです。

痒みがとても強く,亀頭(きとう),陰茎,陰嚢に多く見られるのも特徴です。このほか指の間に出ることもあります。しっかり観察してみると「漿液(しょうえき)性丘疹(きゅうしん)」と言って直径2mmほどの高まりが出て「じゅくじゅく」したり、「疥癬トンネル」と言って数ミリほどの虫が這ったあとがみられることもあります。掻いたあとは皮膚がぼろぼろとむけてあとは黒くなることもあります。

皮膚科の先生に皮膚を掻きむしって顕微鏡で見てもらって虫の卵などがみつかるとはっきりと診断がつくのですがなかなかみつかりにくいこともあります。

潜伏期間は1ヶ月ほどです。性交での感染は当然ですが性的な交渉のない家族,同室者,職場内での感染も多く,自分が病気であることをどうしても隠すのでなかなか集団発生がはっきりしない傾向があります。質問者の場合後者が考えられます。

治療は「六十0ハップ(「むとうはっぷ」と読みます)」や「安息香酸ベンジル」、「ガンマBHC(毒性低く欧米では最も使われるが日本ではなぜか販売禁止)」などの特効薬を毎日の入浴と合わせてうまく組み合わせて使います。

下着、シーツは毎日洗濯をして高熱の乾燥機で乾燥させるか日光消毒をします。部屋の掃除をしっかりと、特に寝室、居間は丁寧にして日光をできるだけあてるようにします。

何はともあれ恥ずかしがらずに皮膚科の専門の先生を受診されてはいかがですか?皮膚科の先生は見慣れた病気ですので「またか」と思われて適切な処置をして下さるはずで,恥ずかしくありません。

性行為のみで感染する病気でもありません。特徴ある皮膚の症状だけである程度診断がつきますし、もし顕微鏡の検査で何か見つかれば確実に診断できます。適切な治療で普通は2ー3週間で治ります。なお、顕微鏡検査がすぐできるようになっていないような病院は避けた方が無難です。