質問・回答(0018)


「デング熱」について教えて下さい。(96/09/16)

現在タイで生活しています。デング熱についての症状と予防方法について教えてください。96/ 9/16 12:51


*メールありがとうございます。ホームページ上でお答えする予定です。
*暫くお待ちの上ご覧下さい。
*足立憲昭(http://www.asahi-net.or.jp/~fe4n-adc/)
*自宅専用FAX:0798-67-8673, Nifty Serve:BZA05772
*E-mail:fe4n-adc@asahi-net.or.jp


 ご返信どうもありがとうございました。症状について詳細を下記致しますのでよろしくお願い申しあげます。

現在タイのバンコクで生活しております。
 9月7日に5才の長女が突然39.6度の発熱をし、当初は副鼻腔炎との診断を受け、抗生物質、解熱剤、除痰剤をもらいました。4日後の11日には熱は37度台まで下がりました。

 ところが、9月11日に母親(32才)、父親(32才)も39.9度の発熱があり、母親は呼吸時に胸部に痛みがあり、父親は胸部の痛みと関節の痛みがありました。当初喉の痛みは全くありませんでした。

病院では解熱剤と抗生物質をもらいました。

 また。11日の夜には次女の0(4才)も発熱、12日の朝には3女の0(1才)も同様に発熱しました。

 9月14日に母親の血液検査を受けたところ、血小板が1万1千に減少しているとのことで、デング熱の可能性があるとの話でした。

 デング熱については、蚊から感染すると聞いておりますが、どうすればはっきり確定できるのか、治療はどうすればいいのか、予防はどうすればいいのかについてご教示下さい。

 尚、9月16日現在では全員37度台に熱は下がっております。

 お忙しいなかお手数ではございますがよろしくお願い申しあげます。(96/ 9/16 19:43 )

96/09/15
詳しいメール拝受致しました。何かとご不自由な海外からの急性の疾患のご相談でご心配のことと思いましたので順番を無視してお答え致します。

「デング熱」は「ネッタイシマカ」などの蚊によって媒介される「デングウイルス(フラビウイルス科)」の急性感染症です。「発熱」「痛み」「発疹」などの症状が出ます。

日本国内には常在せず,アジア,アフリカ,中米などの熱帯,亜熱帯地域に広く分布しています。特に東南アジアでの患者の増加は我が国と関係が深く注目されています。

このように特に東南アジアで注意すべき病気については新聞紙上でもご質問があり,ごく簡単にではありますがお答えしたことがありますので下記をクリックしてご参考になさって下さい。

「海外旅行で注意すべき病気」のページ

「デング熱」は普通は命にかかわることはほとんどなく、水分や栄養補給と熱冷ましなどによって自然回復する病気です。こういうタイプを「古典的デング熱」と呼んでいます。

しかし場合によっては「デングショック症候群」とか「デング出血熱」という危険な状態を示すことがあり注意が必要です。

これら3つのタイプを詳しく解説しておきます。

1. 古典的デング熱(CDF)
 2-7日間の潜伏期の後に高熱,頭痛,眼痛,腰痛などで急激に発症する普通のタイプです。

発熱は1週間ほど持続しまるで麻疹(はしか)の時のように一度下がってからまた上がることがあります。続いて全身の筋肉痛,脱力,嘔気,嘔吐,食思不振などをみます。のどの痛み,鼻汁,咳など風邪に似た症状が出ることもあります。全身の「ぐりぐり(リンパ節)」の腫れもみられ,解熱時に発疹が出ますが,かゆみはありません。

血液検査では白血球減少(顆粒球の減少)と血小板減少が認められます。

2. デングショック症候群(DSS)
 はじめはCDFと同じようですが,2-5日で全身状態が急に悪くなり, おちつきがなくなり,手足が冷たく,チアノーゼといって血の気がなくなり,呼吸が激しくなり脈の数もふえます。ついには血圧が急に下がって反応がにぶくなるというショック症状を示すようになることがありこれがこわいのです。ショック状態になれば12-24時間以内に死亡する危険性が高いとされています。

3. デング出血熱(DHF)
1953年ころから,発熱・出血・循環障害からショック死する重症型のデング出血熱(DHF)が出現するようになりこれは危険なものです。病気になって後2-5日目に体中に出血傾向(にじむように血が出てくる)がでてきます。例えば皮膚・粘膜(口の中など)に点々と皮下出血を起こしたり, 鼻血(はなぢ)や引いては胃腸から出血をして便に血が混じって赤または黒くなったり,場合によっては脳出血まで起こすことまでもあります。

血液検査ではヘマトクリット値の上昇,血小板減少,血清タンパクの低下,補体価減少などがみつかります。

ご質問をされた方の場合,32歳のお母様の血小板が1万1千というのが気になります。血小板というのは普通1立方ミリメートルあたり15ー30万ですのでかなりの低下です。何回も採血をしてもらって血小板の数の変化とDICという危険な状態ではないことを検査で確認してもらって下さい。「鼻血」や生理に似た「不正性器出血」、全身の皮膚からの出血に気を付けて下さい。少しでもそういうことがあれば直ちに病院に連絡をして下さい。

治療は抗ウイルス薬がまだ開発されていないので解熱剤などで様子をみます。高熱時には氷のう・水枕を使うと良いでしょう。スポーツドリンクや番茶、麦茶などで水分を補給するとよいでしょう。なお、解熱剤や頭痛薬としてサリチル酸系の製剤は出血やとアシドーシス血液の酸性化を助長するので禁忌とされています。アセトアミノフェン製剤の使用が好ましいですので鎮痛剤や解熱剤も勝手に使わないようにして下さい。デングショック症候群(DSS)やデング出血熱(DHF)ではもちろん直ちに入院し輸液,輸血,酸素吸入の他へパリン,ミラクリッド,フサン,エフオーワイなどの特殊な薬の投与を行います。

デング熱のワクチンは実用化されていません。予防は兎に角「蚊に刺されない」ことです。 外出するときには「長袖の衣服にする」,「蚊取り線香」,「蚊避けの薬」,「蚊帳を使用する」などありとあらゆる手段を用いて蚊に刺されないようにしましょう。ネッタイシマカは昼間吸血性です。