質問・回答(0126)


「周期性四肢麻痺」について教えて下さい。

お忙しいところ恐縮です。過去の質問をすべて拝見させて頂きましたが、私の持病である「周期性四肢麻痺」に関しては見当たりませんでしたのでお便り致します。

丁度20歳ごろ、しゃがんだりしたあと立ち上がるのが非常に苦痛になる事があり単なる筋肉痛だと思っていたのですが、ある日ベッドから起き上がる事も出来なくなり大変驚きました。

近所の某国立病院へ行ったところ、「原因不明」のため即入院せよとの事でした。約3ヶ月の入院にてようやく「周期性四肢麻痺」であろうとの診断を受け退院致しました。その後医師からは「30歳までには自然と治る」と言われていたのですが、現在32歳になる今も発作が 多発します。

その後痛風にも罹り非常に苦痛な日々を送っています。(このメールを書いている今も周期性四肢麻痺&右足痛風発作を起こしています。痛風に関しての書物はかなり出版されていますので、ある程度は理解出来たのですが、周期性四肢麻痺に関する書籍はまず見当たりません。一体どのような病気(原因等)なのでしょうか?

退院時に医師に「治療法は無いのでとりあえず出した薬を飲み続けなさい」と言われたのも腑に落ちません。本当に治療出来ないのでしょうか?また、命に関わってくる事は無いのでしょうか?乱筆乱文にて失礼いたしました。
(97/ 2/ 9 01:07 東京都 Mさん )

(97/2/9)
メールありがとうございました。

はっきりしない点が多く、書かれていますように「腑に落ちない」のではないかと思います。何とかホームページ上でお答えしたいと考えていますので時折qabyouki.htmlを見て下さい。

この病気の人は甲状腺機能亢進症(バセドー病)と合併してくることが多いのですが甲状腺については何か言われたことがありませんか。

それから、この病気は神経内科専門医または甲状腺異常が合併しているときには内分泌内科専門医で相談されるのが良いのですがどういう先生方にいままで診て貰われたかなど教えてもらえますか。

発作の様子を「発作の進行具合」「立てなくなる時間、日数」、それに今使われている薬の内容、食物中のカリウムの摂取について「野菜類を食べなさい」などいわれたことがあるか血液中のカリウムの濃度はどの程度かわかれば教えて下さい。

尚、私のホームページの医学部の学生さんの為のページに1txbk.htmlから8txbk.htmlというのを以前からアップしてありますがそちらにも「周期性四肢麻痺」については少し解説していたと思いますので探せたら見ておいて下さい。では。


こんにちは、早速のお返事有り難うございます。 >
>メールありがとうございました。
>はっきりしない点が多く、書かれていますように「腑に落ちない」のではないかと思います。何とかホーム
>ページ上でお答えしたいと考えていますので時折qabyouki.htmlを見て下さい。 >
有り難うございます。今後もDrのHPを必ず見てみます。
>
>それから、この病気の人は甲状腺機能亢進症(バセドー病)と合併してくることが多いのですが甲状腺に
>ついては何か言われたことがありませんか。
>
特にそのような事は言われませんでした。
>
>それから、この病気は神経内科専門医または甲状腺異常が合併しているときには内分泌内科専門医相>談されるのが良いのですがどういう先生方にいままで診て貰われたかなど教えてもらえますか。
>
入院していたのは、国立oo病院の神経内科でした。その後もこの病院の神経内科にかかっていました。(現在はほとんど行っていません)
>
>発作の様子を「発作の進行具合」「立てなくなる時間、日数」、それに今使われている薬の内容、食物の

>カリウムの摂取について「野菜類を食べなさい」などいわれたことがあるか血液中のカリウムの濃度はの>程度かわかれば教えて下さい。 >

まず進行具合ですが、「1日中だめな日」もあれば「数時間で治る日もある」と言う具合です。特に米飯を大量に食したときや、ジュース類をたくさん飲んだ翌日はかなりひどいです。

立てなくなる日数は、おおよそ半日〜1日くらいです。あと、足を冷やす(寒い部屋に何時間も座っている)等をすると数時間のうちに発作が出ます。

野菜類の摂取はたしかに言われました。(バナナやすいかが良いと言われましたが、そうそう食べられません!)

血中濃度は、聞きましたが「お教えできません」とのことでした。(素人が聞いてどうするの?的な扱いでした)

参考までに現在投薬されている薬は、「SLK」というマーブルチョコみたいな錠剤です。
今後ともよろしくお願いいたします
(97/ 2/ 9 12:34 東京都 Mさん)


(97/ 2/9)
「周期性四肢麻痺」は手足の筋肉(「骨格筋(こっかくきん)」とも言います)が数時間から2−3日にわたって力が弱くなる発作を起こす病気を集めて呼んだものです。

原因は骨格筋の細胞の膜に対するカリウム(「K」と略します)などのミネラルの作用が考えられていますが全て解明されたわけではありません。

血液中のカリウムの濃度により「低カリウム性」「正カリウム性」「高カリウム性」と3種類に分類されています。しかし、日本で普通私たちが拝見するのは殆どが「低カリウム性」でしかも10人中9人までが御質問者のような若い男性です。そして半分位の方に甲状腺機能亢進症「バセドー病」が検査をするとみつかります。

「バセドー病」といっても目の玉が飛び出したような表情になったりという派手な症状の方は少なく検査をすると初めて甲状腺ホルモンが多く出ているなどの異常が分かることも多いです。中には「胸がどきどきする(動悸)」や「人より暑がりで汗をかきやすい」、「下痢をしやすい」、「皮膚の色が黒っぽい」などの「バセドー病」特有の症状に気づかれている方もいらっしゃいます。これらの症状や首の前の「のどぼとけ」の少し下あたりの甲状腺のところが腫れていないかどうかなどは注意してみて下さい。

ご質問者の場合「特に米飯を大量に食したときや、ジュース類をたくさん飲んだ翌日はかなりひどい」など殆ど「低カリウム性周期性四肢麻痺」に特有の症状です。これは健康な人でも炭水化物や糖分をたくさんとると血液中のカリウムが低下するので「低カリウム性周期性四肢麻痺」の人では発作を起こしやすくなるのです。

しかし、普通なら適切な治療をしていれば再発をすることは滅多に無いのに再発を繰り返しておられることが不思議で何故なのか気になります。それから「寒いところにいると発作が起こる」と書いておられますが、「低カリウム性周期性四肢麻痺」ではこういうことは殆ど無くて、むしろ珍しい方の「正カリウム性周期性四肢麻痺」や「高カリウム性周期性四肢麻痺」でよく起こることなのです。かなり特殊なタイプの「周期性四肢麻痺」の可能性も残ります。

「SLK」とは「スローケイ」というカリウム補充用の薬ではないかと思います。もしそうだとしたら「低カリウム性」が考えられますが何故値を教えてもらえないのでしょうか。メールをお読みするとインフォームドコンセントが殆どなされていないようですね。最近ではとても珍しいことです。

東京都でしたら専門の神経内科医は何百人といらっしゃるはずですので一度かかられてはいかがでしょうか。血液中のカリウムの値や甲状腺に異常が無いことの確認くらいは神経内科でなくても外来でも出来ます。

ちゃんとした専門の医師にかかっておられて指示をしっかり守っておられる限り再発を起こすことは滅多にありませんし よほど特殊な状態でない限り命にかかわる病気でもありません。

次回発作を起こされる前に早めに検査をされ「特殊な状態ではない」ことを確認しておかれるようお勧めします。

是非その後の様子、検査結果などお知らせ下さい。


医学部の学生さん用に書いた1txbk.htmlの中程に「周期性四肢麻痺」もまとめていますので参照して下さい。「医師国家試験受験向け」にまとめたものですのでどれだけお役に立つかはわかりませんが。


(97/ 2/ 9 15:41)
わかりやすいご回答、ありがとうございました。
特にDrのおっしゃられた
>
>「バセドー病」といっても 目の玉が飛び出したような表情になったりという派手な症状の方は少なく検査をする>と 初めて甲状腺ホルモンが多く出ているなどの異常が分かることも多いです。中には「胸がどきどきする(動>悸)」や 「人より暑がりで汗をかきやすい」、「下痢をしやすい」、「皮膚の色が黒っぽい」などの「バセドー病」 >特有の症状に気づかれている方もいらっしゃいます。 これらの症状や首の前の「のどぼとけ」の少し下あたり>の甲状腺のところが腫れていないかどうかなどは 注意してみて下さい。
>
と言う部分には、当てはまるところがあります。
私は学生の頃よりかなりの汗っかきで、特に手のひらがすごく汗をかきます。それと最近は、とても下痢をするようになりました。あと日焼けしているのと間違われるくらいに色黒です。のどぼとけの下あたりも言われてみれば腫れているような感じがあります。
家の近くに大学病院もありますので、今度はそちらの神経内科を受診して見ます。
適切なアドバイスをありがとうございました。結果は追ってメール致します。
PS.最近ごくたまに緑色をした便が出る事があるのですが、これもなにか関係していますか?
(97/02/09)

ご丁寧なお礼のお返事のメールをどうもありがとうございました。
">緑色便は時折いろいろな患者さんに見られることがありますが特別に個々の病気に結びつけて考える必要はありません。

是非受診の結果を教えて下さい。大学病院だからと言ってまかせっきりにして安心しておれるなどと考えるのは大きな間違いだということは薬害エイズ事件などの経験からもご存じのことと思います。

いろいろな先生がいらっしゃいますが、病気の解説や検査結果を納得のいくまで説明して下さる良い先生に当たられて少しでも良い結果が出ることを期待しています。何ヶ月か後に良い結果の報告を頂けるようお待ちしています。

万が一悪い先生に当たってしまい納得の行かないときにはすぐに連絡をして下さい。対策を一緒に考えましょう。