質問・回答(0139)


大腸癌と肝膿瘍との関連について

65歳の父。3月初旬からひどい頭痛(疝痛)。神経痛と診断され,内臓の検査(注腸)の直後、腹部の激痛により救急病院に運ばれ、肝膿瘍と診断される。

入院治療は、主にドレインによる膿瘍の摘出。膿瘍自体は2週間ほどで快方に向かい頭痛も治まったが、感染菌,経路,原因の特定ができない。

血液中の白血球が再び上昇したとのことで、大腸の内視鏡検査を行う。その結果、癌細胞がみつかった。

相談したい点は、
1)頭痛,肝膿瘍と大腸で見つかったガン細胞との関連性はあるのか。
2)あるとするならば、肝膿瘍を大腸癌の転移の何かしらの結果とみなすべきなのか。
3)肝転移と診断される場合には、大腸癌の進行状況と予後は?

父はO会議員。人間関係などのストレスを感じていたようではあった。体格はやや肥満。父の叔母は肝臓癌で60歳位で亡くなっている。若い頃、比較的健康な方ではあるとは思うが、今年の1月頃から便に血が混じり,便通が悪く(便が細く)なっていたとのこと。OOでの回答をお願いします。

お忙しいとは思いますが、患者さんにはお医者さんだけが頼り。これからも一人でも多くの患者さんを助けてあげてください。
(97/ 4/20 00:41 愛知県 Sさん)

(97/4/20)
1)2)頭痛と癌との関連は考えにくいです。肝膿瘍と癌とは間接的な関連があるかもしれません。

3)転移の無い大腸癌の予後は比較的良く、かなりの方が手術の後、健康な方と同様に長期生存されます。もしも転移があるとするとその状況により随分と変わってきますが強いて言えば五分五分というところでしょうか。

一般に癌と関連した頭痛というと癌性髄膜炎を考えますが、これは次第に増強していくもので自然に軽快することはまず考えられません。癌によって全身の抵抗力が落ち、ウイルスなどの感染と関連した神経痛が発生しやすくなることはたまにあります。これと同様に全身の抵抗力が落ちたために「肝膿瘍」などの感染症が起こりやすくなることは有り得ます。癌が肝臓に転移し、転移したところに膿瘍が出来ることもあります。転移の結果かどうかは肝臓から腫瘍細胞を検出しないとはっきりとしたことが言えませんがその「腫瘍細胞の検出」がなかなか大変で苦労されているところではないでしょうか。

ストレスが強いと癌になりやすい傾向はどうもありそうです。それから、血のつながりのある人に肝臓癌がある場合にはC型肝炎の有無などチェックをしておかれることをお勧めします。

お父様は今年の1月頃から便に血が混じり便が細くなっておられたとのこと、これらは大腸癌の症状の出始めだったのではないでしょうか。

現時点では肝臓の病変が癌の転移かどうかが予後の決め手になると考えられます。どうかお大事になさって下さい。


 早速のお返事、ありがとうございます。

 明日(4月21日)より、父は上部消化器の内視鏡検査および肝臓の検査(何かを注射した後、血液を採取すると聞いています)に入ります。この結果を待てば、先日発見された大腸(直腸)癌と肝膿瘍との関連性、および転移の有無については、わかることと思います。

ただ、先生がお返事を早急に下さったことで、ひどく動揺していた家族も客観的に事実をみつめる心づもりができ、父を上手くサポートすることができるのではないかと思います。(中略)

 最後になりましたが、先生からのお返事に、家族一同深く感謝しています。これからも、ネット上でも多くの患者さんとその家族が、先生によって色々な意味で救われることを願っています。
( 97/05/19 22:55)

題名:「大腸癌と肝膿瘍の関連について」その後
 早いもので、最初にご相談申し上げた時から3週間が過ぎました。この期間にいろいろな面での進展がありましたので、遅ればせながらご報告申し上げます。

 父は先週直腸癌摘出手術を受け、術後は合併症もなく順調な回復のようです。ガスも出て、流動食を摂り始めたと聞きました。手術自体は5時間ほどで終わり、術後の説明では、直腸とリンパの1群、2群、加えて取れる範囲内にある3群を摘出したということです。(群、というものが果たしてどのようなものかはよくわかりませんが、腫瘍が発生していた腸の部分に近い方から、1ー4となっているのかな、くらいに考えております。)

実際の摘出した腸を指しながら執刀医の方が説明して下さったことは以下の通りです。

 1)癌細胞は腸壁内部にかなり突出した形で広がっており、小指も通らないほどの状態であった

 2)腸内部には大きく広がっていた癌細胞でありながら、腸壁を破って外側に出ていなかった

 3)リンパに一部腫れが見られたものの病理検査の結果ガンの反応はなかった

 4)肝膿瘍のため肝臓と横隔膜がまだ癒着しており、全範囲にわたっての触診はできなかったものの、触診出来た部分においては肝臓に癌転移は認められなかった、
などです。

今後の治療については、経口の抗ガン剤を服用することになるだろう、ということでした。

 今回の一件で、私自身いろいろなことを学ばせて頂きました。癌細胞の多くは目に見えないほどの小さなものから時間をかけてゆっくりと私たちの体内で成長すること、この成長を少しでも遅らせるために食生活、生活習慣などを見直し、精神的に豊かな毎日を送るように努めるべきこと、そして少しの変化も見逃さず信頼できる医療機関の扉を叩くことなどを学んだように思います。

そして何よりも医療の現場に関わる医師の方々、看護婦の皆さんには、改めて深く頭が下がる思いです。

 父本人を初め私たち家族は、手術までの半ば絶望した気持ちを建て直し、ようやく再出発できると思い始めています。病気の性質上決して安心はできませんが、再び通常の生活に戻るチャンスを与えてもらった父が本来の仕事に復帰する日を楽しみに、ゆっくりと待ちたいと思っております。

 足立先生には、一番苦しい時期にネット上で支えて頂き、心より感謝しております。本当にありがとうございました。