質問・回答(0216)


「不完全右脚ブロックについて」

Date: Mon, 2 Oct 2000 14:45:21 +0900
はじめまして。こんにちは。自分は**県**市在住の**、*****という者です。 どうしてもわからないことがありましたのでよろしくお願いいたします。

自分は自衛 隊のパイロット候補の試験を受験しましてそのときに航空身体検査という検査を受けましたところ、心電図検査で不完全右脚ブロックとアブノーマルリズムECGという結果が出まして不合格でした。

今まで心臓に問題があるといわれたことは 一度もありませんし、中学、高等学校と運動部でかなり運動をしてきましたが特に支障を感じたことは一度もございません。自分のこの状態がよくわからないのですがパイロットに不適格であることは確かなようです。しかし自衛隊の検査を受ける前に航空身体検査を受けていたのですがそのときはアブノーマルリズムが出ただけで、指定検査医は航空身体検査基準は満たしていると言ってくれました。

自衛隊の基準が厳し いとはもっぱらの話でそれで落ちたのなら諦めるしかないのですが他の検査はすべてパスしておいて問題があるとはおもえない心臓が原因で落ちたと言うのは諦めきれないものがあるのです。またその時の自分は血圧も心拍数も平常の値でした。しかし大事な試験だと言う意識があったので随分緊張していました。

自分の不完全右脚ブロッ クは先天的な物なのでしょうか、後天的な物だとしたら、何らかの方法で直すことは可能でしょうか。申し訳ありませんが自分には専門の知識がございませんのでぜひご指導をお願いいたします。先生にご相談していただけるのでしたら、若干遠方ではありますがぜひ通院させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。失礼します。

Date: Mon, 02 Oct 2000 16:40:27 +0900
ご連絡拝見致しました。

心電図でみられる「不完全右脚ブロック」という状態は心筋梗塞、心筋症、弁膜症(特に大動脈閉鎖不全)、先天性心疾患、高血圧症、サルコイドーシス、Lenegre病、Lev病、心室中隔筋性頂上部繊維化、などいろいろな病気でも見られます。 しかし、上記のような病気で見られるときは他の症状を伴いますのでとても健康に過ごされているあなたの場合はあてはまらないでしょう。

「不完全右脚ブロック」というのはむしろ健康な人でも1000人に6人くらいに見られて、失神(理由も無く急に意識がなくなる)等の症状がなければ特別な問題にはなりません。一般には精密検査も必要がないとされています。ですからあなたの場合も特別な症状がなければ放置しておいて年に1回ほどの心電図検査などの診察を受けておられれば健康上は問題ないでしょう。

こういう「不完全右脚ブロック」を直してしまう方法というのは必要性もないためほとんど研究されていませんし、多分無いと思います。1機が何十億円かは知りませんがそういう戦闘機を操縦するような人を選ぶ場合、慎重過ぎるほど慎重に、疑わしくは排除するように選ぶのではないでしょうか。事故が起こると飛行機の値段だけの問題とはちがっても来ますし。

あなたがそうというわけではもちろんありませんが、もしも失神などの自覚症状が日常生活であるような病気の人が自衛隊のパイロットになりたくて嘘の申告をして、診察でも異常を診察医が見落としてしまい紛れ込んでしまわないとも限りません。 そういう人がもしもパイロットになって事故を起こしたりすると大変なことになりますね。そういう間違いの可能性を可能な限り皆無にしようとしているのではないでしょうか。責任者の考え方がそうなのでしょう。

あなたの健康状態を調べ る検査ではなくて、あくまでも管理者の責任問題優先にやっている審査ですので。私が責任者であれば「不完全右脚ブロック」くらいでしたら合格にしてあげたいとは思いますがこれはあくまで責任の所在の問題ですのでそれ以上のことは言えません。

国民の生命と生活を守るために自らの命をかけて日夜努力をされている自衛隊員の皆様の姿には胸の熱くなるのを覚えます。最近の自衛隊機の事故では飛行機の異常を感じたパイロットの方が民家を避けて人気の無い方へ操縦してそこへ飛行機を墜落させ自らも死亡されたことを産経新聞で読みました。 こういう自衛隊員の人たちに自分たちの生命や生活が守られているのだという考えと感謝の念が国民の間にあまりにも少ないような感じがして心を痛めています。

「水」と「安全」、そして「医療」は無料で代償なしに供給されるのが当然と考えている日本人が極めて多いのは大きな間違いでしょう。そういう考え方を早く改めないといつかはこの国が大変なことになるのではないかと危惧しています。 お答えとは違ったお話も入りましたが以上お答えとさせて頂きます。


足立憲昭 様

ご丁寧にご指導していただきたいへんうれしく思っております。ありがとうございました。先生に指導していただき、自衛隊パイロットを目指すのは無理だと言うことが以前よりは素直に受け入れることが出来そうです。空に対する気持ちはあくまで趣味の部分で追求していくことになると思いました。また別の分野で前向きに生きていこうと思っております。本当にありがとうございました。失礼します。


Date: Mon, 20 Nov 2000 16:08:26 +0900
Subject: 経過報告です

足立憲昭 様
お久しぶりです。以前先生に右脚ブロックについてご指導して頂いた**です。おかげさまで自分の悶々とした気持ちも徐々になくなり活き活きと生活しております。今回地元の病院で24時間式ホルダー心電図の検査を受けたところアブノーマルリズムECGも右脚ブロックの徴候もいっさい見られないと専門医に説明してもらいました。また自分は自衛隊の下士官候補生の試験に合格しまして採用が内定しました。

年齢的にはぎりぎりですがまた操縦士を目指せるような状態になりました。しかし自分なりに操縦士を目指すというプロセスにおいて挫折と失敗を経験してきましてそこから得た事もあります。また足立先生に専門の見地から自分のような素人でも分かるように説明して頂いたことからいかに航空身体検査が厳しいか、そして自分がその検査にとうる可能性はいかに低いかということを素直に受け入れることが出来ましたので、あくまで自分は来年の4月から自衛官になりますが、どのような仕事についても学ぶことを楽しみ、さまざまなことに興味を持って頑張っていこうと思っています。

本当にありがとうございました。失礼します。