
Date: Tue, 17 Oct 2000 21:23:55 +0900
29歳男性です。 半年ほど前から、腕や足の皮膚の表面(筋肉?)が、時折ピクピクと動くことが
あります。多いときは1日に2,3回おこります。
他に症状は何も無いので特に気にしなければ、あまり気にもならないのですが、
たまたまインターネットで医療関係のサイトを見ているときにALSという難病
の症状の一つにこのような症状があり、線維束性収縮というものであるという記
述を見かけ、非常に恐くなりました。
しかし、その後色々調べているうちに、ある神経内科さんのサイトでALSでは
筋萎縮や筋力低下といった症状に付随して、このような症状がおこり、筋萎縮や
筋力低下を伴わないものは良性で生理的なものであり、気にしなくていい、とい
うような記述を見つけ一安心したのですが、
本当に気にしなくて良いものなのか、また、どうしてこのような症状がでるのか、
他の病気の可能性はないのか、不安が残っています。どうかよろしくお願いしま
す。

Date: Tue, 17 Oct 2000 21:23:55 +0900 Subject:
インターネット個別病気相談お答え お答えします。
ご自分の症状が「線維束性収縮」というものであること、そしてそれがALS
という命にかかわる病気に特徴的な症状である場合があること、さらには
場合によってはそれほど心配すべきものでもないときがあること、
など次々と専門医以上の判断をされていて大変感心しました。
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」という病気は診断が下されると普通は2−3
年以内に死亡するという恐ろしい病気であることが知られています(ただしこれ
は例外もあります)。 この病気は全身の筋肉がピクピクしてだんだんと筋萎縮(筋肉自体がやせ衰えて
いくこと)によりついには呼吸などがしにくくなってそのために肺炎などで死ん
でしまう恐ろしい病気です。 主に全身の手足の筋肉が目立ちますがそれだけでなく胸の筋肉、特に舌の筋肉が
ピクピクしてやせて行くのが特徴です。
医学部の学生さんたちに講義をしていると何回かに一度は「私も筋肉がピクピク
しますがALSではないでしょうか?」と大変真剣な相談を受けることがしばし
ばあります。 「筋線維束(せんいそく)収縮」はもともと英語では「fasciculation」と言い、
その訳語です。私たちが医学生のころは「筋線維束攣縮(れんしゅく)」などと
習いました。 しかし、攣縮(れんしゅく)という言い方が良くないなどの理由で今の言い方に
変りました。
ご質問者が調べられましたように、これは確かにALSの重要な症状の一つでは
ありますが正常者でも特に筋肉運動をしたあとなどにみられることがあります。
もしも本当にALSであったならば既に全身の筋肉の萎縮の症状がはっきりと現
れてきているころです。 例えば、両手などは手の骨の間の筋肉などが萎縮してすでに猿の手のようになっ
ていたり(実際に「猿手」などと言われたりします)、舌の筋肉も萎縮をしてあ
たかもクローバの花を見ているようにしぼんでいたりします。
そういう症状がなければ、まず筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気の可能
性は低いと考えられます。
ではALSのほかにどういうときにこの「筋線維束性収縮」がみられるかという
と 「変形性頚椎症」、「脊髄腫瘍」、「脊髄空洞症」などいろいろとありますが、
もしもこれらの病気でしたら手足のしびれや、首の痛み、感覚がわからないなど
いろいろな複雑な症状が一緒に出てくるはずです。
これらの症状が全くなければまずは大丈夫と言えます。
これらのことをしっかりと判断してもらうのにはMRIなどの設備が整った病院
の神経内科が適しています。 ALSの可能性は低そうですのでひとまずはどうぞご安心下さい。
Date: Tue, 17 Oct 2000 12:03:30 EDT
Subject: Re: インターネット個別病気相談お答え
足立先生 殿
この度は、お忙しい中、ご親切なご回答まことにありがとうございました。
早速、拝読させていただき、ほっと安心致しました。
情報化時代の昨今、誰もが簡単に、色々な分野の専門的な知識を、中途半端に
得られる時代です。私も中途半端な知識を得てしまったばっかりに、あらぬ心配を
次々と感じてしまい、不安な毎日を過ごしてしまいました。
人間の体は不思議なもので、「病気じゃないか」と思ってしまうと、普段は気にならな
い ような些細な身体の動きまで、気になってしまいます。実際、「ALSじゃないか?」と、
心配すれば するほど、何かからだのピクツキの回数も増えていき、しかも色々な場所にそれが転移
していき ました。 実は先生にご相談したあと、涼しくなったにも関わらず、依然,半そでで過ごしていた
のを、 長袖に着替えると、腕のピクツキがほとんど感じることが無くなりました。
ただ「冷えていた」だけなのでしょうかねえ。(笑)(実際、夏の間はあまり感じませ
んでした)
中途半端な専門知識を簡単に得てしまうのも、情報化時代なら、
こうやって見ず知らずの私に、先生からご意見を頂けるのも、情報化時代。
情報との付き合い方を考えさせられました。
とにもかくにも、本当にありがとうございました。