
**大学医学部整形外科で、腹壁にできたデスモイド(るいけんけんしゅ)
と診断されました。現在、他病院で調べた組織診のプレパラートを同大学へ持参
し、最終的な治療方針が決まるのですが、手術は間違いないとの診断です。
<質問事項>
1.形成外科の医師は、万が一病名が判らなくとも手術との見解ですが、悪性がみつからないのに、手術がほんとうに必要なのでしょうか?
2.組織診等の検査をした医師は、手術不要との見解腫瘍に対する知識量の違いによる判断の違いなのでしょうか?
3.医師はいとも簡単に手術には筋肉移植が必要でといいますがそんなに簡単な手術なのでしょうか?どんな後遺症がでるのでしょうか?
4.虫垂炎の手術との因果関係は?カルテを請求したほうがよいでしょうか?
5.腫瘍を得意分野とする医師をご存知ですか?今の医師だけの意見では心配です。手術するにしても納得した上でしたいので。
6.他病院へ行く際に医師の紹介状なしに腹部CT、MRIなど資料を借りることは出来るのですか?
<これまで経過>
1997.4.1* **県**市の市立**総合病院で虫垂切除術
腹腔内洗浄・腹腔ドレナージの手術を受ける。急性虫垂炎・限局性腹膜炎・創感染症との診断。入院中は、管を2本いれて、膿みを出す処置をしてもらう。
同年 5.2* 退院。その後2回程、通院。お腹の表面が、非常に硬かたった。
1998.3 お腹の硬さに加え、あお向けになって寝ても、右下腹部 盲腸手術の傷周辺が、へ
こまずに逆に盛り上がっているのに気が付く。
同年 4月 手術後体重が10k減ったままなこと。体のだるさから、秋田大学医学部泌尿器科を受診。血液検査・尿検査受けるが、異常なし。その際、担当医師も、お腹の表面が少し硬いと話していた。
同年 7月 定期健康診断の際、お腹の症状を話したが、ケロイドだろうと言われる。
2000.9.* 気になっていた、お腹の部分を1度診てもらい安心
〜 しようと、**市にある**総合病院外科を受診。筋肉に異常があるのではないかとの診断。腹部CT・血液検査・腹部エコー・MRI検査をする。手術の必要と説明があったが、病名や病気についての説明がまったくわからず、別の日に院長である別の医師の外来を訪ねる。そこで、念のため、細胞診5ヶ所、組織診と検査を受診。
最終的な診断は「細胞の組織化、手術は不要。」
同年 9.28 実家の近くの仙台オープン病院で念のため内科的な検査入院を勧められる。
同年 10.10 ****病院入院。以下の検査を受診したが異常見当たらず。腹部MRI・心電図・胸部と腹部のレントゲン・肺機能検査・大
腸透視・胃内視鏡・腎機能検査・糖検査・腹部エコー・腹部CT
同年 10.19 ****病院の医師の勧めで、**大学形成外科を受診。手術の道以外選択の余地なしと判断される。血管造影と病名の限定の為に整形外科の受診を指示される。
同年 10.23 ****病院で血管造影検査を受診。腫瘍による血管走行異常や変形なし。腫瘍血管なしと診断される
。
同年 10.30 **大学整形外科で、腹部CT・腹部MRIなどの結果からデスモイドと診断される。そのままにしておくと、大きくなる。ただ、取っても再発しやす
いと説明。細胞診のプレパラートを中通病院から借りて来るように
指示される。
同年 11.1 **大学形成外科で、手術の必要と手術についてもろもろの説明。なにを、聞いてよいのか混乱し整理がつかないまま帰宅。手術は、へそのあたりから右下腹部の腫瘍を切除。骨盤のあたりまで腫瘍がいっているので、骨盤を少し削るかもしれないとの事
。さらに、右大腿部から筋肉を移植、左大腿部から皮膚を移植する
との話。
同年 11.6 **病院でプレパラートを借るため受診。主治医である院長に会う
。「痛くも痒くもないのに、手術するの?まあ、形成の先生に従え
ばいいけど」といわれる。 絵や写真がないので、資料不足と思いますが、横15cm縦10cm深さ骨盤にくっ
付くくらいの大きな腫瘍です。
ご質問事項に添ってお答え致します。
1.「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」は悪性か良性かのどちらかに強いて分け
るとすれば良性の腫瘍です。ですから癌のようにいきなり離れた臓器に転移をす
るようなことは一般にありません。しかし、放っておけば周囲にじわじわと染み
出すように広がっていく性質があります。この性質は一般の良性腫瘍にはみられ
ませんのでその意味でやや悪性の性質を持っています。
それから、組織をご覧になった先生方が留意されているのは「線維肉腫」などの
悪性腫瘍と似ている点は無いかどうかなどの点でしょう。組織の診断は機械的な
ものではなく診断医によって診る場所が違っていたり主観的なものがどうしても
入りますのでよけいに神経質になってしまうものです。断定的な病名付けに慎重
な先生もいらっしゃいます。
「万が一病名が判らなくても手術」というような言
い方をされたのはそういう意味であって、「万が一悪性の線維肉腫の傾向が強け
ればもちろんのこと手術がよけいに必要になってくる」とか「病態の把握はでき
ていてもいろいろな病名の付け方があるので、それには拘らずに」というような
意味でおっしゃったような気がします。
ですから、決して「病名すなわち病気の状態もわからずに兎に角手術だけはや
りましょう」というような意味ではないでしょう。
手術の必要性ですが、「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」という病気はゆっくり
ではありますがいずれ広がっていくことが多いので、早期癌のように「絶対に今
すぐに手術が必要」とまでは言い切れませんが、「いずれ手術が必要になる」、
「できれば広がる前にやっておいた方があとからやるよりもましだ」ということ
は言えます。
ですから、先生方によって手術が必要、不必要と逆の言い方をされ
るのもこれらの言葉のニュアンスではないでしょうか(おっしゃった先生方ご本
人たちにお尋ねしないと本当のことはわかりませんが)。
「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」は病理学的に、言葉の上では「悪性」とは
言えませんが、実際の病状の性質は残念ながらあまり良くはないことが多いので
す。
2.「手術不要」という医師の意見は「早期癌のように今すぐ急いでする手術は
必要ではない」という意味、または単に「良性の腫瘍です」というような意味で
しょう。決して「将来にわたってこの腫瘍を取る必要性は全く生じません」など
ということを病理の先生が仰ることは普通考えにくいです。
手術をするかしない かは病理の診断を元に臨床的に、患者さんと共に判断することだからです。
どうも、単に言葉の使い方の違いのように思われます。
3.大変か簡単かは基準がありませんが何とでも言えるのですが、筋肉移植は結
構大変な手術です。移植をしなければ痛まない筋肉も手術後痛くなったり、ある
程度筋力の低下の可能性もあります。しかし、それは腫瘍を取るためのことです
のである程度我慢しなければならないでしょう。
いとも簡単そうに医師が言ったのはその医師が日常やりなれている手術だから
でしょう。本当は患者さんに説明するときはもう少し慎重にお話する必要がある
でしょうね。
4.虫垂炎の手術がきっかけで「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」が発生すると
いうのはあってもごくまれなことで普通は関連はありません。
5.受け持ちの先生にもよりますが、**大学の整形外科、形成外科は**地方
のトップクラスでかなり信頼できる病院ですし、科の選択も適切と考えます。
「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」の手術はそれほど特殊な技術が必要なもので
もなく、これだけを専門にしているような医師は聞いたことがありません。
6.資料の貸し出しにはそれぞれの病院に諸手続きが大体決まっています。
通常は主治医に希望、理由などを申し出ることになっているところが多いです。
ちゃんと気持ちを説明すればよほどのことが無い限り断られることは少ないです。
貸し出しを受ける際には紹介状も有った方が先方の(新しく相談に行く)病院の
医師も判断が出きるので良いでしょう。
以上がご質問事項についてのお答えです。
「腹壁デスモイド(腹壁類腱腫)」でしたら手術はいずれ必要になると考えられ
ますが、手術がうまく行っても何年か後になって再発の可能性もある程度あるの
がとても残念です。現在の医学の限界と言えましょう。
メールを拝見しておりまして、関係した医師がもう少し丁寧に、誤解を与えない
ようにもう一歩踏み込んで説明をしていてくれたらとも感じました。
時間不足も関係しているのでしょう。 そういう私の回答も要領を得ない点が多いかもしれませんがどうぞご参考になさ
って下さい。
大変わかりやすく、ご説明いただき感銘いたしております。
また、うまくメールの送られずご迷惑をおかけし申し訳
ございませんでした。 今回の謎が解けたことで、手術を決断するつもりでおります。
外来の医療費700円では、満足なインフォームドコンセント
が出来ないのかもしれませんが、先生のような方がいらしゃらない
と成り立っていかない日本の医療システムも困ったものだと
思いました。
患者は、遠慮なく医師へ、納得いくまで質問をぶつけるべき
だと思っていても、朝8:30に初診で来院して、会計が終わ
ったのが、夕方5:30(2時間休憩)では、患者も医師疲れ
きっているし、説明することに慣れていない医師であれば
なおさらのことでしょう。
そして、一旦自宅に戻ってから、生じる疑問も非常に多
くそんなときは、一人悶々としておりました。
また、疑問が生じたら、お願い致したいと存じます。
(できる限り明瞭かつ簡潔な文章にて書くつもりです)
ほんとうに、ありがとうございました。