質問・回答(0223)


「ストーマ手術の医院選択について」

Date:Sat, 20 Jan 2001 12:42:57 +0900
足立先生、ストーマ手術の医院選択について相談お願いします *****と申します。

59歳の父のことで質問をお願いします。去年4月まではとくに病気も ないほうでした。体格は170CMくらい、70kg程度だったのが現在は 50KGくらいになっています。性格はやや神経質で怒りっぽいところが ありました。ガン手術後の現在は医者や看護婦にもけんか腰でリハビリ なども痛い痛いと積極的にやろうとしていませんでした。  最初に書いておきますが、私は東京で1人暮らしの男性です、父も **で1人暮らしをしておりました。  99年4月に胃がん(3/4摘出)と大腸がん(部位は正確には今わからないの ですが直腸を10cmは切ってあったと思います)で手術を**の病院で行い ました。

手術は成功との説明をうけ1ヵ月後に退院のスケジュールだった のですが、1週間後に腸炎をおこしたらしいと連絡がありました。その後 急性腎不全も起こし24時間麻酔状態のまま人工透析が始まりました。手術 前は術後の危険は肺炎が一番多いようにきいており予想しない事態でした。 この腸炎から始まる一連の事態に病院ははっきりと原因を伝えてくれません でした(質問ではありませんが何らかの原因で感染した、というのは本人 の責任なのでしょうか)。

 最初は「早い段階で透析を始めたので治りも早いはず」との説明だった のですが容態は悪化し2ヶ月以上そのままの状態が続きました。そして5月末 に腸からの出血が激しくなり危篤状態になったのですが一命をとりとめ まして、腎臓も回復したということで9月に麻酔から覚めました。

その後入院で体力と腸炎の回復をまったのですが、筋肉もげっそり と落ち、途中開けた喉の穴のせいか声も出すことができなくなり(現在は 細い声が出るようになりました)本人の気力の衰えも激しくなかなか進み ませんでした。

11月になって病院から後は体力の回復だけという判断が あり、また本人の希望もあって**の親戚のもとに身を寄せることになり そこで療養を続けていました。そこでも立って歩くのはトイレのときくらい、 食事をようやく口から取れる程度でした。

 そして1月1日に腹痛を訴え**の病院に入院したのですが、切除した腸 の上の部分が細くなっており、2週間点滴をして様子をみたものの切除する しかないという判断をうけました。細い部分は7cmほどで縫合かなにかで 千部で15cmはきるという判断です。 また原因は血流が悪いためとも聞きました。

**の病院では今まで何度か 検査をうけていたのですが問診にとどまっており発見できなかったよう です(**の医師とは私の仕事の都合もあり現地にいけず、向こうも電話連絡 に応じてくれないため、親戚から情報を得ています)。

 15日くらいに手術を本人がようやく了承したのですが、その時点での 説明ではなかったことが17日に親戚につたえられました。術後人工肛門に なるというのです。ガンの切除で一度切っているので手術する場合はそれ しかないとうことでした。ガンで切除した部分やこれから切るという部分の 正確な場所がわからないのですが、4月の手術前には「もしもう少し下に ガンがあれば人工肛門だった」といわれた記憶があります。人工肛門になるという話は私もまだ戸惑っておりますし今生きることに 後ろ向きになっている本人にもどう伝えればよいのか悩んでいます。

 そこで質問なのですが、**の病院では最初の手術をした医者がやれば あるいは人工肛門を避けられるかもしれないといわれているそうです。 ただでさえ神経質だったのが一連の入院生活で被害妄想気味になっている 父なので、できれば人工肛門は避けたい処置です。しかし札幌では術後の 経過が良くなかったため本人は病院に不信感をもってしまい、強く勧め にくい状況です。

 同業のことゆえ回答しにくいことかと思うのですが腸炎の手術では 病院によって受けられる医療技術の差があるものなのでしょうか。  私が東京在住なので本人の移動が可能でかつ東京近郊で受けられる 医療が人工肛門の可能性を低くできるなら連れて行きたいと考えています。

手術自体は簡単なものでどこでも同じレベルの処置しか受けられないので あればあきらめて本人の希望する場所で執刀してもらおうと思います。 また最初に手術をした医者が一番可能性が高いものであれば無理にでも そこに連れていこうかとも思います(冬の****間の移動に耐えられる のかも怖いのですが医院は移動手段を提供してくれないのですね)。

 一般論でかまわないので、違う病院で可能性があるものなのか、また 東京近郊ならこの病院があるなどと教えていただけないでしょうか。  **の医者に1/27に現地で説明を受けることになりそうですが、 それまでにお返事をいただければ助かります。間に合わなかった 場合でも、なにぶん後戻りの聞かない手術であるので父の状況が 判断保留を許すのならもう少し考えたいと思っております。

 なにぶん素人で判断できる材料がありません。父の状況も次々悪いほうに 変わるばかりでどうしてあげればよいのか困りきっております。**の医師 にも**の医師にも私自身「責任逃れ」「親身になってくれない」感じを もっており相談しきれないものがあります。そこでたまたま見つけた先生の ページに頼ってみようと思いました。長々と混乱した内容になり貴重な お時間を使って申し訳ありませんが、判断を伺えないでしょうか。 今はなんとか父に家族ら最善の選択枝を与えてあげたいと思っております。 どうぞよろしくお願いします。 以上です。

Date: Sat, 20 Jan 2001 20:37:50 +0900   メール拝見しました。

 一般に日本の医者は手術の前に患者さんに対して、手術がうまくいった場合の ことを中心に話しすぎる傾向があります。逆にうまく行かなかった場合のことは ごく簡単に話をしてしまうのです。 これは、大概の場合、これから大変な手術に立ち向かう患者さんに対していたず らに不安や恐怖を与えないようにとの気持ちからでしょう。 しかし、いくら一生懸命に良い手術を心がけたとしてもすべての手術が100% 成功するとは限りません。

やはりもしも手術の結果が悪かった場合のこともしっかりと患者さんやご家族の方にお話しておく必要があります。 今回の場合もメールを拝見していますと「手術は成功」と言いながら結局は急性 腎不全を起こしてしまうなど患者さん、ご家族の方々には全く予想していなかっ たことが起こったようにお見受けしました。 こういうようなことが度重なって医師不信、被害妄想的になられたのかもしれま せん。

ご質問の「人工肛門」ですが、「肛門括約筋温存直腸切除術」などのようにでき る限り「人工肛門」にしない方法を一生懸命に考えてくれる医者にかかられるの が良いでしょう。 ちょうど手元にNHKの「今日の健康」という雑誌がありますが、この平成13 年の2月号(今本屋さんに行けば販売されていると思います)の143ページに この関連のことが出ています。 この記事を書かれている帝京大学の小平先生や東邦大学の酒井先生などでしたら 人工肛門にしないよう最大限工夫して下さると思われます。

是非東京でということでしたら、 板橋区の帝京大学医学部附属病院の小平進教授、または 目黒区の東邦大学附属病院の酒井義浩教授 の診察を是非お受けになりご相談されてはいかがですか? いずれも電話帳か104で電話番号を調べた上で病院に電話をかけて 小平先生、酒井先生の診察を受ける方法や新患外来の受信可能の日時などを尋ね ると最近ではどこの病院でも大概はとても親切丁寧に教えてくれます。

これらの先生に診て貰えることが確認できたら今かかっている先生にお願いして 紹介状を書いてもらいましょう。同時にいろいろな検査をしたレントゲンフイル ムなどの貸し出しをお願いします。 礼を失しないよう丁寧にお願いすることは必要ですが、患者として当然の権利で すのでしっかりとお願いすることが必要です。法律的に即座に医者に強要できる などということはありませんが、熱意を持ってお願いすれば最近ではどこの病院 でも拒否する医者はほとんど居ません。 貸し出し簿への記入などは必要になりますがレントゲンフィルムの貸し出しを無 下に拒否する病院は最近ではめずらしいです。

なお、大学病院で診察を受けるのに紹介状が絶対に必要というわけでもありませ ん。紹介状がないと少し診察料が高くなることはあります。 小平先生や酒井先生などの日本のトップクラスの先生に診てもらってそれでも 「人工肛門」が必要だとしたらあきらめるほかないと考えます。

なお、小平先生、酒井先生に診てもらうときにはNHKの「今日の健康2月号」 を手に持って「これを読んで来ました」とあなたも一緒に行かれてはいかがでし ょうか。医者も人間です。 お一人お一人の性格にもよりますが、もしかしたら責任を感じて通常よりも熱を 入れて診てくれるかもしれません。

勇気を持って、悔いの無い最大限の親孝行をされるよう願っています。


Date: Mon, 22 Jan 2001 14:25:21 +0900

1月19日に人工肛門手術について***で質問しました*****です。 足立先生お返事ありがとうございました。mailした時点では **の医者と直接連絡が取れていませんでしたが、20日午後に ようやく電話がつながりました。

1)細くなっている部分がs字状結腸(と聞こえました)である
2)今以上の症状もおきるかも知れないので2月中の手術が望ましい
3)転院の可能性としては、父が合併症として腎不全などを起こしている  ため技術力より、以前執刀して縫合の状 態も経過も観察している医者が本来適当と考えている(だが人工肛門前提なら函館で手術可能)
4)父が昼間も部屋を締めきり夜も明かりをつけず(院内の歩行程度は可能なのに)閉じこもっている状態なので、
 精神面でのケアが回復に重要と考えている
5)原因は癌の転移によるものでないと考える(父の胃がんについては再発の可能性が高いと札幌の医師から言わ れております)が組織標本をとれない状態なので確実ではない

などの話が聞けました。

ちなみに**の担当医は内科(もとは**で 癌の手術をした医院に在職していたそうです)で、**の担当は外科でした。

 私の方はこれから東京でお聞きした病院に入院できるかどうか 可能性をさぐるつもりです。現在父が患部のつまりをさけるため 点滴のみで栄養をとっておる状態なので、すぐに入院できない場合 は転院が難しいのもハンデですが、手はつくしてから週末の父との 対話にのぞもうと思っております。

 今回の質問の件、1月22日に*****より***を行い ましたので(1日ぐらい処理にかかるのでしょうか)、ご確認ください。

 最後に少しだけ感想を申します。医院という普段縁のなかった 場所に接しいろいろ考えさせられる毎日ですが、特に医療を選ぶ というのが大変難しいと思います。医療について専門家でない患者や 家族は受けた医療が最適なものなのかどうかわかりません。  別の選択があるかあえて申せば正しい処置を受けたのかどうかさえ わかりません。

なのに結果のいかんに関わらず担当医との信頼を結ぶ の難しいことです。もし望まない結果になっても、少なくとも 正しい選択ではあったと納得して状況を受け入れたいものです。  その中で足立先生のやっておられるサービスは医療を受ける側へ の1つの回答であると思います。

お忙しいなかやられていることなの でしょうが、私と同じような悩みをもち鬱屈している患者や家族も おおいと思いますので、これからも継続されていくことを期待して おります。 以上で失礼いたします。