質問・回答(0233)


「強皮症について教えて下さい」

Date: Tue, 03 Jul 2001 16:01:05 +0900

 こんにちは。お忙しいところ、恐れ入ります。今回は、私の実母のことで、御相談させていただきたく、メールさせて頂きました。

 実母は、現在56才になるのですが、53才の時に、膠原病のなかでも「強皮症」との診断をうけております。

 16年前に乳ガンの手術をうけており、左乳房の切除。7年前に子宮筋腫の手術も経験しています。
 強皮症との診断をうけた時は、すでにレイノー現象もでており、左右両手指はウィンナー状にむくんでいました。その年に、父方の祖父と祖母と同居することになり、介護の日々におわれ、53才〜54才の1年間は、通院することもなく、強皮症の為の内服薬も服用はしていませんでした。(不眠症な為、精神安定剤は常備薬です)

 当時、母の指は、一番症状がひどかったのは、右の人さし指だったのですが、爪の周りの皮はボロボロに剥け、ずっとじゅくじゅくと膿んだ状態でした。ステロイド入りの軟こう(リンデロン)はつけていたようなのですが、症状は変わりませんでした。膿んでいたのは右人さし指だけだったのですが、他の両手指も皮がボロボロにむけていました。あまりに人さし指の膿み方がひどく、むくみもひどくなってきたので、通院を強く勧め、今は、母は**在住なのです
が、**医療センターの方に通院しております。

 現在の病状としましては、手指の皮が剥けている状態はなくなり、右人さし指の膿もなくなったのですが、右人さし指の第1関節より上が少し屈折してきているようの感じがします。むくみは変わらずあり、見た目はパンパンなのですが、つまむとまだ皮膚は柔らかく、つまめます。
 手の甲にはまだむくみも硬くなっている感じもありません。血液検査、尿検査に異常はなく、内臓の検査(胃、肝臓、腎臓、肺)も今のところ異常はないようですが、最近カラ咳がではじめ、検査したところ肺に少し影はでてきているようです。

 あと、食べ物を飲み込む時に違和感がでてくるようになったようで、食道の検査もしたようですが、検査上異常はなかったようです。
 現在は、月に1回のペースでの通院になっています。
 介護生活は続いており、祖母との折り合いが悪く、精神的なストレスはいつもかかえているような状態です。

 そこで、足立先生にお伺いしたいのは、
1、強皮症を専門になさっている先生を御紹介いただけないでしょうか。

2、最近、強皮症は、必ずしも進行性のものではない、と言われてきているとのことですが、今の母の主治医の先生は、「病状は少しずつ進行していきます。
そして、食べ物が飲み込みにくくなったり、カラ咳などは、強皮症の人はしょうがないことなのです」とおっしゃるそうです。私の説明では、不足な点も多々あるとは思いますが、足立先生からみて頂いて、母の症状は、強皮症のなかでも、どの程度まですすんでいると思われますでしょうか?そして、母の病状の進行をこれ以上進めないようにするには、どうしたら良いでしょうか。
どうぞ、足立先生の御見解をお聞かせ下さい。

3、そして、私の、2*才になる弟も、高校生の時、どしゃぶりの雨の中、体育際があり、その時を境に、皮膚の柔らかい部分に最初ぽつんと赤い発疹ができ、それがかゆく、掻くと湿疹から汁がでて広がり、直系5センチ程の周囲だけが赤く、内側は水泡のような発疹になり、かゆくてまた掻くと、その内側の皮膚がやけた時に、皮膚がペリッとむけるような感じで皮が剥け、その後にどす黒いシミのようなものが残ります。弟も、パッチテストや皮膚生検など繰り返したのですが、結局原因はわからず、免疫系の異常からではないか、と言われているそうです。これは、母の強皮症となにか関係はあるのでしょうか。

 足立先生の患者さんに対するお答えのくわしさ、親身さに、心安らぐ感じを受けました。母には、この病気を乗り越え、少しでも長生きして欲しい気持ちです。どうぞ、御返答よろしくお願いいたします。

Date: Wed, 04 Jul 2001 11:11:16 +0900
Subject: 病気相談お答え

メール拝読致しました。
原因がはっきりとしない、慢性の膠原病でお困りのことと思います。

こういった病気の場合、まずは何よりも診断が正しいかどうかが問題になります。
メールを拝見しますと随分と丁寧に検査を進めて下さっているようなのでまず大丈夫だと思いますが、強皮症で比較的多く陽性に出る「抗核抗体(こうかくこうたい)」や「抗Scl−70抗体(こうエスシーエルななじゅうこうたい)」という検査の結果も伺っておくと良いでしょう。

「抗核抗体」は抗体価は低いことが多いですが、強皮症の約95%で陽性に出ますし「抗Scl−70抗体」は全身型なら50−80%ほどの患者さんに陽性に出て、「抗Scl−70抗体」がもしも陽性なら「強皮症」の診断が確実である可能性が高くなります。

なお、強皮症の診断はこれらの検査だけでするものではなく、全身の症状の組み合わせその他で総合的に下すものですので念のため。

それではご質問事項に沿ってお答えします。

1.強皮症の専門家は珍しい病気なのでどうしても東京大学、東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センターなど東京の施設に集中する傾向があります。

但し、九州でしたら大分県別府市の九州大学生体防御医学研究所附属病院内科での膠原病に対する取組みが、温泉療法なども取り入れたりして熱心な診療が比較的有名です。

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターでは、原まさ子先生、針谷正祥先生、
東京大学では竹内二士夫先生、などが「強皮症」の専門家としてのお名前をよく聞きます。

遠くの施設を受診される場合は、特に特定の先生の診察を受ける場合は前もってその施設の受付けに電話を入れて診てもらえることなどを充分に確かめておくことが重要です。
今診てもらっている先生の紹介状やレントゲン写真などを借りて持って行くことも大切です。

なお、メールを拝見する限り今かかっておられるところでかなりしっかりと診て下さっているようなので「セカンドオピニオン」の必要生がとても高いという感じはあまりしませんでした。

2.「強皮症」の進行具合は患者さんお一人お一人で随分と違ってきます。

中には急に進行される方もいらっしゃいますし、逆に自然に治ってしまわれる方もいらっしゃいます。
しかし大概の方は慢性に何十年もかかって徐々に進行される方が多いです。

メールを拝読する限りはお母さまの場合もレントゲン上、肺の変化も来始めているようですので、慢性的な中等症の強皮症で、これからも病気自体はほんのわずかずつ進行していく可能性も考えねばならないと思います。

3.「強皮症」自体は遺伝疾患ではありませんので診断が合っているかぎり子供に遺伝することはありません。

ひとつ気になるのは「強皮症」という病気自体も、あるいは強皮症に似た症状が時にいろいろな化学物質が原因となって起こってくることがありますので、ご家族の方が同じ物質に接していて同じような強皮症に似た症状をきたしている可能性もあります。

強皮症に似た症状を示す原因となる化学物質としてはエポキシ樹脂、塩化ビニール、トリクロロエチレン、ペンタゾシンなどが疑われていますがはっきりとしたことは判明していません。
日常生活でも農薬などに接していない自然のものを摂取するなどの注意が必要かもしれません。

以上、お答えとさせて頂きます。
どうぞお大事になさって下さい。


Date: Wed, 04 Jul 2001 15:28:31 +0900
Subject: Re: 病気相談お答え

お返事頂きまして、本当にありがとうございました。
さっそく、母に連絡したいと思います。
また、御相談にメールさせて頂くことありましたら、今後も、どうぞよろしくお願いいたします