質問・回答(0236)


「拡張型心筋症の遺伝子治療」

Date: Tue, 14 Aug 2001 19:41:15 +0900

私の姉(33才)は、「拡張型心筋症」と診断され、東京の某大学病院に入院しております。
先日肺炎に伴う不整脈を引き金として心不全となり、かなり危険な状態となり、現在はCCUで集中治療体制下にあります。今のところ容態は安定しており、快方に向かっております。

しかしながら、「拡張型心筋症」については、完治には「心臓移植」しか手段がなく、内科的な治療では限界があると聞き及んでおります。(バチスタ手術という外科手術もありますが・・)加えて、本病気は進行性ということで、将来的にかなり不安があります。

そんな中、遺伝子治療の研究分野で、「拡張型心筋症」の原因について、一部解明されたという記事(本年1月:東大研究室)を読む機会がありました。今は動物実験の段階とのことですが、将来的には移植に代わる治療法として期待できるとのことでした。

そこで、ご質問なんですけれども、当該遺伝子治療について、現在どの程度まで臨床で活用され、成果はどのようになっているのでしょうか?
また、現在、本病気に遺伝子治療を実用or将来的に率先して実用化するであろう病院等はあるのでしょうか。
「心臓移植」が実際には困難な状況ですので、わらにもすがる思いでいろいろ調べてみましたが、素人の私ではどうしても限界があります。非常に難しい質問であることは認識しておりますが,先生が知る限りの情報をお教えいただけたらと思います。

また、一般的な遺伝子治療の現状等についてもお教え願えたらと思います。

Date: Tue, 14 Aug 2001 21:57:01 +0900

病態にもよりますが、一般的には極めて予後不良で知られている疾患をお持ちのお姉さまのことをご心配のメールを拝受し、お気持ちお察し申し上げます。

東京大学の研究室で「拡張型心筋症」についてごく最近に動物実験で行われた研究としては「Muscle LIM遺伝子ノックアウトマウス(MLPKO)拡張型心筋症における興奮-収縮連関の異常 単離心筋細胞を用いた検討」八尾厚史(東京大学 循環器内科), 高橋利之, 矢崎義雄, SuZhi, BarryWilliam H.「 マウスの実験的急性・慢性心筋炎,ヒト急性心筋炎・拡張型心筋症における TNF receptor/ligand familyのcostimulatory moleculeの発現とその役割の解析 (第2報)」世古義規(東京大学 循環器内科), 高橋直之, 矢崎義雄, 東みゆき, 小幡哲二, 八木田秀雄, 奥村康などが国内では公表されています。

一般に動物実験で行われた研究結果がヒトに応用されるのは数年から十数年先です。治療法の種類によっては稀にもっと早くなることもありますが遺伝子治療となると少なくとも数年はかかるのが普通です。

実用化などはまだまだ先と考えられますので試行される病院はもっと先の話となるのではないでしょうか。少なくとも私の知る限りでは未定と思います。

Batistaの手術もNHKなどでセンセーショナルに取り上げられた割には長期予後に関して疑問を投げかける専門家も多いです。

あまり特殊な治療法だけに目を奪われるのではなくお姉さまの治療法として今最善を尽くせる方法を総合的に検討されるのが良いように思いました。

あまりお役に立てず申し訳ありませんが以上、お答えとさせて頂きます。


Date: Tue, 14 Aug 2001 22:15:59 +0900
夜分にもかかわらず早々のご回答, 誠にありがとうございました。

本病気については、インターネット上でも、 患者さんによる多くのホームページがございます。 根本の治療法が移植しかないという現状で、それでも 多くの方が頑張って社会復帰を目指しておられます。 そういう方のためにも、今後もし機会等ありましたら、 先生のホームページでも情報を提供していただけたら 幸いに存じます。 今回はどうもありがとうございました