質問・回答(0242)


「川崎病のあとの肝機能障害」

Date: Thu, 27 Sep 2001 20:30:06 +0900

はじめに私の長男の入院経過をまとめましたのでご覧下さい。

(生年月日)平成11年 7月**日 現在2歳*ヶ月です。
(出生時) 体重3.080G 身長49CM 胸囲32.2CM 頭囲33.6CM      
38週目 正常分娩

(一回目の入院期間) H12 2/29〜3/29(約一ヶ月間)

川崎病にて**県**病院に入院

2/28に**市内(片道3.5時間)に買い物に行き、帰りに「う〜ん」「う〜ん」とうなり冷や汗もかいていたために車酔いしたのでは?と思い帰路中に休憩をはさみながら無事に帰宅。夜中の一時頃に「うわ〜ん」と泣き出し熱が40度程あったため病院に連れて行き敗血症の疑いで即入院しました。

3/1に川崎病と診断され3/2から3/6の5日間「ガンマグロブリン」の投与を受け3/6に肝臓が弱っていたので薬の投与を受けました。この時GOP、GPTが1200位で3/9に約1000、3/11に約500、3/17に約100、約3/21に47とじょじょに良くなっていきました。心臓については、3/13にエコー検査で血管が2.9ミリのところが一カ所あるが異常なしと診断され3/21に同検査で血管が2.3ミリに減っており問題はないと言われました。

(この時) 生後7ヶ月 体重7.500G 身長67.5CM 胸囲42.7CM 頭囲42.5CM

(二回目の入院期間) H12 4/26〜5/5

一ヶ月検診にて、肝数値が210で入院。症状は特になし。点滴治療(ソルデム3Aに強ミノ1Aが入っている。)をする事になる。点滴をうけ約中二日おいての血液検査で肝数値が約半分くらいに下がり、100をきったあたりからは少しずつ下がっていきました。だいたい50くらいにさがって後は家で飲み薬を飲みながら定期的に血液検査を受けるようになりました。飲み薬は調整薬とのことでした。

(二回目の退院後の定期血液検査の肝数値)

6/10・・57 7/12・・118 7/25・・57  8/8・・121
8/15・・57 8/29・・97です。

(三回目の入院期間) H12 9/12〜9/28

9/12の定期血液検査の数日前から鼻水が少し出ており肝数値が1727だったため入院となりました点滴治療(ソルデム3Aに強ミノ1Aが入っている)をする事になり診断は何らかのウイルスによるものだろうとのこと。

(入院後の定期血液検査の肝数値)

9/13・・860  9/18・・423  9/22・・210  9/25・・101
9/28・・61  10/5・・147  10/11・・177

数値が100より回った時に点滴をはずし飲み薬(調整薬)だけにして様子をみていましたが次の検査の時には数値が上がっていました。結局、再度点滴をして80くらいに下がったところで退院しました。

(四回目の入院期間) H12 10/18〜10/25

定的血液検査で肝数値が472だったため入院する事になりました。風邪をひいていて肝機能障害と上気道炎と診断される。点滴治療(ソルデム3Aに強ミノ1Aが入っている。)

(入院後の定期的血液検査の肝数値)

10/21・・180  10/25・・93  10/30・・57

(五回目の入院期間) H12 11/8〜11/28

肝数値は440でした。
11/6の17:00頃に発熱し病院に連れて行くが時間外だったため薬をもらい帰りました。日中は平熱になるが夜になると発熱するため11/8に再度病院に診察に伺いそのまま入院しました。症状は発熱、鼻水、咳が出ています。

(入院後の定期的血液検査の肝数値)

11/13・・112  11/17・・84

11/16に風邪で入院(咳がひどく吐いたりの症状)した人と同室になりほとんど治っていた風邪の症状が11/17の14:00頃に39.3度の発熱に、流れる程の鼻水、咳と悪くなってしまいました。診断はウイルス感染とのこと。11/20に肝数値が200に上がっており昼過ぎに39.3度の熱がでてこの時はぐったりした様子になったが4〜5時間後に38度に下がる。点滴治療(ソルデム3Aに強ミノ1Aが入っている。最初の方は抗生剤も投与)をしてその後、肝数値が80位に下がって退院しました。

退院してからも約2週間おきくらいに定期血液検査をしています。それ以後も何回か風邪の症状がでると定期血液検査の結果、肝数値が200台とか400台とかになり入院をしました。治療方法は点滴治療で内容物も以前と同じです。ここ3ヶ月くらい前は風邪で熱が39度くらいに上がったりしたときや、鼻水がでてきた時など以前は肝数値が200とか400になったりしていたので心配していましたが80くらいだったので入院にはなりませんでした。しかしそれからまた風邪の症状がでていて検査の結果数値が400くらいになっていたため入院することになりました。そのときは最初点滴の内容物は以前と同じでしたが約2日おきの検査で肝数値が600、800と増えていき点滴の強ミノ1Aを強ミノ2Aに変えることになりました。

先生の説明では「2歳になり体も大きくなってきたので薬が効きにくくなっているのでは」とのことでした。強ミノ2Aに変わってから肝数値が約半分ずつくらいの割合で下がっていき30くらいに下がって退院しました。

退院してからは以前と同じく飲み薬を飲んでいますが最近の1ヶ月間くらいは検査では肝数値は25前後であったため喜んでいました。しかし2週間ほど前検査で67にあがっており家で遊んでいる最中にときおり横になって寝転がりまたちょっとして立ち上がって遊ぶ、そんな姿を見るようになりました。(この様子は今回が初めてではなく以前の入院前にも見られました。この様子がでるとやはり検査結果は良くありませんでした。)そして1週間前の検査で270にさらに上がっていました。

そして入院して点滴を受ける事になりました。点滴の内容物はソルデム3Aに強ミノ1Aです。今回、息子は見た目には風邪の症状は無く(鼻水・咳・熱)元気ですが散歩をすると途中で疲れるのか抱っこをせがんだりします。

入院してから約2日おきに血液検査をしていますが数値が370に上がり、また前回同様に強ミノ1Aを強ミノ2Aに変えることになりました。しかし次の検査で肝数値が600くらいに上がっていました。この時くらいに一晩でさがりましたが38度くらいの熱をだしました。その時くらいに口内炎もできて食事もヨーグルトや卵豆腐、牛乳などしか口に入れず他のものは嫌がります。

そこで食事の時にビタミンの飲み薬を出してもらっています。そしてその次の検査で肝数値が500くらいに下がっていました。回診時に先生より「口内炎も少しずつ治ってきていますこのまま肝数値も下がっていくでしょう」と言われました。そして今日、9/27の血液検査で約200くらいに下がっていました。

 以上が息子の現在に至る経過ですが、ここで足立先生に次の質問を致しますのでよろしくお願いいたします。

1 この肝機能障害は、最初ガンマグロブリンによるものと考え治療してきました。その後、先生からあまりに長期間のため川崎病とは切り離して考えようと言われました。川崎病の後遺症としてこのような例はないのですか?(川崎病にかかる以前に息子は病気になることはありませんでした。)

2 「2、3歳頃には体力もついてきて自然と治るだろう。」と言われましたがそういう例があるのでしょうか。

3 このまま入退院を繰り返しながら様子を見るしかない(はっきりと原因を判断できない様子)と言われましたが、しだいに肝臓がすごく悪化したり(肝硬変や癌等)、他にも悪いところができたりとかはありますか?  またその可能性はどの程度ですか?

4 鼻水がでたり、熱がでると肝数値が上がり入院になるのですが点滴治療で下がります。体への負担や点滴が効かなくなるのでは?と心配です。(強ミノ1Aから強ミノ2Aに変わったのは何かしらの病気がありそれがだんだん悪くなってきたため点滴の種類を変えたのではないでしょうか?また、今の入院時には風邪の症状がないのが気になっています。

5 悪くなると黄疸がでるとも聞きますが他にも症状はでてきますか?また気をつける事はありますか?

6 川崎病と切り離して考えると原因が分からないのですがこのまま様子を見ていくだけで良いのでしょうか?お腹や胸のエコー等で調べたりしていますが、今のところ異常は無いとのこと(癌、肝炎ウイルス等)

  他の病院にも行ってみた方が良いのでしょうか?(息子は川崎病の入院の時より**県立**病院のみに通院しています。)また専門の病院がありましたらご紹介下さい。

 以上の質問をお忙しい中恐れ入りますがご返答下さいませ。

Date: Sat, 29 Sep 2001 22:14:08 +0900

川崎病がせっかく治ったのに肝機能異常が度々出現し、その都度治療を繰り返し、原因もわからず不安な日々を送られているご様子で心が痛みます。

私自身も感覚的にはそう心配したものではないのではと思います。
しかし、本当に大丈夫なのかどうか、調べる場合にはGOTとかGPTという肝臓機能を示す数値が度々上昇していますのでまずはその原因を突き止める必要があります。

B型、C型肝炎などの通常よくみられるウイルス性肝炎でないことはしっかりと調べてあるとは思いますが検査の見落としなどがある場合もありますのでそのようなことがないように今一度チェックしておかれては如何でしょうか。

それから「自己免疫性肝炎」という慢性肝炎があります。これは若い女性に多いとされてきたものですが男性や子供にもめずらしくないことが最近分かってきています。

このほかに極めて稀なことですがごく特殊な遺伝性の肝炎の可能性も有り得ます。

B型、C型ウイルス性肝炎や「自己免疫性肝炎」などの有無は血液の採血検査で簡単に診断できます。

もしも上記のようなものであればそれぞれに治療法がありますので比較的簡単です。

問題は上記の検査で全く異常が見付からないのに肝機能だけ上昇する場合です。B型肝炎やC型肝炎以外の未知のウイルスによる慢性肝炎も考えに入れる必要も出てきます。

「川崎病」のガンマグロブリン療法のあとで肝障害が長期にわたってみられる例も時折報告があるようです。

例えば横浜栄共済病院の梶ヶ谷保彦先生たちは「免疫グロブリン超大量療法後に肝障害をきたした川崎病の1例」という論文を1996年3月号の日本小児科学会雑誌に発表されています。
私自身はこの論文を取り寄せて未だ読んではいませんがいずれにしても大変珍しいことであることには違いありません。主治医の先生にはこれらの論文も十分に検討した上で今後の治療方針を立てていただく必要があります。

では、ご質問事項に沿ってお答えします。

1.非常に珍しいことではありますが上記の論文などもあり、同様の例がある可能性があります。
2.良く似た状態の患者さんの経過を調べる必要があります。

3.大変珍しい状態なので何とも言えませんが、少なくとも癌や肝硬変などになる可能性は低いと思われます。

4.「強力ミノファーゲンC」の効果が出なくなるほど悪化しているとは考えにくいです。

5.黄疸はかなり症状が進展した場合に出現します。
  全身倦怠感など風邪のような症状には注意する必要があります。

6.上に書いたような文献に当って調べて下さる熱心さを持ち、丁寧に説明して下さる主治医でさえあればわざわざ他の病院に移る意味は少ないと思います。

似かよった病気の患者さんについての文献を探すなどの作業は本来は主治医の先生にお願い、お伺いすべきものです。しかし、日本の小児科医の現状は過酷な労働の中、そこまでやりきれない面も多いと思います。

ホームページ上の規定に従いまして「追加ご質問」を頂きましたら文献をとり寄せるなどして私も微力ながら調査のお手伝いはさせて頂きます。「どうしても」とのご希望の場合はどうぞご遠慮なくご連絡下さい。

以上お答えとさせて頂きます。
どうぞお大事になさって下さい。


Date: Wed, 3 Oct 2001 20:41:09 +0900
Subject: ご回答有り難うございました

先日は、病気相談に対するご返答を頂き有り難うございました。
今後の検査等で気をつけるべき点など参考になりました。主治医の先生を信頼しているものの入退院の繰り返しに心の中で「本当にこのままの状態で良いのだろうか?こうしている間にも水面下で悪くなっていってるのではないだろうか?他の病院で検査してもらった方が良いのではないか?しかし、もし結果が同じなら主治医の先生の信頼を裏切ることにならないだろうか。」といろいろな思いが交錯していました。

そんな時このHPに出会いそして質問することができて本当に良かったと思います。心が落ち着きました。息子のその後の経過ですが、おかげさまで肝数値が500くらいになった次の血液検査で200くらいにそしてこの時に点滴の内容物が強ミノ2Aから強ミノ1Aに変わり次の検査で約80に下がり点滴を外して様子を見ることになりました。今週中にCT検査とかエコー、血液検査をする予定になっています。その結果をふまえてまた質問させて頂きたいことができましたら追加質問させて頂きたいと思いますのでその時にはまたよろしくお願いいたします。

 足立先生もこれから益々寒くなっていきますが風邪などひきませんようお体を大切になさってこれからも私たちのように不安を抱えている患者やその家族の力になって下さいますようお願いいたします。


Date: Sat, 06 Oct 2001 16:58:01 +0900
Subject: ご丁寧なご連絡をありがとうございました。

下記ご丁寧なご連絡をありがとうございました。


Date: Mon, 29 Oct 2001 20:33:18 +0900
Subject: その後の経過について

 足立先生様、9月の末頃に「川崎病のあとの肝機能障害」の件で息子の病気相談をいたしました。*****です。
その節は大変お世話になりました。おかげさまで息子は10月5日に退院することができました。退院時の肝数値は約80でした。

退院の少し前にCT検査をする事になっていましたが、息子が検査の時にじっとしてはくれず寝かしつけてもいざ検査というときには不思議と目を覚まし結局できませんでした。

先生より紹介していただいた「免疫グロブリン超大量療法後に肝障害をきたした川崎病の一例」の論文ですが、担当医に話してみたところ参考になるので取り寄せて調べてみますと言ってくださいました。

息子は退院してから一週間後の検査で肝数値が60になりこの時の通院時にCT検査がやっとできました。結果は胆嚢の中がドロ状になっているが特に問題は無いとのことで肝臓はきれいだったそうです。B型、C型肝炎や自己免疫性肝炎のことも聞いて見たのですが検査の結果からそれではないとのことでした。

次の血液検査で肝数値は約40になっていました。以前としてはっきりと原因が判明しないのが気掛かりですが、血液検査の注射の時に以前はベッドに寝かされるだけで大泣きしていた子が、最近急に下唇をかみしめて泣くのを我慢するようになり、また4歳の姉に時には泣かされながらも一緒になって遊び、服を汚しながらお腹いっぱいにご飯を食べている姿に「この子は体の中で病気と一生懸命戦っているんだ。」と感じ自分も病気に対して必要以上に心配して陰気にならず前向きに明るく接していこうと思います。

また、経過報告をさせていただきますのでよろしくお願いいたします どうかお体を大切に風邪などひかれませんように。


Date: Mon, 29 Oct 2001 21:03:55 +0900
Subject: Re: その後の経過について

ご丁寧な経過ご報告をどうもありがとうございました。
どうぞお大事になさって下さい。


Subject: 質問No.242 経過報告について
Date: Mon, 7 Nov 2005 00:14:48 +0900
変ご無沙汰しております。
質問No.242「川崎病のあとの肝機能障害」でご相談致しました***** です。
その節は本当に有難うございました。 先生からのご回答をいただいた後は心に落ち着きを取り戻し、過度に不安を抱く こともなく強い気持ちで息子と一緒に病気と対峙することができるようになりま した。 落ち着いて病気と向き合うことによって周りの色々な事にも気づかされるように なりました。
息子が入院している間は祖父母の家で元気にすごしていた長女が弟の事を人一倍 心配していたことや、私たち両親に気を使い寂しいと言わずに頑張っていたこと。 自分たちに余裕がないと周囲の人たちにも気を使わせ余計な心配を与えていたと 思いました。 一緒に付き添う親の態度を息子も敏感に感じていたと思います。

わからないという事からくる不安に答えてくれるこの 「インターネット病気個別相談」は、とても必要で有難いシステムだと思います。
息子のその後の経過について似た症状を持つ方々のご参考になればと思い報告い たします。
H13.12.21〜14.1.18に肝機能の数値上昇にて入院しましたが、 退院してからは高熱が出ても肝機能の数値が上がることはなくなり、退院時から 約半年でようやく完治との診断をいただきました。
それでも「本当に完治したの だろうか?」と信じられず確信を持てたのは、それから肝機能の数値が上がり入 院するということがなく一年を経過した頃でした。
H16.7.6(発病時4歳11ヶ月)  二度目の川崎病にて約1ヶ月間入院 最初は強い首の痛みと高熱があり通園している幼稚園で おたふく風邪がはやっていたため、おたふく風邪と思っていました。 二日間は解熱剤を使用して家で安静にしていましたが、首が動かせない程痛く熱 も40℃あったので近くの個人病院で診察してもらったところおたふく風邪と診 断されこじれたらいけないので抗生剤をもらい解熱剤と抗生剤を使用しました。
しかし翌日に手足の裏が赤くなり、熱も下がらないため 「これは、おたふくじゃない」 と思い、川崎病の時に入院していた*****病院に行くことにしました。 診断結果は、川崎病かリンパ節の病気かはっきりとはしないがいずれにせよよく ない状態であるため即入院となりました。(肝機能数値 300 炎症反応あり  菌も) 入院時、熱は40℃あり首はほとんど動かす事ができず、すごく痛みを伴う。 首のリンパ節 左が特に痛み腫れていた。
入院二日目に川崎病の症状が明確に現れて川崎病との診断が下されました。 同時に肺炎も起こしていました。 同日の夕方からガンマグロブリンの投与と肺炎の為の抗生剤の投与が始まりまし た。 幸いこの入院では、血管も肝機能障害も入院中の検査で異常が見つかるというこ ともなく無事退院することが出来ました。 「二度も川崎病になるのは、本当に珍しい」 と言われました。
退院後はおかげさまで前回の川崎病の時のように、肝機能の数値が上がって入院 するということが一度もなく元気に過ごしています。
幾度も繰り返される入院、そして病気の原因は不明、病院関係者への不信感、 と様々な事に悩まされたりもしましたがそういう中で このホームページと出会い足立医師にご相談できた事を心から感謝しております。 これからも、私共のような不安を抱えて過ごしている方々の強い見方になってい ただきたく足立医師の益々のご活躍とご健康を心より願っております。 本当に有難うございました。


Subject: Re:質問No.242 経過報告について
Date: Mon, 7 Nov 2005 09:15:27 +0900
大変詳しいご丁寧なご連絡をどうもありがとうございます。 どうぞ引き続き御身体お大事にお過ごし下さい。,