質問・回答(0251)


「多発性脳梗塞という診断で本当に良いのでしょうか?」

Date: Tue, 08 Jan 2002 17:43:10 +0900

足立憲昭様

7*歳男性、中肉中背です。
ここ半年くらいで急激に手足の感覚が鈍ってきました。以下にその経過を記します。大変長くなってしまい申し訳ありません。

○昨年6月頃までは毎日近所を散歩などしていましたが、両手、両足の指先の感覚からだんだん麻痺のような症状が出始めました。

○夏ごろ頭部MRIをとりましたが多発性脳梗塞との診断を受けました。

○11月12日散歩の途中に急に腰砕けの状態となり、以後外出を控えるよううになりました。

○11月19日浴槽から出られなくなって以来シャワーのみにしていますが、立っているのが大変なので浴室にいすを持っていき座ってシャワーを浴びるようになりました。

○11月26日脳梗塞だけにしては進行が早いのではと思い検査のため総合病院に入院。入院前にかかっていた医院の主治医からは末梢神経や皮膚病との関係も示唆されましたが、入院先の病院では多発性脳梗塞と断定され、それらの検査はしてもらっていません。入院中にとった頭部MRIは夏にとったものと変化はなく、小脳の異常も見られないとのことでした。

○12月28日立ち上がることが困難になり、短時間なら何とか座る姿勢は保てる程度となりました。今までは食事もフォークを使っていたが、うまくさしたり口まで運べない事もあります。

○1月2日手でつかんだものも口に運ぶ途中で落としてしまうので食事の時も介助が必要。コップも滑らせるのでもてない状態です。(親指が折れたままコップをもってしまうよう。)

多発性脳梗塞で両手両足に同じように麻痺が出るものでしょうか?
また半年足らずの間に歩行、立つ事、箸を使う事、手で食べる事など次々にできなくなってきています。
痴呆の症状はありません。
本人も家族も脳梗塞だけでこのような状態になるとは思えず、末梢神経の異常とか皮膚から細菌が入るとか、他に原因があるのではないかとの思いでいっぱいです。治らないまでも原因は何だったのか知りたいし、この先どうなるのかという不安も強く感じています。
もともとかかっていた主治医の所に今もお世話になっており、とてもよくしていただいていますが、検査入院した総合病院の担当医が主治医の上司だった方なので、その先生が脳梗塞と決め付けている以上、主治医からは他の検査をお願いしづらい状況もあるように思います。

○現在服用中の薬
(高血圧の家系で約10年降下剤を服用しています。
ここ2ヶ月くらいは血圧が少し低く推移しているので血圧の薬の量は減っていると思います。夜間に5、6回トイレに起きるので前立腺の検査をうけた所、手術をするほどではないが肥大が見られました。)
バイアスピリン錠10、ノルバスク5mg、エビプロスタット2錠、ハルナールカプセル0.2

○塗り薬
(約10年前から皮膚病を病んでいて、掌せきのうほう症とその余病と診断されています。全身が痒く赤らんでいて、所どころ皮膚が盛り上がったようになっていたり、かさぶたや出血もみられます。こちらは10年来同じ薬を使っています)
ヒルドイドソフト、メサルファド軟膏、ビサンデロンVG
____________________
以上です。
よろしくお願いします。

Date: Wed, 09 Jan 2002 21:57:34 +0900

大変詳しく症状を書いて下さいましたのでとても参考になりました。

たしかに「多発性脳梗塞」という病気は大変ありふれた疾患ですのでまず考慮に入れるのは良いと思います。
しかし、お送り頂いた症状の記載からは「多発性脳梗塞」にしてはあまりぴったり来ない症状も多いです。

例えば、「ここ半年くらいで急激に手足の感覚が鈍ってきた」、「両手、両足の指先の感覚からだんだん麻痺のような症状が出てきた」と書かれています。こういうような症状の出方は「多発性脳梗塞」にしては普通ではありません。

確かに「多発性脳梗塞」の場合も大脳の感覚神経をつかさどる経路に梗塞が起これば、病気の原因となっているその場所に応じて、右手なら右手、左足なら左足の感覚障害が突然生じてもおかしくはありません。しかし、多発性の場合でも脳梗塞でそういうことが起こるのは、例えば「ある朝、起きたときに突然そうなっていた」という起こり方が普通で、「だんだんといつのまにかそうなった」という場合には別の病気のことのほうが圧倒的に多いのです。

神経系の病気の診断の場合、このように病気の症状の出現の仕方がそれぞれの病気によってとても違っています。ですから、このように病気の症状の出方を詳しくお聞きした上で診断する必要があります。経験のある名医はこういうところに気をつけて診断をします。

11月12日に「急に腰抜けの状態になった」とのことですが、これも「多発性脳梗塞」のときにこういった症状の出方をすることは珍しいです。
むしろ脊髄の病気、血液中の電解質の異常の病気、その他の別の病気のことが多いです。

「多発性脳梗塞」でありながら頭部MRIに変化が無いのに症状だけが増悪しているというのはさらに理解し難いことです。「多発性脳梗塞」が進行してきますとある程度の「痴呆」の症状も出てくることが普通ですがまったく、あるいはほとんど見られないというのも首を傾げざるを得ません。

ご相談内容からは両手、両足の感覚障害から症状が始まっているので、「多発性脳梗塞」というよりはむしろ「多発性神経炎」による症状と似ています。

もしも「多発性神経炎」だったとすればその原因には、糖尿病、膠原病、癌、皮膚疾患、自己免疫性疾患、その他大変多くの原因がありますのでちゃんとその原因を究明する必要があります。神経内科が担当する領域ではありますが、神経内科医でもかなり経験と実績を積んだ医師でないと原因についての診断は難しいことが多いです。場合によっては原因究明が難しいこともあります。

あまりお役に立てない回答になってしまいましたが、現時点では「多発性脳梗塞」と断定してして片付けてしまうことはお勧めできないことを繰り返しお伝えしてお答えとさせて頂きます。

どうぞ、お大事になさって下さい。

Date: Thu, 10 Jan 2002 07:34:01 +0900

足立憲昭様

お返事いただきました。迅速に対応していただきありがとうございました。

昨日、主治医の先生に往診していただきました。
現状を見て、やはり脳梗塞以外の原因を探る必要があるといういことになり、近々、前に入院した総合病院とは別の病院に入院する事になりました。何か原因がつかめればと願っています。

***をしましたら連絡します。
今日はお返事をいただいた連絡のみで失礼します。