
Subject: フックスについての質問
Date: Thu, 2 May 2002 22:26:55 +0900
私の妻は4年ほど前から、左眼に眩しさや・眼球の痛みといった不調を感じ、** *****病院の眼科に通院するようになり、 当初は緑内障と診断され治療を続けて来ましたが、症状が一向に改善されなかった 為、半年後、***眼科にて診察したが、1年余り診察を続けても、原因不明との回答 しか得られなかったため、**眼科にて更に1年診察を受けましたが、 そこでも原因不明と言われ、その医院の医師に**大学付属病院を紹介され、昨年の 12月にそこでの検査を始めました。
検査の内容はCTスキャン、MRI、などです。それでも原因不明との事で検査通院
を続けていましたが、3月初旬にその付属病院の**である****の受診を受
けることになり、結果フックスと診断されました。
フックスは稀な眼病で治療や手術をしても現代医学では改善される見込みは無い
と宣告され、現状より症状が悪くならない様に病状の進行を防ぐ治療を進めていく
事を言い渡されました。
3月初旬より下記に示す6種類での治療が開始されました: 錠剤: ダイヤモックス 250mg ・・・1日3回
錠剤: アスパラK ・・・1日3回 目薬: チモプトール 0.5% ・・・ 1日2回
目薬: キサラタン 0.005% ・・・ 1日1回 目薬: クラビット ・・・1日4回
目薬: フルメトロン 0.1% ・・・1日4回
しかし上記にある錠剤、特にダイヤモックスとアスパラKに関しては服用後20〜
30分経過すると全身の痺れ(特に手足)や吐き気、倦怠感といった症状が出る
ようになり、担当医師に話すと錠剤服用の増減や錠剤の種類の変更で治療を続けて
いました。
しかし視力低下を防ぐ治療のはずが3月下旬頃からは視野も低下して 来ており、それ以外にも頭痛、目の痛み、まぶたのむくみも起こっている状態が 続きました。 更に4月*日には視野が欠損しているため視神経が持たないという事で一年以内 に手術をしなければならないと言われました。
眼に対する手術は3回が限度で将 来は失明すると担当の**医師に宣告されました。
現在では4分の1以上の視野が欠損している状態で、視力低下にともない治療方
法や病名への不信感が出てきています。
足立先生にお聞きしたいのは この症状は本当にフックスなのか? もしそうならこの治療方法で良いものなのか?
フックスは治らない眼病なのか? この病院に通院を継続した方がいいのか? この病気の治療に最も適すると推薦できる病院はどこなのか?
などです。他にも足立先生からのアドバイスがあれば幸いに思います。
どうか是非ご回答よろしくお願い致します。
Date: Fri, 03 May 2002 15:37:00 +0900
メール拝読致しました。
****の診断により 「稀な眼病で治療や手術をしても現代医学では改善される見込みは無い」
「将来は失明する」などのお話があったようで大変お困りのことと拝察致します。
まず、病気について簡単に解説しておきます。 「フックス」というのは正確には 「フックス角膜内皮変性症(Fuchs' Endothelial Dystrophy)」 という名前の病気で専門の眼科医の間では単に「フックス」と呼んだり、 頭文字を取って「FED(エフイーディー)」と呼ぶこともあります。 確かに稀な病気で正式な報告もここ数年間では**先生のところで類似症例が お二人、金沢医科大学眼科で88歳の方がお一人、横浜労災病院眼科で72歳の 方お一人、などがあるだけでごくごくたまにしかみられない疾患で、しかも専門医 のたくさんの種類の薬剤や手術などの治療努力にもかかわらず、さまざまな経過 を取りながらも残念ながら、どうしても症状は全体的には進行、増悪、重症化する 傾向のある疾患です。
原因は不明ですが角膜内皮細胞の「アポトーシス」という細胞崩壊が関係してい
るのではという考え方が有力です。 角膜に混濁がみられたりして、浸潤はなくても浮腫がみられ、上皮だけでなく、
実質にまで両眼性に病変がみられ、しかも他の類似疾患でないことが確認されれ
ば「フックス角膜内皮変性症(Fuchs' Endothelial Dystrophy)」と診断されます。
この疾患につきかなりご専門の**教授の診察での診断でしたら、かなり可能性が
高いと言えるのではないでしょうか。 メールを拝読しました限りではさまざまな薬剤を試みて下さっていますし、
副作用に対してもこまめに対応して下さっているようですので 現在の受け持ちの先生のご指示に従われるのが良いのではと思われます。
なお、ダイアモックスで全身倦怠感や、吐き気はしばしばみられますが「浮腫
(むくみ)」が出ることは比較的めずらしいことですので腎臓の働きなど内科的
にもにもチェックをして頂くなど注意が必要です。
上にも述べましたが**先生のところの****先生, ****先生, **** 先生, ****先生たちは通常の眼科医の中でもこの病気にお詳しい先生方です のでこれらの先生方に引き続き診て頂くのが良いのではないでしょうか。 万が一これらの先生方の診療状況などにご不満がある場合は地理的には遠いので すが先に述べました横浜労災病院眼科や金沢医科大学眼科にいらっしゃるこの疾 患に詳しい先生方にご相談されるのも一つの方法です。
いずれもとても熱心に治療法を工夫される先生方と拝察しています。 原因については角膜内皮細胞の「アポトーシス」という細胞崩壊が原因ではない かと詳しい研究が進んでいますが、現時点の最新の情報でも、日本国内でも国際的 にも今ひとつ治療に直接役に立つ結果がでていません。
しかし、原因のはっきりとしない、稀な病気ですので逆に言うと「100%全員
が必ず将来失明することになる」という確証もそれほどはっきりとは得られてい
るわけでもなく、だれもそう言い切ることも出来ないとも言えます。 人間本来の自然の治癒力を高めるよう気持ちの上でも、生活の上でも英気を養わ
れて、主治医の説明に耳を傾けしっかりとしたインフォームドコンセントを受けら
れた上で、ご自身でもご家族とご相談の上治療法を考えられるようお勧めします。
間違っても、言葉巧みのまやかしの治療法で高額な治療費を取るようなところ に走ったりするようなことだけは避けられるように祈っております。 良い結果のお答えが出来ず申し訳ありませんが以上、お答えとさせて頂きます。 どうぞ、お大事になさって下さい。
Subject: 「フックス」についてのお答え有難うございます。
Date: Wed, 8 May 2002 17:46:36 +0900
返事が遅れて大変申し訳ありませんでした。 丁寧な足立先生の回答に夫婦共々感謝しています。
先生のアドバイスで何かもやもやとしていたものが少し吹っ切れました。 回答の内容に大変感謝し***でお約束したとおり**に***ます。
本当に有難うございました。