質問・回答(0270)


「強皮症で腸管気腫が出ましたが」

Date: Wed, 29 May 2002 21:46:17 +0900
こんにちは。母の病気のことでご相談させていただきたいと思います。

7*才になる母ですが、37才頃に膠原病の強皮症とのことで入退院を繰り返してい ました。当初は皮膚に症状が現われ、その後心臓へ症状が移ってきました。 その間三十数年(途中ブランクは何年かありますが)に渡って、当初の入院先でした **県の**市民病院での主治医であった**先生が開業された個人病院での投 薬を受けていました。

平成*年(6*才)に心臓ペースメーカーの手術(*****市民病院)を受け た後も**先生の投薬を受け比較的元気に昨年末まで過ごしてまいりました。 ところが、昨年11月に転倒した際に足を骨折し、入院した*****市民病院 で「ステロイドが8mgも入っている薬を服用している。骨が弱くなる原因となるので ステロイドを減らしたい。」と言われ「5mg」にするとのことでした。

個人医院の**先生(入院設備なし、家からも遠い)には、これからいつまでも お世話になりたいが、「いざという時にはどこか病院を」と言う思いから、 心臓の方も*****市民病院でお世話になろうと、**先生に紹介状をお願い し快く了承を頂き、全ての診療をお願いすることとしました。

骨折での入院中から「お腹が張る」との事で食事を「キザミ食」にしてもらったりし ていましたが傍目からみても腹部の膨らみが大きいなとは思っていました。 約3ヶ月の入院後、1月末に退院し自宅で一週間程過ごしましたがお腹の張りを訴え 2月始めに再度、病院に行ったところ腸管気腫との診断で、1週間程度の絶食・点滴 その後の酸素療法等で軽減し(まだ症状は残っているとの事でしたが)、3月末に退 院いたしました。

昨日(5月2*日)病院でレントゲンを撮ったところ、再び症状はひどくなって いるとの事で(本人の自覚症状もかなりあり)、主治医の先生は 「ステロイドの服用を暫くやめてみよう」とのことです。

また、入院治療より自宅で様子を見ようとのことでした。 2月の「腸管気腫」との診断の際、病名をインターネットで検索した際は原因不明の 病気との事くらいしかわかりませんでしたが(主治医の先生も薬は無いとの事でし た)、この度のことで再度インターネットを検索したところ強皮症と腸管気腫の関連 の記事が目に入りました。 (http://www.ibaraki.med.or.jp/kinmu/jigyo/nanbyo/sisin/13.htm)

これによりますと、強皮症には腸管嚢胞性気腫症が発症することがあるとあります。 すると、骨折時からステロイドの服用を減らしてきた事が、今まで抑えてきた強皮症 を再発させる原因とは考えられないでしょうか?

そこでお伺いしたいのですが、
1.今後ステロイドの服用を全く止めるということはどうなんでしょうか? 強皮症の合併症として腸管気腫が現われているのならかえってステロイドの服用が 必要なのではないでしょうか?
2.ステロイドの使用をやめる(減らす)とそのリバウンド(こういう表現では無い と思いますが、言葉がわかりません)があると言うことを聞いたように思いますが、 腸管気腫の発症はこれが原因とは考えられないでしょうか? 骨折入院までは比較的順調に過ごしていたように思うのです。 また、そうとすれば今後服用するステロイドを元に戻せば腸管気腫も症状の改善が見 られる可能性は? いまさら服用を戻したとしても遅いのでしょうか?
3.腸管気腫とは、どの程度危険なものなのでしょうか?(あいまいな質問で申し訳 ありません) 3.医療機関について もし、ステロイドの服用を続けたいと思ったときで、現在の*****市民病院 の先生の方針と違ったときは、以前の**医院(**市**)に戻ると言うこと は「腸管気腫」という病気からすると無理があるでしょうか?(個人医・入院設備なし) その場合、ご照会いただける病院等は、**先生にお願いすべきでしょうか? それとも、私の在住する**県**郡近隣に適当な病院はありますでしょうか?

膠原病に対するステロイドの作用など基本的なこともわからない素人が、ダラダラと 散文を失礼しました。 主治医の先生にお話を聞きたいと思いましても、患者の心理としても(素人が生意気 を・・と思われないか?)また短い診療時間内にも遠慮があり、難しいものがありま す。 ご回答を頂けれれば幸いです。

Date: Fri, 31 May 2002 13:11:14 +0900
Subject: 「インターネット病気個別ご相談」お答えします

長期に渡り、難病とされている「全身性強皮症」と闘病生活をしておられるお母 様のご様子、またご家族の方々が患者さんの看護支援に努力されているご様子、 メールの中ににじみ出て思わず
「頑張って下さい」と声援を送らずにはおれませ んでした。

以下、ご質問項目に沿ってお答えします。
1.強皮症の経過中に「腸管嚢胞性気腫症」が発生することは比較的よく知られ た事実ですが、その原因は不明で、ステロイドとの関係もはっきりとはしません。

「腸管嚢胞性気腫症」はこのほかに同じく自己免疫疾患であるSLE(全身性紅 斑性ろうそう)」や「結節性動脈周囲炎」のほか、「ベーチェット病」などでも 起こることが知られています。 ごく最近の「Digestive Endoscopy(2000年11月)」という雑誌に 高知医科大学第一内科から、「パルス療法」といって ステロイドを大量に投与する方法を行った1週間あとに「腸管気腫性嚢胞症」が 発生した「結節性多発性動脈炎」の患者さんのことを 「ステロイドパルス療法(有害作用)」との関連で報告が出ています。 この患者さんの「腸管気腫性嚢胞症」は「高濃度酸素投与」により軽快し、 その後「腸管気腫性嚢胞症」の再発はみられていないとのことです。 ステロイドの服用を増やすことや減らすことが「腸管嚢胞性気腫症」の発生とど ういう関係になっているかははっきりとしたことは分かっていません。

ですから、お母様が今後ステロイドをやめられたからと言って必ずしも「腸管嚢 胞性気腫症」を発症されるとも言えませんし、逆のことも言えません。 そうなってくると、「腸管嚢胞性気腫症」に対しては最近は「高濃度酸素療法」 や「高圧酸素療法」などが比較的良い成績を収めていますのでむしろそういった 治療法を考えられるのが良いかもしれません。

2.「腸管嚢胞性気腫症」とステロイドの関係は1.で書きましたとおりですが、 8mgのステロイドとのこと、力価の低いプレドニゾロンであったとしても 長期に服用していると「骨粗しょう症」、「大腿骨骨頭壊死」その他の副作用が 気になりますし、かといって逆に急に中止することにより確かにご質問者のおっ しゃるように、「全身性強皮症」の再燃の懸念もあります。  どうするのが絶対に良いという明らかな証拠があるわけではないので受持ちの 先生が詳しく患者さんの診察をして、今までの経過なども考慮して判断、決定す ることになります。 8mgを急に中止するのではなく、徐々に減らしながら、もしも「腸管嚢胞性気 腫症」が出てきたら酸素療法を考慮されるというような方法もひとつの方法かも しれません。

3.「腸管嚢胞性気腫症」は「腸間膜動脈閉塞」や「肺炎」などを合併したりす ると主に合併症の方が原因でお亡くなりになる患者さんの報告も稀にはあります が、全身状態さえ良ければ普通は「腸管嚢胞性気腫症」だけで命にかかわるよう なものではありません。

4.すでのお近くの中核病院(その付近で最も設備や人員が整った病院)にいく つかかかっておられますので、お近くの開業の先生をはじめ、今までに診てもらっ た主だった先生に「腸間嚢胞性気腫症」に対する「酸素療法」や「ステロイドの リバウンドの可能性」についてそれとなくお尋ねになっては如何でしょうか。 「酸素療法」について恐らくは先生方既にご存知と思いますし、もしもご存知で なくても「調べてみましょう」とか「あとで詳しく調べてみます」などと親身に なって相談に乗って下さる先生に診て頂くなり適当な施設への紹介状を書いて頂 くなりご指示に従うのが現実的ではないでしょうか。 主治医の先生方とは今後長年にわたってご相談をしながら病気と闘っていく必要 がありますので、ご存知でないだけでなく、尋ねたとたんにいやな顔をされるよ うな先生では返って心もとなく思います。

以上、お答えとさせて頂きます。 どうぞ、お大事になさって下さい。


Date: Sat, 1 Jun 2002 21:57:26 +0900
ありがとうございました。
足立先生の、丁寧なメール、何度も読み返させていただきました。 実は母には、膠原病と腸管気腫が関連があることを知らせてはいませんでした。 長年の強皮症と今回の病気が関連した可能性があることがわかるとショックが大きい かと思いまして・・・ いま母は、長年お世話になった(最も信頼する)、開業医の**先生に再度お世話に なろうと考えています。 家族としては、設備の整った病院を確保しておくのも大事かと躊躇するところです。

この度の足立先生の、お返事・ご意見を母に見せて、母と家族みんなで今後の療養に ついて考えていきたいと思います。 この度は、足立先生には大変お世話になました。 セカンド・オピニオンという言葉を先日新聞で見たような気がしますが、本当にあり がたかったと思っています。 今後、続いて質問させて頂くことがあるかもしれませんが、その節はよろしくお願い いたします。 なお、(以上、原文のまま)**の(以下数行略)** もし、**確認が出来ない場合、ご連絡下さい。 今後も、悩める人々の為にご活躍をお祈りします。 本当にありがとうございました。