質問・回答(0274)


「手術後経過についての疑問」

date: 07 Jul 2002 14:01:12

父の症状についてご相談致したいことがあります。

初めはアゴのガンでした。ガンは無事に摘出し、転移も確認されてませんでした。しかし糖尿のため免疫力が弱く、術後感染をしました。これについて再手術を行いましたが、現在もアゴから首の付け根辺りにかけてのケロイドに悩まされています。腐敗が進み、頸動脈の手前まで進行していると担当医から説明がありました。

以上の経過について幾つか疑問に思う点があります。
一つはケロイドの手術後に患部を開けたままにしておいたことです。症状がどうであれ縫合すべきではなかったのでしょうか。

もう一つは今からでもクリーンルーム(?)に移すべきではないかということです。病室の扉は常に開けられ、素人の印象を言えばあまり衛生的なようには感じられません。このまま口腔外科に居ることが最善なのだろうかとも思います。

何より心配なのは、ケロイドの原因となっている部分がアゴである以上、胸の手前まで達しているそれが、同じように脳の側へ伸びて行ってはいないだろうかという点です。

抗生物質を使っているそうですが、この症状に最適な治療法、最適な薬、同様の事例、経験のある医院等、何でも結構ですので何か御存知でしたらご指導ください。
宜しくお願い致します。

Date: Sun, 07 Jul 2002 20:59:59 +0900

「顎(あご)の癌(がん)」とのことでしたがせっかく手術も成功し、しかも幸運にも転移も無かったとのことで病状の軽快を楽しみにしておられたことと思います。
しかし、その後、病巣の腐敗が進行しているご様子で大変残念です。

糖尿病をお持ちのことも当然影響しているとは考えられますが、それにしても思わしくない経過で、ご家族の方々は、何とかしてあげたいとのお気持ちで一杯のこととお察し致します。

メールの中には

1.縫合をした方が良いのではないか。
2.クリーンルームに移した方が良いのではないか
3.このまま口腔外科で診てもらっていて良いのだろうか
4.患部が脳まで伸びて行ってしまっていないだろうか
5.最適な治療法は
6.最適な薬は
7.同様の事例は
8.経験のある医院は

などたくさんのご質問を書いておられますが、経過が思わしくないだけに疑問点は次から次へと浮かんできて当然のことかと思います。

本当はこういう疑問点は全て主治医の先生にぶつけられて、納得が行かれるまでとことん説明を受けられるのが良いのですが、お忙しそうで遠慮が有ったり、お一人の先生にだけお伺いしても信じきれない点もあったりで微妙なところとお察し致します。

すべてご納得されるまでお答えしきれるかどうか保障の限りではありませんが取り敢えずはまず、上記8項目について精一杯お答えさせて頂きます。

1.ご質問メールの内容だけを拝見しますと病巣の内部に膿(うみ)が溜まっていることも考えられます。もしもそのとおりだとしたらそういうところを縫ってしまうと膿が溜まりきってまわりに溢(あふ)れ出してそれこそ大変なことになってしまいます。膿の逃げ道は残しておいてやる必要があるのです。

おなかの手術の場合でも、うまく行った手術のあとで「ドレーン」と言ってわざわざ膿の逃げ道を作ってやるほどなのです。

膿が溜まっているのではなく、完全に治りきってもう心配の無い傷であればもちろん縫合してしまった方がよろしい。
そのあたりは、治りきった傷なのか、膿が溜まっている可能性がある病巣なのか、主治医の先生によくお尋ねになり確認しておかれるのが良いと思います。

2.もしかしたら「クリーンルーム」に入れてもらった方が良いかもしれません。

確かに「クリーンルーム」が本当に悪いばい菌が少ない部屋であるのであれば病院に入院中の患者さん全員が「クリーンルーム」に入られるのに越したことはないのは誰が考えたってそうですよね。

となると、病院に入院中の患者さん全員が「クリーンルーム」に移してもらうよう要望されることでしょう。入院中の患者さん全員が要望されては大混乱になってしまいます。

多くの病院では「クリーンルーム」に入っていただく患者さんの一応の目安になる基準を設けています。それに従って病院に入院中の患者さんのうち、必要性の高い患者さんから入って頂くようになっているはずです。

主治医の先生にご希望をお伝えすることは構いませんがあくまでも病院の基準に従ってもらう必要があることはお分かり頂けると思います。

病院の患者さん全体の状況を考えて、「クリーンルーム」へ入院の必要性がどの程度かどうかをお伺いになるようお勧めします。

なお、「クリーンルーム」と言ってもばい菌が全く居ない部屋など考えられません。むしろ、一般の「クリーンルーム」に入るような患者さんはそれだけ重症の患者さんが多いので返って悪いばい菌が多く居たりすることも多いのが現状です。

本当の「クリーンルーム」と言うのは白血病の治療などを本格的に行っている専門の病院で病室の空気までも滅菌するシステムですが大変なお金もかかり通常の病院ではほとんど導入していないのが現状です。

「クリーンルーム」をご希望の場合はどの程度の細菌数であるのか確認をされてから要望をされてはと思います。ほとんどの場合、ご要望ほどのクリーンな部屋の提供はむしろ期待できないのが現状です。

3.主治医の先生、その科の方針などに信頼をおけることが出来なくなればご家族の方々とご相談の上、率直に疑問点をすべて主治医の先生に委ねるのが良いと思います。とことん、話し合いをされてそれでも信頼関係を築くことが出来ないようであれば無理をすることの方が良くないと考えます。

4.脳まで膿を持った病巣が広まるとまずは「髄膜炎」を発症します。「髄膜炎」になると激しい頭痛、発熱などの症状がかなり早期から出現します。もしもそういうことになりますと大変ですので十分な注意が必要です。

5.最適な治療法については主治医の先生が日夜研究して下さっていると信じたいところです。メールを拝見する限り魔法のような方法は見当たりません。

6.術後感染、ケロイドなどについて、残念ながら現在の医学では魔法のような方法や特効薬が無いのが現状です。但し、抗生物質の選択にはある程度の考慮が必要です。

7.同様の事例には枚挙に暇がありませんがそれぞれの患者さんのプライバシーによりこの場での公表は控えます。
もともと糖尿病をお持ちの患者さんが癌になられた場合、いろいろな治療法でも抵抗力不足のために良い結果が得られないことも多く、大変残念に思っています。

8.本例のような重症の場合は、医院よりもむしろもっと規模の大きい病院での対応が必要と考えます。小さな医院で良い先生を探せたとしても対応はむしろ難しいのではないかと考えます。

以上、今回のお答えとさせて頂きます。
どうぞ、お大事になさって下さい。


Date: Mon Jul 8 16:14:46 2002 +0900

お世話様です。たしかに拝見いたしました。
本人にも伝えられる部分は伝えますので励みになるかと思います。

担当医の方は大変真摯に説明して下さるのですが、内容によってどうしても直接的に質問や意見を唱えづらい状況が生じてしまいます。なるべく相談して納得した上で治療を施していただいていますが、今後の経過によってまた疑問が生じた際には宜しくお願いいたします。

この度は丁寧なご回答をありがとうございました。