
Date: Sat, 17 Aug 2002 16:08:01 +0900
現在、私の父(6*歳)は総合病院でMALTリンパ腫の治療を受けています。
担当医の先生からは胃の全摘手術を勧められていて、その覚悟のできない父は結論
を延ばし延ばしにしております。
1.果たして、手術することが最善の治療法なのでしょうか?
2.また、どうしても手術する場合、胃の全摘ではなく、一部分でも残すことはできないでしょうか?
発症から現在までの経過を、下記にまとめましたので、ご一読の上ご助言をお願いいたします。 どうぞよろしくお願いいたします。
〈これまでの病歴〉
◎平成13年4月6日◎
胃痛の為、胃腸科医院にて内視鏡検査。潰瘍2ヶ所確認
◎平成13年4月13日◎
内視鏡検査の結果、ピロリ菌を検出。細胞検査良性。
ピロリ菌除菌開始(4月20日まで)。6月中旬までガスター錠を服用。
◎平成13年6月15日◎
内視鏡検査。
潰瘍は消えたが、患部痕に手の平大の糜爛が見られる。細胞検査悪性。
外科手術のため、総合病院への紹介状を頂く。
◎平成13年6月27日〜7月18日
総合病院で内視鏡検査2回実施するも、悪性細胞は検出されず。
◎平成13年7月19日◎
胃部分切除手術実施。(胃中央湾曲部6×9センチ切除)
切除部分に3ヶ所の潰瘍、癌になりそうな細胞があったそうです。
◎平成13年9月21日◎
術後検診の為の内視鏡検査。
切除部分の上側に糜爛が見られるとのことで、再手術を勧められる。
この際初めて、病名がMALTリンパ腫であることを告げられる。
《その後の内視鏡検査実施日》
平成13年11月30日
担当医の診断:
糜爛に大きな変化はないが、悪性細胞があり早期に胃の全摘手術を勧める。
平成12月14日
担当医の診断:糜爛が他にもありそうだ。ピロリ菌が検出された。
平成14年3月1日
担当医の診断:糜爛に大きな変化なし。ピロリ菌は残存。
平成14年5月17日
担当医の診断:変化なし。
平成14年7月26日
担当医の診断:糜爛に大きな変化なし。ピロリ菌は検出されず。
《ピロリ菌除菌治療》
平成13年12月14日〜21日
使用した薬種:サワシリン・クラリス・タケプロン
平成14年5月24日〜31日
使用した薬種:サワシリン250mg・フラジール内服錠・タケプロン30
《現在の状況》
総合的に見て糜爛に大きな変化はありませんが、細胞検査の結果は良くないので、担当医からは早急に胃の全摘手術を行うよう言われています。
現在、父の体調は良好で術後の違和感もなく、体重は6キロ増加しました。
足立先生のご助言を、どうぞよろしくお願いいたします。
Date: Sat, 17 Aug 2002 14:18:16 +0900
Subject: 「インターネット病気個別ご相談」お答えします。
メール拝見しました。
平成14年5月24日から31日までの2回目のピロリ菌の除菌療法をされて7月26日の検査でピロリ菌が検出されていませんので通常の胃MALTリンパ腫であればそのまま経過を追うことが多いです。
全身状態もこれほど良いのに何故主治医の先生がそれまでに手術を急がれるのか分かりません。
一つの可能性は「胃MALTリンパ腫」とは言っても検査で得られた病理所見が実はもっと悪性のリンパ腫に似たものであったのかもしれません。
というのは胃の悪性リンパ腫と「胃MALTリンパ腫」とは病理学的にも境界が非常に不明確なのでピロリ菌の除菌療法で治療効果が十分でない場合は、本物の悪性リンパ腫の可能性を考慮に入れて、手術療法や化学療法を施行する必要があることがあるからです。
胃の全摘手術というのはその患者さんのその後の状態を大きく変えますのでかなりはっきりとした手術の必要性がなくてはなりません。
今回頂きましたメールの内容からだけを拝見していますと早急な手術の必要性を示す理由があまりにもあやふやです。
「胃MALTリンパ腫」でピロリ菌除菌療法の経過観察中であるのに何故手術を急がれるのか、理由をはっきりとお尋ねになることは重要です。十分納得できる説明が得られず、しかも手術を勧められるのでしたらセカンドオピニオンを求められては如何でしょうか。
消化器外科の専門の別の病院で相談に乗ってもらうのです。
昔は「セカンドオピニオン」と患者さんが言うだけで嫌な顔をされることもありましたが、最近ではセカンドオピニオンに協力して下さる外科医はとても多くなってきています。
受けるところは、例えば東京でしたら国立癌センターなどやはりかなりの専門のところがよろしい。
セカンドオピニオンを受けられる場合は今の主治医に紹介状だけではなく、病理医が診断を書いている病理所見のコピーも付けてもらいましょう。主治医の手元にあるのなら病理標本まで貸してもらえるとさらによろしい。上に書いたように胃MALTリンパ腫と本物の悪性リンパ腫との区別がかなり問題になってくるからです。
最後にご質問の2項目に対してお答えしておきます。
1.手術が最善という根拠があまりにも希薄です。
手術を急がれているのでしたらその勧められる主治医に 「何故手術が必要なのかの説明(インフォームドコンセント)」を早急に しかももっと十分に求めるべきです。
2.手術による体の消耗は、手術規模が小さければ小さいほど少なくて済みます。ですから、「残すことはできないか」よりも、本当に胃の全摘までしなくてはいけない状態であるのかの説明をしっかりと受ける必要があります。本当に必要ならば早急にしてもらわないといけないのでしょう。
しかし、胃の全摘をしなくてはいけないような状態の場合は、今度はむしろ全摘までしても癌が残っていて再発する可能性がどれほどあるのかも考えておく必要があります。主治医の先生からはそのあたりの見通しまでお伺いしてご本人もご家族も十分に了解の上、決断する必要があります。
今回のメールの内容からは十分にご納得されてなどとは到底言えません。
胃全摘というのはご本人に取って大変なことなのです。
以上、今回のお答えとさせて頂きます。どうぞ、お大事になさって下さい。
Subject: 大変お世話になりました
Date: Sun, 18 Aug 2002 15:54:41 +0900
足立先生、こんにちは。
この度は、迅速な上にご丁寧な回答を頂き、本当にどうもありがとうございました。
メールのコピーを拝見した父も、とても感謝している様子です。
耳馴染みも全くないような病名に出会い、家族揃って途方に暮れておりましたが、先生のわかりやすいアドバイスで今後の方針について立ち向かう勇気が出てきました。
当初お約束しておりましたとおり、できるだけ早急に**の手続きをさせて頂きたいと思っております。
本当にありがとうございました。
暑い日が続いておりますが、足立先生も、どうぞお身体ご自愛くださいませ。
Subject: ご報告させて頂きます
Date: Tue, 21 Jan 2003 01:10:17 +0900
足立先生、こんにちは。
今年の8月に、父のMALTリンパ腫のことで相談に乗って頂きました****と申します。
先生からご丁寧なアドバイスを頂戴し、当時かかっていた病院の先生にセカンドオピニオンをお願いしてみました。
その結果、色好いお返事を頂くことができ、去年の9月に紹介状を持って**の*立癌センターに行ってきました。
癌センターで新たに診察を受け、内視鏡検査をした結果、除菌療法が効果を上げているようだとの診断を頂き、現段階の見立てでは胃の切除は必要ないだろうとのことでした。
癌センターの先生の意見としては、思い切ってこのまま3ヶ月ほど状態を放置し、さらに快復していれば問題なし、もしも悪化が見られるようであれば、今度は放射線治療に移行しましょうとのお話でした。
そして、3ヶ月後の昨年12月末に再度診察して頂いた結果、非常にゆっくりなペースではあるが快復の方向に向かっているとの診断を頂きました。今後はさらに半年ほど様子を見ても良いでしょうというお話で、家族一同ホッとして新年を迎えることができました。
それもこれも、あの時思い切って足立先生にご相談させて頂き、的確なアドバイスを頂戴できたお陰だと思っております。
あのまま担当の先生の判断に従って胃の全摘手術を受けていたら、今頃はどうなっていたかわかりません。
本当に、どうもありがとうございました。
ご迷惑かとは思いましたが、どうしてもお礼と病状のご報告がしたくてメールを差し上げてしまいました。申し訳ございません。
寒い日が続いておりますが、足立先生もお風邪などひかれませんようお身体ご自愛くださいませ。
どうもありがとうございました。失礼いたします。