質問・回答(0304)


「慢性活動性EBウィルス感染症」

date: 14 Jun 2003 21:43:26

28歳・女です。

先日、検査の結果「慢性活動性EBウィルス感染症」と診断されました。
「慢性活動性」になると「EBウィルス感染症」と違って、治療が難しくなると聞きました。ネットでも検索してみたのですが、説明がイマイチよく判りません。

結婚したばかりで、子供もこれからなので、遺伝するものなのでしょうか。ウィルス感染ですが、慢性になるのは宿主側に問題がある。とか。
治る病気なのか教えて頂けませんか?
病院の先生もはっきりと説明して頂けないので。よろしくお願い致します。

Date: Sun, 15 Jun 2003 20:26:09 +0900

「慢性活動性EBウイルス感染症」との診断ですね。
原因は「EBウイルス」の潜伏感染と考えられています。遺伝疾患ではありません。

「EBウイルス」はヘルペスウイルス属に属するウイルスで、普通は高校生から大学生くらいの若い人に風邪の様な発熱とともに首のリンパ節が腫れてくる「伝染性単核球症」という病気を起こします。接触、飛沫感染ですのでアメリカなどでは実際キスによって伝染することも多く、罹った人に対して友達同士で「kissing disease」などとからかわれるのを目の前で見たこともあります。

疑わしい患者さんの血を少し採って顕微鏡を見ると「単核球」という白血球が増えているので医師であれば誰でも簡単に診断をすることが出来ます。

この「伝染性単核球症」という病気はリンパ節だけではなく肝臓までも腫れたりしますが、放っておいても数日で治ってしまうことが多く、ほとんどの医師は「心配ありませんよ」と患者さんを帰してしまうほどです。

しかし、一部の患者さんの場合は、慢性化してこの「慢性活動性EBウイルス感染症」になることがあるので注意が必要です。私は「伝染性単核球症」の患者さんには今でも念のために「場合によっては慢性化することもあります」と簡単に「慢性活動性EBウイルス感染症」という病気のこともお話をしておくようにしています。

何故、一部の人に「慢性活動性EBウイルス感染症」が起こるのかは未だはっきりしたことは分かっていません。
「慢性活動性EBウイルス感染症」は発熱、頸部リンパ節腫脹、肝臓や脾臓が腫れたり、皮膚の発疹などの伝染性単核症様症状が数ヶ月以上にわたって持続、または反復する病気です。肝臓は腫れるだけでなく、慢性活動性肝炎となり肝硬変にまで進行することもあり、これが原因で命に係わることさえ有ります。

症状で特徴的なのは「蚊アレルギー」です。蚊に刺されたところが凄く腫れたり、ただれたりします。「慢性活動性EBウイルス感染症」の患者さんの3人から4人にお一人くらい見られる症状です。

上の症状のほかに下痢、間質性肺炎、心筋炎、冠動脈瘤などの心臓や血管の障害目の葡萄膜炎、脳炎、脊髄炎、末梢神経炎などの神経症状が見られることもあるのでそういう面も注意する必要があります。

「慢性活動性EBウイルス感染症」普通は12歳以下の子どもに多いのですが、成人にもみられます。場合によっては永年の間に徐々に肝臓障害、肺障害などが進行し、命に係わることすらありますが、検査値が徐々に改善し良くなって行かれる方もいらっしゃいます。

患者さんによってその後の経過が違いますので肝臓その他の症状、検査結果が改善に向かっているのであれば、出来ればそれを確認された上で赤ちゃんのことを考えられると安心です。

検査結果が増悪しつつある場合は、その程度にもよりますが、今後さまざまな薬剤を投与する必要性が出てくる可能性が高まりますので赤ちゃんの予定については検査結果が改善傾向を示すまで待たれた方が良いことが多いです。

以上、今回のお答えとさせて頂きます。
どうぞ、お大事になさって下さい。