
(since2007/2/1)
「早速、本日救急車で搬送して頂く予定です」6*歳の父です。
現在、肝膿瘍の診断にて、ドレナージで膿を出す治療を受けています。
医師によると、敗血症の症状も進み、高熱とDICの状態になっているとの事。
Date: Fri, 26 Jan 2007 22:02:18 +0900 (JST)
糖尿病が持病にて、通常治療を受けていたものの、大変元気にしておりました。
高熱が出た為、持病の糖尿病治療を受けている**系の*****病院にて、
先週金曜日救急にて診て頂いた際、「インフルエンザ」と診断を受けました。
以降、熱が下がらず、腹部の痛みが加わった為、今週22日(月)に診察を受け、急遽入院。上記の報告を受けました。
現在、間膿瘍ドレナージの処置を受けるものの、糖尿病が影響して、なかなか膿が出ない様です。
お腹も張り、呼吸がかなり苦しい様子。本日26日先生より外科に移り、手術の為の検査をしました。
肝臓の膿はさらに拡大していたそうです。また、状態かなり悪く、様態が急変の可能性もあるとの話に,家族一同大変ショックを受けています。
お聞きしたのは3点です。
●23日に医師の説明を受けた際は、手術は最終手段。
ドレナージの処置で様子を見るとの事だったのに、いきなりの外科移動にとても不安を感じています。
この状況で手術する事のリスクが大きい事は予想されます。
他に手段はないのでしょうか。
●この際、***病院の外科手術のレベルは安心出来るものなのでしょうか。
もし、不安があるのであれば、ご紹介頂ける病院はあるのでしょうか。
対応への不安もあります。
一昨日の説明から急遽方針が変わり、しかも最終手段という生命に関わる処置になるとの事だったのに、特に何の説明もなく、外科での処置を指示された点に大変不信を持ちました。(
通常は6*歳の母が付き添っています。本日説明を求め、状態を見て、切るか。膿を洗って出すか。判断するのだと、いずれも手術前提の説明で、急遽の判断がされた理由は聞かせてもらえません。忙しそうで、立ち話でやっとという感じ)
●実は、年末に糖尿病の治療入院を同病院でしていた際、「ついで」に検査をして頂いた所、悪性ではないポリープが大腸に出来ているとの話で、内視鏡手術を受けました。この際に感染した可能性はあるのでしょうか。また、対応の遅れが致命傷になる病気だと、HPで見ましたが、当初のインフルエンザの診断が腹立たしく思われます。
この点は、どう考えるべきでしょうか。
「肝膿瘍」は、こんなに急速に悪化するものなのでしょうか。
全力を尽くすという医師の言葉を救いに感じながらも、目を見て話しをされない態度・対応に不安に思うばかりです。ご多忙と存じますが、何かアドバイスを頂けると救いになります。
急変により、急逝してしまうかもしれない可能性に、
何の対処も出来ず、こうしてご相談させて頂く次第です。
ご多忙と存じますが、早いお返事を頂戴出来ると助かります。

Date: Sat, 27 Jan 2007 12:07:14 +0900
Subject: 「インターネット病気個別ご相談」お答えします。
未だお若いお父様ですのに「インフルエンザ」と言われていたところ実は命にも関わる状態になってしまったということで、得心もいかないだけでな
く大変ご心配のことと存じます。
「肝膿瘍」とのことでドレナージをしても改善せず、DICや敗血症にまで進展し、外科へ転科となったご様子で、かなり重症度が高いことが考えられます。
先ず、「肝膿瘍」という病気ですが、何らかの原因で細菌、真菌(「カビ」のことです)、アメーバ赤痢などの原虫が肝臓の中に入り込みそこで繁殖してしまう病気です。
原因の8割から9割が細菌です。胆道や門脈などから入って来ることが多いのですが、どこから入り込んだのか分からないことも結構有ります。
治療にはどういう細菌が原因となっているのかを培養検査などで出来る限りはっきりとさせてその細菌に合った抗生物質を使用した上で必要に応じてドレナージや手術を行います。
細菌の種類としては「大腸菌」、「クレプシエラ」、「腸球菌」、「緑膿菌」、
などの「グラム陰性桿菌」だけでなく「バクテロイデス」、「ユウバクレリウム」などの「嫌気性菌(増殖するときに酸素を嫌う性質のある細菌)」も混じっていることがあります。一種類だけの細菌でなくて2種類以上の細菌が悪さをしている場合が半数近く有ります。
「肝膿瘍」の症状はお父様の場合と同様、発熱(高熱のことが多いです)、悪寒、お腹の右上の痛み、黄疸などです。
検査結果では血液中の白血球が増加しCRPという炎症を示す検査値が高くなります。診断には腹部超音波(「エコー」とも言います)検査、とCTが役立ちます。
単純な「肝膿瘍」であっても死亡率は10%から30%にも達すると言われています。DICや敗血症も有り、ドレナージ後も大きくなってきている場合には相当きめ細かな全身状態の観察が必要ですし、死亡率も50%近くと考えておいた方が良いかもしれません。
治療には細菌の種類が不明な当初は多くの種類の細菌に効果がある広域スペクトラムの抗生物質を点滴で投与し、治療開始数日後になって細菌の種類がはっきりとした時点ではその細菌に合った種類の抗生物質を使います。
例えば「バクテロイデス」、「ユウバクレリウム」などの嫌気性菌が入っている場合は「ダラシンS」などという抗生物質も使うことが有ります。
院内感染で有名な「MRSA(エムアールエスエー)」という細菌が原因の場合には「塩酸バンコマイシン」という特殊な抗生物質を使用する必要も出て来ます。
ドレナージがうまく行かない場合には外科的にお腹を開けてドレナージをする必要も出て来ます。
それではご質問項目3点につきお答え致します。
> ●23日に医師の説明を受けた際は、手術は最終手段。
> ドレナージの処置で様子を見るとの事だったのに、いきなりの外科移動に
> とても不安を感じています。
> この状況で手術する事のリスクが大きい事は予想されます。
> 他に手段はないのでしょうか。
1.23日の時点では「何とか手術をしないでドレナージだけで良くなってもらえないだろうか」というお考えであったのではないでしょうか。
上にも書きましたようにお腹の外からとか腸からのドレナージだけでは改善が見られなかったので最終的手段としての手術を考えられているのかと思われます。
診断が間違っていたりした場合は別ですが、「肝膿瘍」という診断が正しいとしたら、外科手術による方法が最終的手段で、他に何か特別な方法というものは今の医学では有りません。
> ●この際、***病院の外科手術のレベルは安心出来るものなのでしょうか。
> もし、不安があるのであれば、ご紹介頂ける病院はあるのでしょうか。
2.外科手術のレベルは病院もさることながら主治医とか執刀医により雲泥の差が有ります。***病院は財団法人日本医療機能評価機構の認定を受けた病院でもありませんし、肝膿瘍の治療成績については私自身は特別な評判を聞いたことは有りません。
**県であれば****病院の消化器科部長の***先生が「肝膿瘍」の専門家として医師の間では大変有名な方ですが残念ながら内科で手術は担当されないと思います。
しかし、****病院外科の***次医長は肝臓、胆嚢、胆道などの手術の腕は広く知られている方です。
****病院は財団法人日本医療機能評価機構の認定を受けた病院で、病院として一定以上のレベルは確保されていると考えられます。
紹介、転院には重症な方の搬送時に急に血圧が低下してしまったり、などの事故の危険性も考慮しないといけませんし、
先ずは受け入れ病院の許可が必要です。そのためにも現在おかかりになっている主治医のある程度の協力が求められます。
今の主治医の先生はどのようなお方でしょうか。
心の大きな、自分の実力に自信のある医師の場合、説明も懇切丁寧ですし、セカンドオピニオンや転院の相談にも快く応じて手配して下さいますので是非、ご相談になっては如何でしょうか。
しかし、全国からたくさんの方々からのご相談をお受けしていますと、
セカンドオピニオンや転院、転医の話をしだすと、それだけで大変機嫌を悪くされて顔つきや態度などが変わったりすることも結構有るのが現状のようで大変残念に思っています。
医学的に自信の無い、心の狭い医師の場合に多いと思っています。
> ●実は、年末に糖尿病の治療入院を同病院でしていた際、「ついで」に検査をして頂いた所、
> 悪性ではないポリープが大腸に出来ているとの話で、内視鏡手術を受けました。
> この際に感染した可能性はあるのでしょうか。また、対応の遅れが致命傷になる病気だと、HPで見ましたが、
> 当初のインフルエンザの診断が腹立たしく思われます。
> この点は、どう考えるべきでしょうか。
> 「肝膿瘍」は、こんなに急速に悪化するものなのでしょうか。
3.「肝膿瘍」は稀に「医原性」と言って肝癌の局所療法を行った後に発生することがある事が知られています。大腸の内視鏡手術の際に門脈と言う血管を通って細菌が肝臓に入り込んだ可能性も有り得ます。
「肝膿瘍」は急速に悪化する場合も有りますので発熱の患者さんの場合、元から「風邪」を考えるのではなく、他の病気の可能性を考えて、特に腹痛などの訴えが有った場合などは腹部の診察を丁寧にするなど見逃さないように気を付ける必要が有る病気です。
以上、今回のお答えとさせて頂きます。
どうぞ、お大事になさって下さい。
Mon, 29 Jan 2007 15:10:16 +0900
Subject: RE: 「インターネット病気個別ご相談」お答えします。
足立様。
ご返信有難うございました。
昨日頂戴したメールを拝見&家族と検討し、本日紹介状・診察データ持参で****病院に、セカンドオピニオン相談という形で診察を受け、転院の希望を伝えた所、受け入れて頂く事が決定しました。
早速、本日救急車で搬送して頂く予定です。
転院した方が良いのでは。と思いながら、情報もなく、判断しかねていた所、
ご意見を頂き、助かるかどうかは別にしても、
安心して最適な治療を受けさせてやれようかと、安堵した次第です。
本当に有難うございました。