質問・回答(0364)



(since2007/6/27)

「甲状腺ガンの免疫染色」

Date: Sat, 9 Jun 2007 17:05:06 +0900 (JST)

質問は,甲状腺ガンについてです。
患者は,私の妻,4*歳です。
既往歴は特にありません。
2年ほど前に,健康診断で甲状腺が腫れているかもしれませんので診てもらってくださいと言われ,
近くの医院で血液検査をし,特に異常なしとのことでした。
その後,特に体の変調等もなく過ごしておりましたが,同居の祖母は去年の暮れくらいから喉の腫れを気づいていたようです。
今年の5月になって,本人は何の痛み等はなかったようですが,私も腫れに気づき近所の医院に受診させたところ,エコーをかけ,悪いものではないと思うがきっちり検査しておいた方がよいとのことで,****病院の外科を紹介されました。
**の外科ではエコーをかけ,

「腺腫ですね。ほとんどは良性ですが,悪性の場合もあるので針で細胞を取って検査しましょう。」

とのことで当該検査を受けました。
5日後,検査結果を伺いに行きましたところ,

「検査結果によると,判断が難しく悪性の可能性を否定できないので染色して検査していますのでもう1週間くらい待ってください。
良性であれば様子を見ますし,悪性であれば切って取りましょう。」
と言われました。
悪性で未分化であれば一刻も早く治療させたいとの素人の思いもあって,妻を診察室から先に出して,主治医に単刀直入に,未分化の可能性について訪ねたところ,
検査結果の記載を私に見せ,「細胞の活動は比較的おとなしい。」との記述もあるし,悪性だったとしても未分化ではないと思うとおっしゃっていました。
なお,大きさは3センチとのことです。
さて,質問は,
1 主治医の見解どおり未分化ではないと考えられるか。
2 判断が難しいというケースはままあるものなのか。ガンの可能性が相当に高いものか。
3 はっきりしないのであれば早く切って取ってしまった方がよいのではないか。
4 セカンドオピニオンを求めた方がよいか。その場合,時間がかかってしまって大丈夫か。
5 **ではどの病院がお薦めか。
6 主治医からはきっちり調べてきっちり対応すればよいと言われましたが,家族としては心配です。
じっくり対応してよいものか。

以上よろしくお願いします。

Date: Sun, 17 Jun 2007 12:04:17 +0900
Subject: 「インターネット病気個別ご相談」お答えします。

甲状腺というと心臓や肝臓とは違って一般の方が意識をすることの少ない臓器ですし、そういった臓器の病気と聞くだけで大変ご心配のことと思います。
特に癌の可能性につきましては誰もが大変気になるところです。
甲状腺のしこりの多く(約4分の3)は「濾胞腺腫」と呼ばれる良性腫瘍です。
良性腫瘍としっかりと判断出来る場合はしこりが目立ったり咽喉が圧迫されたりして具合が悪い場合や「プランマー病」と言ってホルモンが出すぎて困る場合などを除き手術などせずに様子をみることが多いです。
しかし、稀なことではありますが、さまざまな検査の結果、良性の甲状腺腫瘍と判定されても後になって悪性であることが判明したりすることもたまにはあります。
ですから、甲状腺の腫瘍については常に経過(その後の様子や変化)を注意深く追って行く必要があります。
甲状腺のしこりの残り約4分の1は悪性腫瘍です。
その悪性腫瘍のうちほとんどが(約90%)「乳頭癌」です。
悪性腫瘍で次に多いのが「濾胞癌」で約10%ほどです。
ご心配の「未分化癌」は「びまん性大型細胞Bリンパ腫」や「マルトーマ」などの「悪性リンパ腫」や「髄様癌」とともに頻度としては悪性腫瘍の1%から2%ほどです。
では、以下ご質問項目に従いお答えします。
> 1 主治医の見解どおり未分化ではないと考えられるか。
「未分化癌」自体が頻度の少ないものですし、lご質問者の奥様の場合は「細胞の活動は比較的おとなしい。」との記述が有るのでありますので現時点では「未分化癌」である可能性は小さいと考えられます。
しかし、「乳頭癌」や「濾胞癌」も手術で取り残しが有ったり、ましてや放置していたりすると徐々に低分化癌化して、終には「未分化癌」になってしまうことが有りますので注意が必要です。

> 2 判断が難しいというケースはままあるものなのか。ガンの可能性が相当に高いものか。
判定が容易でないことはまま有ります。
例えば良性腫瘍である「濾胞腺腫」と悪性の「濾胞腺癌」は顕微鏡で見ても難しいことがしばしば有り、免疫染色をしたりすることも良く行われるようにはなりましたがこれもなかなか決定打とならず困っているの現状です。

> 3 はっきりしないのであれば早く切って取ってしまった方がよいのではないか。
そういう考え方も有り得ます。
たとえ細胞検査で良性腫瘍の「濾胞腺腫」との結果が帰って来てもしこりが3センチメートル以上の大きさで超音波(エコー)検査で中心壊死が無く、エコーレベルがやや低い場合はむしろ「濾胞腺癌」の方を考えて手術をするという外科医も居ます。

> 4 セカンドオピニオンを求めた方がよいか。その場合,時間がかかってしまって大丈夫か。
場合によっては生命にも係ることですのでセカンドオピニオンはしておかれるようにお勧めします。
相談に行くだけなら半日くらいで済みますしそれほど時間はかからずに少なくとも最初の意見は頂くことは出来るのではないでしょうか。

> 5 **ではどの病院がお薦めか。
**でしたら、下記3箇所くらいでしょうか。
****病院外科医長でいらっしゃる**潔先生は甲状腺ご専門ですし、患者さんの間でも人気が高いです。
****腫瘍外科***でいらっしゃる***成先生も甲状腺の研究者として有名で専門家の間でも評価が高いです。
独立行政法人**病院機構**医療センターの外科は消化器の専門家が多く甲状腺専門では有りませんが高いレベルの診療を行っていますし、セカンドオピニオンも受け付けています。
なお、この病院には***科に同姓同名でしょうか***先生と仰る先生がいらっしゃいますね。

> 6 主治医からはきっちり調べてきっちり対応すればよいと言われましたが,家族としては心配です。
>   じっくり対応してよいものか。
ご心配のご様子お察し致します。
上記をご参考に早めにセカンドオピニオンを得られた上で
じっくりと対応されては如何でしょうか。
セカンドオピニオンを目的で行かれる場合は先ずは行かれる病院に電話をしてからセカンドオピニオンの紹介状を持って行かれるのが良いでしょう。
特定の先生に診てもらいたい場合には電話でお尋ねになる際に必ずその先生のいらっしゃる科の外来の看護師さんに電話を繋いでもらい、「初めての者です。 実は甲状腺の病気について
 ****先生のセカンドオピニオンを受けに行きたいのですが、何月何日には外来に出ておられて診てもらえるでしょうか」
と尋ねるようにしましょう。
病院の代表電話や受付に電話をして、
「****先生の外来は何曜日ですか」
などというような訊ね方をするのは避けられるようにお勧めします。
たまたま行ってみたらその週だけ目的の先生は
学会に行かれて不在で代診の先生に当たったりしてしまうことが有るのです。
「何故私のところに相談に来たのか」と尋ねられましたら
多分私のことはご存知ないとは思いますが
足立憲昭の名前を出して頂きましても構いません。
以上、今回のお答えとさせて頂きます。
どうぞ、お大事になさって下さい。